服部産業医事務所の活動


冬場の急性腰痛症


一年で一番寒い季節になりましたが、最近いろいろな事業場の安全衛生委員会で急性腰痛症(ぎっくり腰)の発生が報告されています。低温環境下では腰痛発生のリスクも高くなるらしく、たしかに職場における腰痛予防対策指針でも作業場や休憩室内の温度調節や低温環境下の作業での保温が対策として挙げられています。腰痛が重量物を取り扱っている時に起こったとか、上体をひねった時に起こったとかいう話はよく聞きますが、先日は咳をした際にぎっくり腰になったという報告があっていました。このようなケースの場合、ぎっくり腰がたまたま仕事中に起こっただけであり、業務起因性はなく労災にはなりませんが、仕事中ぎっくり腰になれば労災になると単純に思っている方も結構多いようです。実際には急性腰痛症の業務上外の判定は微妙なケースも多く結構難しいようですね。

オフィスが乾いています


先週職場巡視で伺ったある会社の支店のオフィスでは3台の加湿器が置いてありましたが、湿度計を見ると27%でした。また全く加湿器を置いていない別の会社のオフィスの湿度は22%でした。冬場は元々屋外も乾燥していますが、オフィスは窓を閉め切ったうえに空調機が稼働していますので、ほとんどは乾いた環境になっています。事務所衛生基準規則ではオフィス内の湿度の基準として40~70%というのが定められていますが、冬場にオフィスの湿度を40%以上にキープするのは至難の業です。こうした乾いた状況ですと、目がしばしばしてパソコンの仕事がつらくなりますし、咽喉はいがいが、ドアノブをさわった瞬間に手にバチッと静電気が走るは、おまけにインフルエンザウィルスは元気になるはと全然いいことがありません。梅雨にじめじめしして蒸し暑いのも不快ですが、冬場の乾燥もどうにかならないですかね。

冬の玄界灘


月に1回職場巡視で白島石油備蓄基地へ船で渡っています。若松の安瀬港より片道40分程度の航海ですが、冬の玄界灘は波が高いことも多く、荒天の日は船も結構揺れます。私は船酔いしないどころか逆に揺れを心地よく感じる方で、40分間仮眠しているような状態です。海上の波の高さがある一定のレベルを超えますと船が欠航になります。特に台風や冬の季節には欠航になる日が増えるようです。基地では交替勤務が行われていますが、荒天で船の欠航が続くこともあり、波がおさまるまで何日ものあいだ基地にくぎ付けになることもあるそうです。ちなみに島は禁酒となっており、酒飲みには少しつらい日が続くことになりますね。私耐えられません。

転倒による労災


仕事中の転倒によるけがは当然労災になりますが、ある労基署の集計結果によりますと、転倒による労災の発生件数は意外にも小売業が最も多いとのことです。例えば食品関係の売り場の床が水で濡れていて滑ったとか、レジカウンター内の床にはっていたコードに足を引っ掛けて転んだとか、バックヤードの通路を歩行中に突然出てきた什器とぶつかって転んだとかいう話は、今までも担当の小売店舗において結構聞いたことがあります。もちろん転倒防止のためにはそれぞれが注意して歩くことが基本になりますが、現場の整理、整頓、清掃(3S)を行うことはそれと同じくらい重要と私は考えています。集計結果を受けてかどうかわかりませんが、ある地域では労基署が転倒防止対策の件で小売店舗に調査に入るという話を聞きました。

衛生管理者受験準備講習


社団法人福岡県労働基準協会連合会が開催している衛生管理者受験準備講習の講師を務めています。私は最終日3日目午後の労働生理を担当していますが、講義する内容も多く、4時間みっちり教えるのはかなりハードです。衛生管理者の試験は結構難しく全体の合格率は40%程度ですが、同講習を受けられた方の合格率は70%以上だそうです。大学の講義と違い受講中に眠るような方はほとんどおられず、皆さん熱心に講習を受けられています。講習が北九州で行われる時は私が産業医をしている企業の方が受講されていることも多く、先日20日の講習の際には5社の担当企業の方がおられました。こうした方から合格した後に感謝の言葉をいただいたりすることもあり、そうした際には私もうれしく思いますし、仕事の励みにもなります。

