健診結果、見てますか?「コリンエステラーゼ」
- 2016年05月24日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
久々に血液検査項目の話題です。
今日はサラーッと見流してしまいがちなマイナー項目、「コリンエステラーゼ」について!
コリンエステラーゼとは
コリンエステラーゼとは肝臓や血清中に存在し、コリンエステル類(神経伝達物質の一種)を分解する酵素です。
具体的な働きとしてはコリンエステルをコリンと酢酸に分解することによって、たんぱくをつくり出しています。
このコリンエステラーゼには2つの種類があり、1つは赤血球や筋肉、神経組織の中に含まれており(真性)、もう1つは血清や肝臓、膵臓、腸、肺などに含まれています(偽性)。
血液内に含まれますので全身に行き渡っていますが、肝細胞で作られる酵素であるということから、主に肝機能を診断する検査で利用されます。
なお、血液検査で検査する場合は「ChE」と表示されることが多いです。
コリンエステラーゼの基準値(成人)
基準値(男性) 203~480 IU/L
基準値(女性) 180~360 IU/L
コリンエステラーゼの異常により疑うべき病気・原因
コリンエステラーゼは他の肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、これらの検査値とあわせてみることによって、肝臓が障害されている程度がわかります。
したがって慢性肝炎や肝硬変などの慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査となっています。
以下は、コリンエステラーゼの異常により疑う事ができる病気や原因です。
ただし、以下に示した病気はあくまでも一例です。異常値であったからといって、すぐに病気というわけではありません。
また、他の要因と連動して初めて病気として診断されるケースもありますので、ご注意ください。
高値・・・ネフローゼ症候群、脂肪肝、甲状腺機能亢進症、糖尿病、原発性肝がん
低値・・・肝硬変、急性/慢性肝炎、劇症肝炎、肝臓がん 等
検査にあたって
日内変動(体内時計によってコントロールされた体温・心拍数・血圧等の値や覚醒-睡眠のリズムが、1 日の中で変動すること)や運動の影響はありませんが、睡眠薬や緑内障治療薬(降眼圧薬)、抗血栓剤などでは数値が下がるので、検査前にあらかじめ申告しておく必要があります。
異常があったら?
低値を示したときが重要で、肝細胞での合成能力下低下していることを反映しています。
肝臓病であればAST(GOT)・ALT(GPT)、γ-GTP、A/G比、ICG試験などの血液検査や、尿ウロビリノーゲン、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹腔鏡検査、肝生検などを行なう必要があります。
それではまた来週~!
【参考】
よくわかる!肝機能ナビ http://kankinou.net/
病院の検査の基礎知識 http://medical-checkup.info/