服部産業医事務所の活動

薄着の季節の前にダイエット講座~炭水化物編~

おはようございます、保健師の山本です。
寒さが緩んでくると気になるのがお腹周りや二の腕等冬の間についてしまった余分なお肉ではないでしょうか。
寒い時期は体温を保つために基礎代謝が上がるためダイエットにいい時期ではありますが、その分クリスマスやお正月、そしてこれからの時期は歓送迎会と美味しい物を食べたりする機会が多い、誘惑の時期でもあります。
そこで今回からは、薄着や健診前のダイエットの際に参考にしていただける小ネタをご紹介したいと思います。

1.最近のダイエットのキーワードは「糖質制限」
かつてダイエットの主流は「脂肪分の摂取を控える」でしたが、近年は「糖質制限」が話題となっています。

この時代背景には、2007年に米国医師会雑誌「JAMA」に掲載された、『低炭水化物ダイエット』があげられます。被験者の女性を4つのグループに分けて4つのダイエットを実行してもらったところ、カロリーを制限せず炭水化物を1日40g以下に減らした群が最も体重が減少したという報告です。
また、2008年にも「DIRECT試験」という大規模な臨床試験でも、最も体重が減ったのは糖質を制限したグループだったと報告されました。この研究は、40〜65歳でBMI27以上の人、2型糖尿病の人、冠動脈疾患の人の合計322人を、糖質制限食・脂質制限食・地中海食の3つのグループに分けて比較したものです。食事制限を2年間継続し、しっかり守れていた85%の人を比較した結果、最も体重が減ったのが糖質制限食で、カロリーは制限していなかったものの、実際はカロリー摂取量も減っていました。
これらの報告により、脂肪を減らすより炭水化物を減らした方が大きなダイエット効果が得られるという、それまでの脂質制限とは異なるダイエット法に注目が集まるようになってきました。
しかし、上記の糖質制限は非常に極端に糖質を制限するもので、その是非については今もさまざまな議論がなされています。

2.糖質制限のメリット・デメリット
糖質制限は、糖尿病予防やダイエットの観点から、非常に重要な考え方の1つです。もし、運動や肉体労働はせずに、デスクワークや家の中で過ごすことが多い人ならば、野菜や果物、お肉や魚、キノコや豆類などを食べることで必要な糖質はおおかた摂れてしまうでしょう。ご飯を食べたい! という欲求がそんなになければ、ご飯を食べなくてもよいと言っても過言ではないのです。
しかし、ご飯やパン、うどんやお蕎麦はおいしいですし、好きな人は多いと思います。※私もパンや麺類は大好きです。無理にこれを制限すると、ストレスがたまって逆に暴食してしまったり、何より機嫌が悪くなったりします。ですから、上手に賢く食べることを考えたほうがいいと言えます。
白米よりも胚芽米や麦、雑穀などを活用して、食事の最後に量を軽めに。とくに大麦。大麦には不足しがちな水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、さまざまな健康効果が報告されています。
実は、先の「DIRECT試験」には続きがあり、確かに糖質制限食のグループは体重減少効果が大きいのですが、5カ月目くらいが最も減って、その後少しリバウンドしています。それに対して、地中海食(イタリア、スペイン、ギリシャなどの地中海を囲む地域で食されている、野菜、果物、魚に、シンプルなパスタにオリーブオイルの食事)では、当初の体重減少は糖質制限食ほどではないものの、リバウンドが少なく、最終的には同等の体重減少となるという分析結果でした。さらに最近の研究で、糖質をとらないと、血液中の造血幹細胞が減ってしまうということがわかってきました。
加えて日本糖尿病学会は糖質制限食について、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限することは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など、重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では勧められない」と提言しています。
血糖値コントロールのために糖の摂取には十分な配慮が必要ですが、必要なエネルギーの摂取や、食物繊維、ビタミン&ミネラル摂取のためにも、バランスのよい食事が重要ということです。
また、運動をよくする人や肉体労働に就いている人などは、糖質によるエネルギーの摂取は不可欠です。

3.ではどんな糖質制限をすればいいのか?
 糖質制限や炭水化物ダイエットが話題となって、糖質や炭水化物に悪者のようなイメージを持たれている人もいるかもしれません。ここでまず、糖質と炭水化物の違いを簡単に説明しましょう。
わかりやすくシンプルにいうと、炭水化物から食物繊維を除いた部分が糖質。お米の場合、玄米から糠や胚芽を取り除いて白い糖質の部分だけにしたものが白米です。つまり、玄米には食物繊維が豊富に含まれていますが、白米になるとほとんどが糖質というわけです。
 
糖質はとりすぎると肥満や糖尿病の原因となりますが、食物繊維は積極的にとりたい栄養素。私たちは水溶性食物繊維の多くを炭水化物から摂取しています。糖質制限はいいけれど、それと同時に食物繊維が減ってしまっては、マイナスです。つまり、量だけでなく、質を考える必要があります。
玄米と白米を例に挙げましたが、ほとんどの炭水化物には、精製されているものと精製されていないものがあります。白米のほか、白いパン、白いうどんなどは精製されて栄養分が取り除かれ、食後の血糖値を急激に上げやすく、太りやすいのですが、大麦、ライ麦、玄米などの精製されていない炭水化物はゆるやかに血糖値を上げ、食物繊維のほか、ビタミン・ミネラルも豊富。しっかり摂取したい炭水化物といえます。
 
次回はダイエット中の方は敬遠しがちな「油」についてお話ししたいと思います。

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