服部産業医事務所の活動

勢いのある企業には監督署の臨検が入りやすい

急激に売り上げや業績を伸ばしている企業や景気の良い業種の企業には労基署の臨検が入りやすいという印象があります。生産や売り上げを重視するばかりに安全衛生がおろそかになっているのではないか、忙しいあまり長時間労働になっているのではないかと監督官は考えるのかもしれません。場合によっては労働者の申告、いわば内部告発ですが、それをきっかけに監督署の臨検が入ることもあると聞きます。企業としては足元をすくわれないよう日頃からしっかりと労働時間や安全衛生管理に取り組んでおく必要があります。

肥満の話

おはようございます、保健師の山本です。
天気の世界では3月から春なのだそうです。
今年の冬は大寒波が来たせいで寒かった印象でしたが、今年の冬をまとめると6年ぶりの「暖冬」だったとのこと。
大寒波のせいで、いまいち暖冬感が薄いのは私だけではないと思っていますが、皆さんのこの冬の感想はどんな感じでしょうか。

さて今回は、私が保健指導を行うことが多い「肥満」についてお話ししたいと思います。

1.そもそも肥満とは?
人は年齢が上がるにつれて太りやすくなるもの。
その理由として挙げられるものに、「基礎代謝」と「活動代謝」の低下があります。

私たちはじっとしているときでも、エネルギーを消費していますが、これを基礎代謝といいます。
基礎代謝とは、呼吸をしたり、体温を保ったり、心臓を動かしたりする、生きているために最低限必要なエネルギーです。
体型や体質によって消費されるエネルギーは変わるものの、一般の成人男性で1日約1500キロカロリー、女性で約1200キロカロリーになります。
そして老化現象のひとつに筋肉量の低下がありますが、筋肉量が低下すると、この基礎代謝が下がります。
基礎代謝量は10代後半をピークに低下していき、40代を境に50代、60代でガクンと落ちていきます。
運動量が変わらないように見えても、年齢とともに太る人が多いのはこのためです。
若いころと同じように食べ、飲み、生活習慣を続けていれば、どんどん太ってしまいます。

一方の活動代謝とは、日常生活や運動で消費されるエネルギー。
「運動をする・しない」「デスクワークか否か」など、ライフスタイルによって消費されるエネルギー量は大きく変わります。
この活動代謝についても、スポーツや運動の機会が減少するため年齢ととも減少します。

そもそも肥満は、簡単に言えば「摂取エネルギー」が「消費エネルギー」を上回ったときに起こります。
年齢が上がると太りやすくなる理由は、消費エネルギーが年々落ちてきているのに、摂取カロリーを変えないためという、実に簡単なものなのです。
そのわかりやすい例が、プロスポーツ選手。
現役のころは太っていなくても、引退後しばらくすると見る影もないような状態になっていることも少なくありません。

2.「食べすぎ」vs「運動不足」
ではダイエットをするためには、「食事を減らして摂取カロリーを抑える」と「運動量を増やして消費カロリーを上げる」、どちらを意識すべきなのでしょうか?

正解は「食事を減らして摂取カロリーを抑える」。
もちろん運動して消費カロリーを上げるのも大切ですが、それでも運動だけでやせるのは実はとても難しいことです。
というのも、おにぎり1個分のカロリーを消費するだけでも、約1時間のウォーキングが必要なため。

なおダイエットの手段として「ランニング」を連想する人も少なくないと思いますが、ランニングで消費できるカロリーも、そこまで多くありません。
42.195キロのフルマラソンを走って、ようやく約2500キロカロリーが消費される程度です。
ちなみに、1kgの体脂肪を減らすのに必要な消費カロリーは、約7500キロカロリーだというので、フルマラソンで消費される体脂肪は約350g。
食習慣を変えることなく、運動やスポーツだけでがんばろうという考え方は実はとても難しいことなのです。
そしそれでやせたとしても、運動をやめれば太ってしまいます。

結果やせたければ、食事の量を見なおし、摂取カロリーを減らすことが必須です。
保健指導でもお話を聞いていると、肥満の方は基本的に「食べすぎ」の傾向にある方が多いです。
だからこそ食べる量を適正値に戻すだけで、たいていの人は自然とやせることができ、その体重を維持できるということになるのです。

次回も「肥満」に関するお話をしたいと思います。

実は怖い病気?「白内障」

保健師の宮本です。

3月に入り、日中は暖かく感じるようになってきました。

花粉症やPM2.5の季節と考えれば嫌な時期ともいえますが、過ごしやすい気候であることは確かです。

しっかり花粉症・PM2.5対策をして、新緑の季節を楽しみたいですね。

 

