服部産業医事務所の活動

そろそろ話題のPM2.5

保健師の宮本です。

先日転勤で九州外からいらっしゃった方が「街にモヤがかかっていて驚いた。これが噂のPM2.5か!」と仰っていました。

こちらで生まれ育った身としては、黄砂やPM2.5などでぼやけた街並みや車に積もったザラザラは「風物詩」のように感じていましたが、ご覧の皆さんは如何でしょうか?

天気予報でも「要注意」情報が出ていますので、何となく「体に悪いもの」という認識はありますよね。

そこで今回は、知っているようで知らない「PM2.5」を取り上げたいと思います。

 

Q.そもそもPM2.5(微小粒子状物質)って何?

微小粒子状物質(PM2.5)とは、大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5μm(1μm=1mm の千分の1)以下の非常に小さな粒子のことです。

その成分には、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどの無機元素などが含まれます。また、さまざまな粒径のものが含まれており、地域や季節、気象条件などによって組成も変動します。

 

Q.微小粒子状物質(PM2.5)は、どのようにして発生する?

微小粒子状物質(PM2.5)には、物の燃焼などによって直接排出されるもの(一次生成)と、環境大気中での化学反応により生成されたもの(二次生成)とがあります。

 

一次生成粒子・・・ボイラーや焼却炉などばい煙を発生する施設、コークス炉や鉱物堆積場など粉じん(細かいちり)を発生する施設、自動車、船舶、航空機などのほか、土壌、海洋、火山など自然由来のものや越境汚染による影響も。

また家庭内でも、喫煙や調理、ストーブなどから発生します。

 

二次生成粒子・・・火力発電所、工場・事業所、自動車、船舶、航空機、家庭などの燃料燃焼によって排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、燃料燃焼施設のほかに溶剤・塗料の使用時や石油取扱施設からの蒸発、森林などから排出される揮発性有機化合物(VOC)等のガス状物質が、大気中で光やオゾンと反応して生成されます。

 

Q.どのような健康影響がある?

微小粒子状物質(PM2.5)は粒子の大きさが非常に小さい(髪の毛の太さの30 分の1)ため、肺の奥深くまで入りやすく、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も懸念されています。

 

Q.どの程度の濃度になると健康影響が生じる?

微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準(人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準)として「1年平均値が15μg/m3 以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること」と定められています。

環境省が平成25 年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」では、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均値70μg/m3 と定めています。

但し、呼吸器系や循環器系の疾患のある者、小児や高齢者などでは、個人差が大きいと考えられており、これより低い濃度でも健康影響が生じる可能性は否定できないとされています。

 

Q.季節によってPM2.5 濃度は変動する?

例年、冬季から春季にかけてはPM2.5 濃度の変動が大きく、上昇する傾向がみられ、夏季から秋季にかけては比較的安定した濃度が観測されています。

 

Q.「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、どのようなことに注意すれば良い?

PM2.5 濃度が暫定的な指針となる値を超えた場合には、その吸入を減らすため、屋外で

の長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは有効です。

その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくする必要があります。

特に呼吸器系や循環器系の疾患を有する者、小児、高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があるので、普段から健康管理を心がけるとともに、体調の変化に注意することが大切です。また喫煙により、室内のPM2.5 濃度が大きく上昇することが知られています。

 

Q.「屋外での長時間の激しい運動」とは、どのような運動を指す?

一概に明示することは困難ですが、マラソン大会のように呼吸器系への過度の負担が

長時間続くような運動が想定されます。

運動会等の屋外活動は、長時間の激しい運動にはあたらないと考えています。

 

Q.窓の開閉でPM2.5 の影響はどれほど違う?

窓の開閉による屋内濃度への影響を定量的に示した資料はありませんが、窓を開けておくと屋内のPM2.5 濃度は屋外のPM2.5 濃度と同等の値になると推測されることから、窓の開閉や換気は必要最小限にすることにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入量を減らすことは有効な対策と考えています。

 

 

次回はPM2.5対策を含んだ続編をお送りします。お楽しみに!

 

環境省ホームページ http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

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