健診結果、見てますか?「赤血球」
- 2015年03月03日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
健診項目のお話も今週で4回目になります。
全部網羅するにはどれだけかかるか分かりませんが、たまには寄り道しながら細々と続けていければと思っています。
今日は血液検査項目の1つ、「赤血球(RBC)」です。
赤血球数(検査)とは、その名の通り血液中にある赤血球の数を調べる検査です。
【赤血球数の基準値(成人)】
男性 420~554(*104μl)
女性 384~488(*104μl)
Q.1赤血球数(RBC)って何?
血液の約45%は血球と呼ばれる成分でできています。
この血球には「赤血球」・「白血球」・「血小板」の3種類があるということは有名ですが、そのうち95%は赤血球、更にこの赤血球はほぼヘモグロビン(Hb)と呼ばれるタンパク質で成り立っています。
(哺乳類の血液が赤く見えるのは、このヘモグロビン(Hb)が赤色のためです。)
赤血球の働きとして最も重要な役割は、肺で取り込まれた酸素を全身に運ぶ働きです。
Q.2赤血球数(RBC)異常は病気なの?
●基準より少ない場合(いわゆる「貧血症」)
貧血にはその原因によって数種類に分類されますが、約90%は鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血といわれています。
Q1でお話したように、酸素の運び屋である赤血球の人員不足で酸欠状態が続くことによって以下のような症状が現れます。
症状 疲労感・めまい・頭痛・集中力の欠如など
女性は生理や妊娠・出産などで鉄を失う量や必要量が多いため、貧血になりやすいです。
逆に言えば男性の貧血症は稀です。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃・大腸がんなど「見えない部分で出血している」可能性がありますので、特に男性は早めに精密検査を受けることをお勧めします。
●基準より多い場合(「赤血球増多症」「多血症」などと呼ばれます)
栄養過多(肥満)や一時的なもの(主に脱水で起こる相対的多血症など)、ストレス性のもの、原因不明のものまで多々ありますので、赤血球数が多いからといって全ての人が多血症(赤血球増多症)とは言いきれません。
一方で血液の病気によるもの(真性多血症)や慢性閉塞性肺疾患や睡眠時無呼吸症候群、子宮筋腫、肝・腎臓がんといった病気の症状(続発性多血症)として現れることもあります。
「いきなり数値が増えた」ときは精密検査を受けた方が安心です。
症状 頭痛・めまい・倦怠感・呼吸困難(感)・腹痛・高血圧・皮膚の痒み・
顔面紅潮・結膜の充血の他、血栓ができやすくなりますので脳梗塞・
心筋梗塞などの原因になることも
Q.3赤血球数(RBC)の異常はどうしたら治るの?
Q2を読んで下さった方はお分かりのように、赤血球数異常には「自力で治せるもの」と「自力で治せないもの」に二分します。
まずは自分の赤血球数が少なすぎる・多すぎる原因は何なのかを明確にするため、一度検査を受けてみてください。
そのときに「鉄が足りてないからですよ~」や「水飲んでください」「ちょっと痩せてみましょうか」と言われた方は「自力で治せるタイプ」です。
病院で注意されたことを心がけて生活してみてください。
Q4.「鉄が足りない」と言われたけど、サプリメントを飲んだら良いの?
病院で処方される鉄剤とサプリメントの鉄剤では、鉄分の含有量や吸収性で雲泥の差があります。
早急に貧血を治したいなら病院で処方された鉄剤を内服した方が良いです。
日常生活に支障はないけど、ちょっと貧血気味できついな~という程度の方は食事で鉄剤を摂るという手もあります。
ただし鉄の多い食材を食べるだけでは不十分。
鉄の吸収を助けるタンパク質やビタミンC、赤血球をつくるのに欠かせないビタミンB12と葉酸も一緒に摂ると効果的です!
この他にも、バランスの良い食事・規則正しい生活・ストレスを溜めないなど「貧血に良い」とされていることを心がけてみましょう。
それでも改善が見られないようであれば鉄剤を検討してみても良いかもしれません。
赤の次は白、次週は白血球に着目したいと思います。
せっかくの健康診断、受けっぱなしにせずに結果を有効に使いましょう!