実は怖い病気?「緑内障」
- 2016年03月01日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
昨日は寒かったですね。まさか2月の最終日に雪が降るとは思いもしませんでした。
コート類のクリーニングは、もう少し様子見が必要ですね><
さて、今週は久しぶりに「実は怖い病気」シリーズから「緑内障」を取り上げてみます。
緑内障とは
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する「視神経」という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。
緑内障の恐ろしさは、進行がゆっくりである分軽く考えがち、治療が遅れると失明に至ることにあります。
しかも両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。
緑内障の種類と原因
緑内障による視神経の障害は、目の硬さである「眼圧」が上昇することによって起こります。
緑内障は眼圧が上昇する原因によって分類され、その眼圧は眼の中の水(房水)の量によって決まります。
ちなみに房水は「隅角」という部分から、フィルターにあたる「線維柱帯」、出口となるシュレム管を通って眼の外に出ていきます。
原発開放隅角緑内障
房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。
ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。
正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。
これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。
近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いことがわかりました。
原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなることで房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります
発達緑内障
生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。
続発緑内障
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇やステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。
緑内障の検査
緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。
定期検診などでいずれかの検査に異常があった場合、必ずもう一度眼科医の診察を受けるようにしましょう。
眼圧検査
直接目の表面に測定器具をあてて測定する方法と、目の表面に空気をあてて測定する方法があります。
緑内障治療経過を確認するための重要な検査です。
眼底検査
視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。
視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し、大きくなります。
緑内障発見のための必須の検査です。
視野検査
視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。
緑内障の治療方法
一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。
したがって、緑内障の治療は、これ以上視野が狭くならないよう眼圧を下げることが基本となります。
点眼薬による治療
眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。
具体的には房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。
もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって病気の進行を抑えることができます。
外科的療法による治療
点眼薬を使っても視野の欠損が進行する場合には、外科的治療を行います。
レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」などがあります。
緑内障とは、一度発症したら一生付き合っていかなくてはならない病気です。
信頼できるお医者さんにかかり、根気よく治療を続けていくことが大切です。
次回は「白内障」についてお伝えします。お楽しみに!
【参考・引用】
参天製薬ホームページ http://www.santen.co.jp/ja/
日本眼科学会 http://www.nichigan.or.jp/index.jsp