眠気覚まし:ひと眠りVSコーヒー
- 2015年10月20日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
今日は久々に、目に留まった記事をご紹介します!
もうクタクタで今にも倒れそうだけど、仕事を終えるまでもう少し頑張らないと・・・皆さんはそんなとき、コーヒーを飲んで気分転換しようと思いますか?
それとも、ほんの少しだけ横になりますか?
そのどちらが良いのか、科学的な根拠を取り上げた記事です。
「ちょっとひと眠り」のメリット(ひと眠りするべき場合)
総合的に見てメリットが大きいのは、コーヒーより昼寝です。
昼寝は脳の記憶力を高め、注意力を高め、脳の認識能力を全般的に向上させます。
おまけに、カフェインは切れると効果が一気に薄れますが、昼寝にはそれがありません。
カリフォルニア大学サンディエゴ校心理学部が実施した画期的な研究から、60~90分の昼寝は、知覚学習や、運動スキル学習(技能を繰り返すことで身体で覚える記憶)、そして言語記憶の改善に、カフェインよりはるかに大きな効果を発揮することがわかっています。
「ひと眠り」のデメリット
昼寝の欠点は、時間がかかることです。
60~90分は寝たいところですが、常にそんな余裕があるとは限りません。
学術誌『Nature Neuroscience』に掲載されたSara Mednick博士の研究によると、10分から30分ほどの「パワーナップ」でもコーヒー1杯分より効果があるようですが、タイミングをうまく計る必要があります。
昼寝の時間が30分以上で、しかし、1回の睡眠周期である60~90分以下である場合は、睡眠慣性のせいで機敏さが失われ、頭がさらにぼんやりしてしまうでしょう。
睡眠慣性とは「寝続けていたい」という脳が持つ習性で、私たちが毎朝目覚めたときに体験しているものです(頭がボーッとする状態はおなじみですよね)。
場合によっては、頭がスッキリするまで数時間を要することもあります。
また、昼寝を午後の遅い時間にとるのは避けましょう。
概日リズム(体内時計)が狂ってしまうからです。
その日の夜の睡眠まで乱されてしまうと、翌日はさらに疲労感が増すハメになります。
「ひと眠り」まとめ
時間があったら、まずは昼寝をしてみましょう。
ただし、実際に眠る時間は20分程度にします(前後の余裕を見て、30分の時間をとると良いでしょう)。
また、脳がもっとも疲れている午後の1時から3時の間に昼寝をするようにしてください。
コーヒーのメリット(コーヒーを飲むべき場合)
昼寝が無理なら、代わりにコーヒーを飲むのも悪くありません。
昼寝ほど時間がかかりませんし、横になるためのベッドやソファなども不要です。
どう考えても、コーヒーのほうが絶対に手軽です。
しかも、昼寝よりもハツラツとする「気がする」はずです。
先ほどご紹介したカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では、昼寝をした被験者グループより、カフェインの影響下にある被験者グループのほうが「元気がわいてきたような気分」を味わっています。
記憶力テストの点数はカフェインを摂取した被験者グループのほうが低い結果となりましたが、昼寝をした被験者グループのように頭がぼんやりしたり、不快感は無かったようです。
中年にはひと眠りよりコーヒーが向いている?
カフェインは注意力を維持したい中年の人々にとっても良いようです。
睡眠に関する学術誌『Sleep』に掲載されたフランスの研究で「40歳から50歳の被験者たちにドライビングコース内を運転してもらった」ところ、カフェインを摂取した被験者のほうが昼寝をした被験者より上手に運転できたそうです。
同じ研究に参加した「年齢の低い世代」の場合は、昼寝のほうがメリットが大きかったので、年齢が上がると、昼寝よりも1杯のコーヒーのほうが効果的になるのかもしれません。
とはいえ、あるオーストラリアのある研究によると「頭がぼんやりしているときは、年齢に関係なくカフェインを摂取してからハンドルを握ったほうが、何もしないよりはマシ」なようです。
(いずれにせよ、頭がボーッとしているときは運転しないのが1番です)
コーヒーまとめ
コーヒーは身体を目覚めさせ、運転時には注意力を維持する効果があります。
時間に追われているときにシャキッとする必要があるなら、頼るべき手段の1つと言えるでしょう。
けれども一般的には、コーヒーは昼寝に次ぐ2番目の選択肢であるべきです。
ちなみにカフェインは、サイクリストの身体能力を向上させ、アスリートの全般的な身体持久力を高めることが、さまざまな研究からわかっています。
可能ならばコーヒー・ナップを
何かと話題の「コーヒー・ナップ」は、イギリスのラフバラ大学が行った各種の研究から生まれました。
コーヒーを1杯飲んでから昼寝をすれば、目覚めたときにタイミングよくカフェインの効果が表れ始めるというわけです。
臨床神経生理学の学術誌『Clinical Neurophysiology』で発表された、広島大学大学院総合科学研究科行動科学講座の林光緒教授を中心とした研究から「昼寝から目覚めたときに頭をはっきりさせたかったら、まぶしい光を浴びたり、顔を洗ったりするよりも、コーヒー・ナップの方が効き目がある」ことがわかりました。
人間工学の学術誌『Ergonomics』に掲載された別の研究でも、通常の昼寝よりコーヒー・ナップのほうが、夜間の注意力やパフォーマンスを向上させることが示唆されています。
コーヒー・ナップ、別名カフェイン・ナップは、状況が許せば総合的に見てもっともオススメできる方法です。
ただし注意しなければならないのは、カフェインの効果が現れる前に眠りに落ちる必要がある点です。
それさえうまくいけば、昼寝のメリットを享受できる上に、目覚めたときにありがちな、ぼんやりとした感覚もありません。
最悪の場合でも、カフェインのメリットだけは得られるでしょう。
結局、夜に良質の睡眠をとることに勝るものはないのです。
1日を何とか切り抜けなければならないときは、「コーヒーと昼寝」で何とか乗り切ってくださいね。
MSNニュース
Patrick Allan(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
http://www.msn.com/ja-jp/news?ocid=iehp