服部産業医事務所の活動

続 長時間労働者への対応はきちんとできていますか?

皆さんおはようございます、保健師の山本です。

「来るぞ、来るぞ」と言われながらもかすりもしなかった台風が、先日の台風19号でようやく「台風が来た!」と感じられるレベルで来ましたね。
体育の日だった月曜日はその影響で各種イベントも中止になったりと、少々残念な祝日となってしまいました。
今週は台風一過の影響で気温が下がるようですので、風邪などに注意してくださいね。

さて今週で最後となります長時間労働に関してですが、今回はその続きを書いていきたいと思います。

●長時間労働者への医師による面接指導に関する「罰則」
 長時間労働者の医師面談を実施しない場合、責任者が司法処分されます。
 月100時間超の過重労働者の医師面談を実施せずに(労働安全衛生法第66条8、9違反)、精神障害、自殺などが発生した場合、悪質な場合は、国が人事等の責任者を司法処分する(刑事事件)旨の通達が出ています。(平成18年3月17日付基発第0317008号)
 また、「労働者の意思に反する強制労働」とみなされた場合、10年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科されます。(労働基準法第5条)

●小規模事業場について
 面接指導制度は、平成20年4月1日から常時50人未満の労働者を使用する事業場にも適用されています。
 これらの事業場については、産業保健総合支援センターを利用して面接指導を実施することもできます。

●長時間労働を減らすための取り組み
 面接だけでなく、長時間労働を減らすための、根本的な対策が大切です。下記はその対策例です。

□衛生委員会で、長時間労働の発生原因と対策を検討する
□ノー残業デー・ノー残業月間の策定
□勤怠管理システムの導入
□有給休暇の年間消化計画を作る
□残業の事前届出制度を作る
□管理職のマネジメント研修を行う

更に踏み込んだ取り組みとして・・・
■人事・評価制度の見直し
■賃金制度の見直し
 
社内で協力して、長時間労働を減らしましょう。

知ってるようで知らないPM2.5①

保健師の宮本です。
北九州で暮らし始めてもうすぐ5年。地域性や方言、ちょくちょく世間を騒がせる事件(汗)のニュースにもだいぶ慣れてきました。
そんな北九州ですが、仕事中だけでなくプライベートでも「こっちに来てから喉の調子が悪い」「鼻毛が伸びるのが早くなった気がする!」という他地域出身者の声を耳にすることが度々あります。
大気汚染、特にPM2.5が問題となって早数年、福岡県では近隣国からの越境汚染と思われるPM2.5濃度の上昇が社会問題になっています。
今週、来週は「PM2.5」のお話です。

そもそもPM2.5とは一体何者なのでしょうか?
一言で表すと粒子径2.5ミクロン以下の粒子状物質(赤血球=約5ミクロン、花粉=約10ミクロン)のことで、更に小さい粒子が集まったものを指します。
(「PM」の後にくっついた数字で大きさを表しているので、PM10なんていう物質もあるみたいです。)
無害であれば問題ないのですが、何せあの世界保健機関(WHO)国際がん研究機関によると「PM2.5を含む大気汚染物質は発がん性がある」そうなのです。

PM2.5の発生源はボイラー・焼却炉・自動車・船舶・航空機など人為的なものや、土壌・海洋・火山など資源を起源とするものの2パターンがあります。
その成分は石炭などを燃料とする火力発電所やディーゼルなどの排気ガス粒子、硫黄や窒素の酸化物などがあるため、これを聞いただけでも「体に悪そう」というのは明らかですよね。

加えて、WHOは2012年に亡くなった人のうち700万人は大気汚染を原因としているだろうとの見解も表明しています。
ヨーロッパやアメリカの調査でも「大気中におけるPM10-2.5濃度と肺癌・心血管系疾患の罹患率・死亡率は比例する」と報告していますし、欧米のデータが日本人に当てはまるかどうかはさておき、PM2.5=体に悪いというのは事実のようですね・・・

次回はPM2.5がどうして体に悪いのか、どのようにして健康被害から自分の身を守るか、に焦点を当てます。お楽しみに!

