服部産業医事務所の活動

のどが渇いても海水を飲んではいけない理由

こんにちは、保健師の山本です。
台風12号が週末の天気に影響を及ぼしそうですね。
台風の心配が多い夏にならなければいいなと思う、今日この頃です。

さて今回は、ちょっとした豆知識を2回に分けてお話ししたいと思います。

1.のどが渇いても海水を飲んではいけない理由
皆さん、「のどが渇いても海水を飲んではいけない」という話を聞いたことはありませんか?
海で誤って海水を飲んでしまった後、のどが逆に乾いた経験のある方もいらっしゃるかと思います。

海水の濃度は約3%。体液中の塩分(ナトリウム)濃度は約0.9%です。「海水のナトリウム濃度」の方が「体液中のナトリウム濃度」より濃い(高い)ので、当然のことながら海水を飲むと体内のナトリウム濃度が上昇します。ナトリウム濃度が上昇すると、体内のセンサーが働いて、脳から「のどが渇いた」という指令が出されます。

そこで水を飲むことができれば問題ないのですが、体内のナトリウム濃度より濃い海水を飲んでしまうことで、

「のどが渇く」→「海水を飲む」→「ナトリウム濃度が上昇」→「さらにのどが渇く」→「海水を飲む」→「さらにナトリウム濃度が上昇」→……

という負のスパイラルが働いて、本来は下げないといけないナトリウム濃度が、海水を飲めば飲むほど上昇してしまうことになります。

ちなみに、塩の致死量は体重1kgあたり約3~3.5gとされています。体重60kgだと180~210gです。
ちなみに、「しょうゆを1L飲むと死ぬ」という話もあります。しょうゆの塩分濃度は濃い口で16~17%、薄口で17~18%。しょうゆ1リットルには約160~180gの塩分が含まれており、かなり危険なことがわかります。

2.人の体は〇〇でできている
人間の体は水を必要としています。水があって始めて臓器は正常に働きます。汗や尿にも塩分(ナトリウム)は含まれていますが、体液のナトリウム濃度よりも薄い(低い)ので、汗や尿で水分が体外へ出ると、水分不足により体内のナトリウム濃度は相対的に上昇します。

 体内のナトリウム濃度の上昇を抑えるには、体内に水分を入れて薄めてあげないといけないのです。もしも、体液中のナトリウム濃度が高い状態が続くと、浸透圧により細胞内の水分が体液中に移動してしまうことになります。

 身近な例として漬物で考えてみましょう。漬物を作るときには塩づけにします。野菜の細胞と塩水が触れると野菜の細胞の膜が半透膜の役割をします。塩水のほうが野菜に比べ濃度が高いので、野菜の中から水分が出て行ってしまい、野菜はしぼんでシワシワの脱水状態になります。

 私たちの体で考えると、「野菜」が「私たちの細胞」、「塩水」が「体液」にあたります。私たちの細胞を覆っている体液の濃度が高いと、浸透圧により「細胞内の水分」が「細胞外の体液」へ出て行ってしまいます。そうなると私たちの細胞内はシワシワの脱水状態に陥るマズい状態になってしまうのです。

それでは続きは次回、お話ししたいと思います。

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