二日酔い対策は万全ですか?
- 2015年12月16日
- 健康管理
おはようございます、保健師の山本です。
今日から数日は急に冷え込むみたいですので、風邪やインフルエンザに注意して年末年始のイベントに向け体調を整えましょう。
さて、忘年会シーズンになり飲酒の機会が増えている方も多いのではないでしょうか?
お酒を飲んだ翌日に体調を崩したり、気分が悪くなって仕事や生活に支障をきたす…二日酔いはお酒を飲む方なら1度は経験したことがあるのではないでしょうか。
本日はそんな二日酔いについてお話をしたいと思います。
1.「酔い」のメカニズム
アルコールは、飲酒後1~2時間かけて胃で約20%、小腸で約80%が吸収された後、血液から全身を巡ります。
アルコールは、アルコール脱水素酵素(ALDH2)によって有害なアセトアルデヒド(CH3CHO)になり、アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド分解酵素(ADH)や、ミクロゾーム・エタノール酸化酵素系(MEOS)によって無害な酢酸(CH3COOH)変わります。
その後、酢酸は、水と二酸化炭素に分解され、呼気、尿、汗として排泄されます。
この過程がいわゆる酔いのメカニズムです。
二日酔いは、このメカニズムが破綻し、脱水、胃痛、吐き気、疲労感、頭痛、筋肉痛、睡眠障害などの症状が出る異常な状態をいいます。
2.お酒を飲むとなぜトイレが近くなるか?
お酒を飲むとトイレが近くなったことがある方は多いと思います。
普段はそんなにトイレに行くこともないのに…と不思議に思ったことはありませんか?
アルコールは、体内の水分調節をする抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑える、つまり、尿をよく出す働きがあります。
例えば、大量の汗をかいたり、脱水症状になると、体内の水分を保つために抗利尿ホルモンの分泌量が増え、尿の量が減ります。
一方、お酒を飲むと抗利尿ホルモンの分泌量が抑えられてしまいます。
つまり、尿の量が増えるので、トイレが近くなるということです。
特にビールはアルコールのほか、大量の水分や新陳代謝を活発にするカリウムを含み利尿作用が強いため、トイレに何度も行くことになるのです。
ビール中瓶2本(アルコール量50g)を飲むと、およそ1ℓの水分が尿として排出されると言われています。
酒を飲みすぎれば水分が恋しくなるのは、体内の水分量が減少し、脱水状態になるからです。
飲みながら水分補給すれば二日酔いは和らぎますので、途中で水分も摂るようにしましょう。
3.二日酔いの症状は脱水だけでない
しかし、アルコールの弊害は脱水症状だけではありません。
アルコールは、血管を拡張する働きがあるので、免疫反応や生体防御に促すサイトカインを大脳周辺の血管に増加させ、頭痛を引き起こしやすくなります。
中でも日本酒は、多く含むアデノシンのほかアセトアルデヒドや酢酸も血管拡張作用があるため、血管が炎症を起こして片頭痛を起こしやすくなるお言われています。
また、アルコールは、胃粘膜を傷つけます。
胃は、胃酸が細菌やウイルスの侵入を防御しながら胃粘液によって胃粘膜を守っていますが、アルコール濃度の高いウイスキーやジンだけを大量に飲み続けると、胃粘液の分泌バランスが崩れ胃粘膜がダメージを受けるので、胃痛や吐き気を起こし二日酔いにつながります。
さらに、アセトアルデヒドは毒性があるため、アルコールの血中濃度が高まれば頻脈が現れたり、皮膚や顔が赤くなったり、吐き気を催したりします。
しかも肝臓はアルコールやアセトアルデヒドを最優先に分解するので、栄養素の代謝が遅れたり、グリコーゲンからブドウ糖を合成する働きが抑制されることから、血糖値が上がらないアルコール性低血糖の状態に陥ります。
アルコール性低血糖の状態が続くと無気力感や空腹感に襲われるため、飲んだ後のシメに、ラーメンやお茶漬けなどの炭水化物(糖質)が欲しくなるのは、低血糖の状態を改善し血糖値を上げる自然な生理作用です。
4.二日酔いにならないためには?
では実際二日酔いになったらどうしたらいいのでしょうか?
脱水症状にスポーツドリンク、しじみ味噌汁、お茶など、アルコール性低血糖にオレンジジュース、レモンジュース、コーンフレークなどは、二日酔いに効果があると言われています。
これらは摂っている方も多いのではないでしょうか。
次に二日酔いの予防ですが、特効薬は残念ながらありません。
二日酔いにならないためには、「水分補給・適量・気持ちよく愉しみ、休肝日をとること」が最も効果的です。
飲みすぎに注意しながら、体に無理なくお酒を嗜みましょう。