「過重労働解消キャンペーン」が11月に実施されます。

厚生労働省では、過重労働などの撲滅に向けた監督指導や無料の電話相談などを実施します。
実施期間 平成26年11月1日(土)から11月30日(日)までの1か月間
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html

 ・「過重労働解消相談ダイヤル」(無料)を全国一斉に実施し、都道府県労働局の担当官が相談に対応します。
   実施日時     : 11月1日(土) 9:00 ~ 17:00 
   フリーダイヤル : 0120(794)713(なくしましょう 長い残業)
 ・過重労働解消のためのセミナーが福岡でも開催されます。詳細は URL:http://過重労働解消.jp/ をご覧ください。

アーク溶接作業の傍に立っている人が危ない

アーク溶接作業者が紫外線にばく露され、角膜炎を起こすことはよく知られています。通常作業者は保護面を使用することにより、角膜炎を予防できます。実際の現場では溶接作業者本人ではなく、溶接作業の傍に立っている方に角膜炎が起こることが結構あります。何気なく溶接の光を見ることで、角膜炎になるようです。特に仕事が終わり帰宅してから眼が痛み出すことも多いので、要注意です。角膜炎の症状が出た際、現場の方はよく「眼を焼いた」といいます。

長時間労働者への対応はきちんとできていますか?

おはようございます、保健師の山本です。
最近は日に日に寒くなりますね。
私自身ものすごく寒がりなので、某メーカーのあったかインナーやらニットやらを押し入れから引っ張り出す作業を着々と進めています。
あったかくて使いやすいおすすめの防寒着がありましたら、ぜひお知らせいただけたらと思います(笑)

さて、私は昨日日帰りで名古屋まで日帰り出張に行ってきました。
何故かと申しますと、前回より取り上げています長時間労働者への面談指導のためです。
今回は私的にタイムリーなこともありますし、長時間労働者への面接指導についてとり上げたいと思います。

●労働安全衛生法で定める「長時間労働者への医師による面接指導」とは?
 脳・心臓疾患の発症予防のため、事業者には、長時間労働者に対し、 医師による面接指導を実施することが義務付けられています(労働安全衛生法第66条の8、第66条の9)。
事業者は長時間労働等の要件に該当する労働者の健康状態を把握し、適切な措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、 衛生委員会等への報告等)を講じなければなりません。

●対象は?
すべての事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場は平成20年4月から適用)

●概要
事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。 (ただし、1か月以内に面接指導を受けた労働者等で、面接指導を受ける必要がないと医師が認めた者を除きます)

  過重労働

昼寝のススメ

保健師の宮本です。

すっかり過ごしやすい気候になりました。

夏の疲れが皺寄せのようにやってきたり、朝晩の冷え込みで風邪をひきやすい時期。

しっかり休んで体調管理してくださいね!

 

さて今日はそんな「休息」の話題です。

私はよく保健指導の中で、健康のためには2時間、減量の意志をお持ちなら3時間開けてくださいとお話しています。

しかし、「そんなことしてたら睡眠時間確保できないよ~」と仰る方も少なくありません。

残業や家事などでなかなか自分の時間がとれず、5時間睡眠><酷い人は3~4時間睡眠で頑張っているという話もお聞きします。

睡眠時間にも個人差があるので何時間寝るのが適正です、とは言えないのですが・・

(ナポレオンは3時間、明石家さんまは2時間、レオナルドダヴィンチはなんと90分で十分だったそうです。逆にアインシュタインは10時間寝ないと調子が出なかったそうなので、ショートスリーパー(短睡眠者)=偉人とは言い切れない?)

日中眠くなったり集中力が欠けるという自覚のある方は、睡眠不足(又は寝過ぎ)である可能性が高いです。

 

自分の睡眠状況について思い返してみてください。

普段はそうでもない方でも、睡眠に関して何らかの問題(時間・質・環境など)がある日には、昼食後の13時~16時に猛烈に眠くなりませんか?

この「昼間の眠気」は世界中の悩みだそうで、アメリカとイスラエルでは交通事故、スウェーデンではガスメーター測定員の読み違いが多発する時間だとか。

同様に、日本でも視界の悪くなる夜間の次に交通事故・産業事故の多い時間がこれに一致します。

 

解消法はないの?と思った方!

多少強引ですが、眠いなら思い切って寝てしまえ!という方法があるんです(笑)

 

それは昼食後たった15分の「お昼寝」。

 

大学時代の恩師である中田光紀先生の研究では、この「15分仮眠」によって

・頭がスッキリして、事故件数が減った!

・ストレスや疲労が軽減した!

・寝ぼけの影響が少なく、午後の仕事にすぐ取り掛かれる!

・夜の寝つきや睡眠の質が却って良くなった!

・なにより、お金がかからない!!

