脳梗塞と「間違った」水分補給
- 2014年08月05日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。先週、先々週に引き続き脳梗塞についてお話します。
今週は脳梗塞予防に特化した「水分補給の仕方について」です。
水分補給というと、喉が渇いたときに汗をかいた分の水を飲めばいいと考えていませんか?
実は、この考え方は2つの点で間違っているんです。
1つ目は、「飲みたい時に飲む」では遅いということです。
飲んだ水分が体全体に浸透するには一般的に15~20分程度かかると言われています。
大切なのは、喉が渇いていなくても、汗をかいていなくても、まめに水分補給を行うこと。
特に運動や外出時など、汗によって体の水分を大量に失う時には、普通の水よりもスポーツドリンクが適しています。
これは、体への吸収が速いことと、汗と一緒に排出してしまった塩分などのミネラル補給にも役立つからです。
逆に言うと、1.5時間未満の運動ではミネラルウォーターで十分であると言えます。
過剰な塩分摂取は更に血圧を上昇させますし、スポーツドリンクのように糖分の入っているものを日常的にガブガブ飲んでいると糖尿病を悪化させる原因にもなります。
汗のかき方によって含まれる塩分濃度は異なりますが一般的には約0.3%と言われ、500mlの汗には約1.5g・1,000mlなら3gの塩分が体外に出ていると考えられます。
この計算だと、日常生活での発汗量であれば塩分を食事以外でとる必要は無い量と言えます。
(いわゆるスポーツドリンクには0.1~0.2%の塩分が入っているため、500mlのスポーツドリンクには0.5~1gの塩分が含まれている事になります。)
今のご自分に必要な塩分・糖分はどのくらいなのか、考えながら水分補給することも大切です。
2つ目は、汗をかかずに起こる「見えない脱水」も存在するということです。
その原因は主にエアコンとアルコールです。
エアコンの効いた室内は思いのほか乾燥しており、汗をかかなくても身体から少しずつ水分が奪われています。
そのため、室内にいるときも時々お茶などを飲んで、水分補給をするようにしましょう。
高齢になるほど喉が渇いているということに気が付きにくくなるので、時間を決めて水分をとることが大切です。
トイレに行ったとき尿の色が濃くなっていたら水分不足のサインだと思ってください。
また、夏には冷えたビールをグイッと飲みたくなる人も多いでしょう。
ビールなどのアルコールを飲んでいると、たくさん水分をとっているように感じるかもしれません。
ところが実際には逆で、アルコール類には利尿作用があるため飲んだ以上に尿となって水分が排出されてしまうケースが多いのです。
それだけにアルコールを飲むときは、飲みすぎに気を付けると同時に最後に水を1~2杯飲んでおく習慣をつけるようにしましょう。
他にも、寝る前・起きてすぐにそれぞれコップ1杯の水を飲むことやカフェインの多く含まれている飲み物(緑茶・コーヒー・紅茶等)を避けること等水分補給に関するポイントは数多く存在します。
脳梗塞予防も、熱中症予防の水分補給でほぼ問題ないと考えてもらって結構です。
ご自分の活動量や持病に見合った飲料の選択、摂取量に気を付けて、この暑い夏を乗り切りましょう!