安全衛生委員会の資料


安全衛生委員会でいただく書類のなかに産業医としてもとても役にたつ資料が入っていることが多々あります。内容は法律の改正に関する情報、疾病に関する情報などいろいろですが、こうした資料は素人の方でも理解しやすいようわかりやすく書かれているものも多く、私自身の頭の整理になりますし、さらにはこちらの仕事のツールとしての活用も可能です。昨日出席した安全衛生委員会では腰痛の労災認定についての資料をいただいたのですが、事例をふまえわかりやすく解説してあり、他のいろいろな場面で活用できる内容のものでした。

保健指導の効果


弊社松田保健師は保健指導の効果指標について興味を持ち勉強しているところです。そして今までに行った保健指導で得られた情報から何か知見が得られるのではないかということで、現在彼女にデータをまとめてもらっています。そこで早速行ったのが今まで継続的に保健指導を実施してきた会社と、初めて保健指導を実施した会社との比較です。どちらも保健指導対象者の選定基準は同じなのですが、今まで継続的に保健指導を行ってきた会社では、精密検査や治療で医療機関に受診した方の割合が明らかに高く、初めて実施した会社では医療機関受診が必要であるにもかかわらず未受診の方の割合が非常に高いという結果でした。また前者は後者に比べ、生活習慣改善への意識が高い(行動変容ステージが進んでいる)という結果も出ました。これらは保健指導の効果を示唆するものと考えており、保健指導を継続実施してきた会社の安全衛生委員会にてプレゼンを行う予定です。

大型ショッピングセンターのカート整理業務


大型ショッピングセンターのカート整理を行っている方の健康指導をする機会がありました。同業務を行っているのはほとんどが高齢のパート社員であり、健康指導を行うことも結構ありますが、いつも広いショッピングセンターの中をカートを押しながら歩き回られているからでしょうか、比較的お元気な方が多い気がします。健康指導のなかで仕事のことについてお話をお聞きしたところ、エレベーター待ちをしている以外はほとんどの時間歩かれているそうで、1日あたりに歩く距離は14キロから15キロに達するとのことでした。勤務時間が1日4時間程度ですので、時速4キロで歩けば確かに計算上もそれくらいの距離を歩くことになります。毎日それだけの距離を歩いているからお元気な方が多いのかもしれませんが、逆にお元気だからこそこの仕事が続けられるのかもしれませんね。

工業都市の産業医事務所


弊社は工業都市北九州市を拠点にしていますので、契約先企業も自ずと製造業をはじめとする第二次産業が多い状況です。こうした事業場での職場巡視では工場などの現場を巡視することになりますので、訪問日には作業服を着てヘルメット持参で事業場に伺っています。概ね週5日のうち4日は作業服を着ているという状況であり、すべて作業服という週もあるくらいです。まさに私にとって作業服は戦闘服といっても過言ではなく、ご近所の方々は私を医師とは思っていないかもしれません。弊社は工業都市の産業医事務所であることを実感していますし、これからも地域に根付いて活動していきたいと思います。私は大学の卒業アルバムのなかで自分の写真の下に、「ヘルメットと作業服と地下足袋の似合う産業医になりたい」と書いていたようですが、まさにそのとおりになったようです。

労基署の監督官のお話


比較的最近、労基署の監督官とお話をする機会があったのですが、現在事業場に対し最も力を入れて指導している事項はメンタルヘルスであるとのお話をいただきました。確かに労基署からメンタルヘルスについて指導を受けたという話は最近よく聞かれます。現在わが国では仕事中けがで亡くなる方に比べ、はるかに多くの労働者が自ら命を絶っているという現状がありますので、行政の立場からすると当然なのかもしれませんね。