という嬉しい声が多数寄せられたそうです。

毎日は難しくても、水曜や木曜といった1週間の疲れがピークに達するとき(金曜日になると、「明日は休み♡」という気持ちによって疲労感が激減するとか)だけでも試してみる価値がありますよ。

 

この「15分」というのがポイントで、それ以上寝てしまうと眠りが深くなりすぎて起きるのが苦痛になるそうです。

 

そうならないためにも、リクライニングチェアーなどで上半身を少し上げるなどして完全に横にならない方が良いとのこと。

寝つきが悪く、15分じゃ眠れないよ~という方も大丈夫。

ただ目を閉じてぼーっとするだけでもかなりの休息になります。

(これならトイレの個室でもできます!)

 

こんなにもメリットだらけの15分仮眠。

午後業務の効率化や事故防止のためにも、思い切って「お昼寝」してみませんか?

産推研に参加してきました

4日(土)に産業医大で、主に産業医大卒業生の産業医学関係者の集まりである産業医学推進研究会(産推研)が産業医科大学学会との共催で行われましたので、2年ぶりでしたが午後から参加してきました。新教授たちのシンポジウムと新学長の講演の後に行われた懇親会、二次会にも参加してきましたが、日頃弊社の業務でお世話になっている大学その他の先生方や関係者といろいろお話をすることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。産業医大の森山理事長には、弊社のような産業医事務所が医学部卒業生の修学資金免除機関に早く認定していただけるようお願いしました。今後のことを考えると、後進を育てることは重要な課題の1つです。

「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱」などの諮問と答申

報道関係者向けに以下が発表されました。

【政令案のポイント】 <労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案> 労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)に関して、以下のとおり施行期日を定めます。(平成26年10月公布・施行予定)

1. 以下の改正事項の施行期日を、平成26年12月1日とします。 ○ 法第88条第1項に基づく届出の廃止 ○ 電動ファン付き呼吸用保護具の譲渡制限・型式検定の対象への追加

2. 以下の改正事項の施行期日を、平成27年6月1日とします。 ○ 職場における受動喫煙防止措置の努力義務化 ○ 重大な労働災害を繰り返す企業に対する指示・勧告・公表を行う制度の創設 ○ 外国に立地する検査・検定機関を登録制度の対象とする見直し

3. 以下の改正事項の施行期日を、平成27年12月1日とします。 ○ ストレスチェックと面接指導の実施

※ 化学物質管理の在り方の見直しに関する改正事項の施行時期は、今後、別途定める予定。

10月1日~7日は労働衛生週間です

皆さんこんにちは、保健師の山本です。

今日から10月になりましたね。
タイトルのとおり、今日から7日までは第65回労働衛生週間です。
労働衛生週間にちなんで、今月は衛生講話等を実施されるところも多いのではないでしょうか。
ちなみに私は、昨日1日早い労働衛生週間にちなんだ講話を行ってきました。
40人以上の方にお忙しい中出席していただき、何か1つでも印象に残っていればと思っています。

労働衛生週間にちなみ、3回に分けて法的に見た長時間労働についてお話ししたいと思います。
第1回目の今回は、長時間労働に関する法律と長時間労働が体に及ぼす影響についてです。

●長時間労働に関する法律
長時間労働に関する法律は、次のようなものがあります。
☆労働時間の上限(労働基準法第32条第1項)
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1日8時間、1週40時間を超えて  労働させてはならない。
※週5.5日以上の勤務の場合、1日8時間以内でも週40時間を超えてしまうた  め、超えた分は時間外、または休日労働時間として計算する必要があり  ます。
*36協定で45時間を超える残業が可能となっていても、45時間を超えない  ものにしなければなりません。

●長時間労働が健康に及ぼす影響
長時間労働は、労働の負荷を大きくするだけでなく、睡眠・休養時間、家庭生活・余暇時間の不足を引き起こして、疲労を蓄積させます。一方、長時間労働の背景には、高い仕事の成果要求(業務量が多い、質的に高度な仕事)が存在することが多く、この存在は精神的負担、仕事密度の増加をもたらして、疲労の蓄積のもう一つの原因になります。
長時間労働による疾病の発症を示す一つの根拠として、Liu らによる長時間労働と心筋梗塞に関する研究結果があります。過去1 ヶ月間の週労働時間が61 時間以上(月時間外に換算すると約80 時間以上)では、週労働40 時間以下(月時間外に換算すると0 時間)に比べて心筋梗塞リスクが1.9 倍でした。また、その研究によると、過去1 年間の勤務日の睡眠時間が1 日5 時間以下では、6 ~8 時間に比べて心筋梗塞リスクが2.5 倍でした。

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