健診結果、見てますか?「尿たんぱく」
- 2015年01月27日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
先週に引き続き健康診断項目、取り分け尿検査のお話です。
今日は「尿たんぱく」についてです。
尿たんぱく検査では、本来ほとんど存在しないはずのタンパク質が尿内にどれだけ含まれているかを検査します。
Q.1どうしておしっこにタンパク質が混じるの?
そもそも「尿」とは、腎臓でろ過された血液の中から老廃物を取り出したものです。
血中のタンパク質は体に必要な物質なので、老廃物(=要らないもの)としては扱われません。
ですので、尿たんぱくの基準(正常)は「おしっこの中にタンパク質が入っていない」ことを示す「陰性(-)」となります。
しかし、腎臓がうまく機能していないとタンパク質など体内に留めておくべき物質が尿に多く混ざってしまい、尿試験紙が反応を示します。
つまり、尿たんぱくが陽性となった場合は「腎臓に何かが起こっている」ということです。
Q2.尿たんぱく陽性は病気なの?
尿たんぱくの健康診断結果で異常が出た場合、
急性・慢性腎炎、慢性糸球体腎炎、腎盂腎炎、腎硬化症、腎不全、腎臓がん、尿管結石、尿管がん、膀胱炎、膀胱結石、膀胱がん、前立腺炎、前立腺がん、尿道炎など、腎臓~尿路に関係する病気の危険性があります。
他にも・・・
肥満症、高血圧、糖尿病、膠原病といった血液や体全体に影響する病気の副産物として、腎機能も衰えているケースが考えられます。
ですが!
比較的タンパク質は尿に混じりやすいので、尿たんぱく検査が陽性だから病気であるとは断定できません。
再検査では陰性だった例もよくあります。
異常値が見られた場合はまずは再検査が必要です。
尿たんぱくの原因は病気以外にもたくさん存在します。
特に20代などでこの検査に引っかかったときは、数週間あけてから再検査をしてみることをおすすめします。
Q3.検査を受けたけど異常がないと言われました。それならどうしてたんぱく尿が出たの?
風邪の治りかけや、激しい運動後に尿中のたんぱく質が増加することも正常の範囲内です。
(寒さ、精神的興奮、強いストレス、体質という方もいます)
中には筋肉トレーニング後に日常的にプロテインを飲んでいたために、健康診断では陽性(+)になった人もいます。
プロテインは英語で「タンパク質」という意味なので、飲みすぎはタンパク質の摂り過ぎ→タンパク質が尿にまで溢れる事態に繋がります。
Q.4病気の可能性が低いなら、放置していても平気?
逆に再検査や精密検査で腎臓の病気が確定する人も、特に40~50代では増えています。
その際は尿糖や尿ウロビリノーゲンなど他の腎臓に関する数値を見て、MRI、CT検査、超音波検査、腎動脈造影、腎盂造影、腎シンチグラフィー、腎生検といった精密検査で診断されます。
蛋白尿も血尿と同様に「たまたま」の可能性が高い分、自分もそうだと思い込んで放置してしまうリスクを孕んでいます。
せっかくの健康診断、受けっぱなしにせずに結果を有効に使いましょう!