社長視察後の職場巡視
- 2022年12月05日
- 安全衛生
週初めに工場の産業医職場巡視を行ったのですが、いつもと比べ現場は整然としており、いわゆる4S ばっちりな状態でした。担当者によく聞いてみると、先週末に社長が東京から工場を視察に来られ、それに備え皆で現場の片付けを行ったということでした。さすがに社長が来られるとなると、現場も一所懸命4S に励むようです。我々産業医が巡視する際も同じく4S を頑張ってもらえたら良いのですが、改めて社長の威光を感じた職場巡視でした。
週初めに工場の産業医職場巡視を行ったのですが、いつもと比べ現場は整然としており、いわゆる4S ばっちりな状態でした。担当者によく聞いてみると、先週末に社長が東京から工場を視察に来られ、それに備え皆で現場の片付けを行ったということでした。さすがに社長が来られるとなると、現場も一所懸命4S に励むようです。我々産業医が巡視する際も同じく4S を頑張ってもらえたら良いのですが、改めて社長の威光を感じた職場巡視でした。
現場では色々な熱中症対策グッズが使われており、ドライアイスベストもその1つですが、体にくっつけ過ぎて着用したばかりに、低温火傷を起こした事例がありました。どうも壁に寄りかかっていたことが悪かったようですが、首に巻いて使用するようなものもあり、十分に注意が必要です。
新たな熱中症対策としてプレクーリングという考え方が提唱されています。作業に出る前にあらかじめ深部体温を下げておき、作業に入って後の体温上昇を防ぎ、熱中症の発生を防止するというものです。アイススラリーという流動性の高い氷を作業前に飲用するだけでよく、すでに飲料メーカーから商品として出されています。これからの季節、試してみる価値は十分にありそうです。
製鉄所で過去10年間に発生した熱中症に関するデータを拝見したのですが、年齢層としては20~30歳代がそのほとんどを占めていました。体力があるはずの若い世代が多いというのは少し意外でしたが、現場の暑熱環境に体が慣れていないことや暑熱環境に耐えるだけの作業スキルが身についていないこと、日頃の不摂生などがその理由かもしれません。やはり製鉄所のような過酷な環境で長年働く方々は熱中症予防についてもベテランが躍如しているということになりますね。
今年はお盆前から大雨や天候不順が続いていましたが、ようやく夏の日差しが戻り、それにつれて再び気温が急激に上昇してきました。第二の梅雨明けとも言える状況ですので、各現場では熱中症の発生に十分注意していただきたいと思います。しばらくすると至る所から熱中症発生のお知らせが届く予感がします。
スポットクーラーは熱中症対策として工場などの現場で頻用されていますが、吹き出し口に手をかざしてみますと冷たい風が出ていないことが結構あり、暑さ対策の盲点になり得ます。エアコンやウオーターサーバーはもちろんですが、スポットクーラーも夏本番を迎える前に入念に点検整備を行っておく必要があります。
工場の現場などでは作業者が使用する防じん、防毒の保護マスクを保管庫で一括保管しているところが多いですが、特に保護マスクの使用頻度が多いところでは、紫外線の殺菌灯が備わっているタイプのマスク保管庫が置かれています。しかしながら職場巡視の際にその保管庫を拝見しますと、殺菌灯を点けていなかったり、壊れて点かなかったりすることを結構多く見受けます。マスクの保管庫には多くの作業者の保護マスクが一括で保管されており、特に現在のようなコロナ禍においては常時清潔に保つ必要性があります。保護マスク保管庫の殺菌灯の点灯状態については、日常業務のなかでしっかり確認しておくようお願いいたします。
例年熱中症の講話は夏に入る前に行いますが、今年の夏はむしろお盆明けてからの方が暑くなっており、今再び熱中症の講話を行わざるを得ない状況になっています。熱中症の救急搬送数も7月より8月に入ってからの方が増加していることからも、今年は暑さのピークが後ろにずれていることがうかがい知れます。
今年も熱中症のハイリスクシーズンになりました。巡視で現場に行けば、熱中症の発生リスクが高いかどうかは体感として分かりますが、気温より湿度の高い方がより体にこたえます。実際に湿度は気温の3倍WBGTに関与していると言われています。先日の職場巡視を行った作業場は湿度が76%あり、かなり蒸し暑い思いをしました。また屋内だからと言って油断禁物です。製造業で発生する熱中症の3分の2は屋内で発生している現状があります。
マスク着用に伴う熱中症発生リスクの増加、手すりを握らないことによる階段からの転落、対面でのコミュニケーション不足に伴うヒューマンエラーの増加など、コロナ対策が労働災害の発生リスクを高めてしまうことが懸念されます。今後現場の職場巡視ではこうした見方も加えて実施したいと思います。