今週は、予告通り「白内障」についてのお話です。

白内障=加齢のイメージが強く、割と身近に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

たしかに白内障の多くが加齢によるものといわれています。

正しい知識を身につけて、「受診すべきなのか」の判断基準にして下さいね。

 

白内障の症状

白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気です。
水晶体とは、目の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めてピントを合わせます。
通常は透明な組織ですが白内障では白く濁ってしまうため、集めた光がうまく眼底に届かなくなることで以下のような症状が現れます。

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白内障の代表的な症状

  • 視界が全体的にかすむ
  • 視力が低下する
  • 光をまぶしく感じる
  • 暗いときと明るいときで見え方が違うなど

 

白内障の種類と原因

水晶体は主にたんぱく質と水でできています。

たんぱく質は、加齢長年にわたる紫外線曝露など様々な影響を受けて、だんだんと変化し白く濁ります。

その結果、水晶体全体が濁り、視力の低下を招くことになります。

白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」と呼んでいます。

個人差がありますが、誰でも年をとるにつれて水晶体は濁ってきます。

加齢性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢の人ほど多く発症します。

白内障の種類   原因
 加齢性白内障  加齢
 全身疾患に合併する白内障  アトピー性皮膚炎、糖尿病 など
 先天性白内障  風疹 など
 外傷性白内障  目のけが など
 併発白内障  ぶどう膜炎 など
 その他  放射線、薬剤(ステロイド剤)

 

 

白内障の治療方法

白内障は、どんなに症状が進行しても手遅れということはありません。

ただし他の病気を併発する可能性もありますので、症状が気になったら眼科を受診しましょう。

白内障の治療は、病状の進行段階によって異なります。

 

1 )仕事や生活に支障が出ていない初期の場合

視力の低下や目のかすみが日常生活に支障がない初期の段階では、ピレノキシン製剤やグルタチオン製剤による点眼治療が基本です。

ただし、薬を使用しても水晶体が透明に戻るわけではなく、あくまで白内障の進行を抑えることが目的です。

2 )仕事や生活に支障が出てきた場合

白内障が進行して日常生活に支障がみられる場合には、外科的手術が行われます。

現在では「超音波乳化吸引術」が一般的です。

この手術では、濁った水晶体を超音波で粉砕して取り除き、その代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入します。

白内障の手術は、多くの患者さんが安心して受けることができる手術の1つです。

また、手術を受ければ視力の回復が見込める病気です。

ただし人工的な眼内レンズにピント調節機能はないため、手術後もメガネなどによる視力の矯正が必要な場合があります。

3 )白内障の手術

現在、白内障の手術は主に濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波水晶体乳化吸引術)、眼内レンズを入れるという方法で行われています。

白内障が進行して核が固くなっている場合は、水晶体の核を丸ごと取り出すこともあります(水晶体嚢外摘出術)。

 

「歳のせい」だと放置していたら実は他の病気の症状だったり、治療することで良くなったり・・・

「おかしいな」と思ったら、まずは眼科で相談することをお勧めします!

 

【参考・引用】

参天製薬ホームページ http://www.santen.co.jp/ja/

日本眼科学会 http://www.nichigan.or.jp/index.jsp

ストレスチェック後の医師による面接指導を承ります

ストレスチェック後の医師による面接指導は基本的にその事業所の産業医が実施するよう求められていますが、実際には名ばかり産業医であったりとか、産業医がストレスチェックに前向きでないとかいったことで、産業医に面接指導を依頼できない事業所もあります。こうした場合、事業所としては外部の医師に面接指導をお願いぜざるを得ない状況になります。こうしたニーズに応えるべく、弊社は4月以降精神科医師の増強を行い、産業医契約のない事業所からの面接指導も承ることにしましたので、お困りの事業所についてはご連絡ください。鋭意ご相談に応じたいと思いますので、よろしくお願いします。

今年も無事確定申告を終えました

今年も川本顧問税理士にお願いしていた個人の確定申告を先日無事に終えることができました。昨年と比べ収入、所得減、追徴増となりましたが、大きな変動はありませんでした。1年に1回の確定申告はこれからの自分の働き方を考えるための良い機会になりますし、何より微力ながらも自分が社会貢献していることを実感させてくれます。税務署からの回し者ではないですが、そのためにも税金は正しく申告しましょう!

アレルギーの話

おはようございます、保健師の山本です。
桜の開花予報が発表され、福岡は3月25日頃開花だそうです。
春が近づいてきているのがわかりますね。
さて、春が来るのは楽しいことですが、花粉症持ちには辛い季節でもあります。
私も花粉症やらPM2.5でアレルギーが出るので、アレルギー持ちの方の気持ちがよくわかります。
そこで今回は、アレルギーについてお話ししたいと思います。

1.アレルギーは子どもの病気ではない
アレルギー性の病気の代表格として、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどがあります。
これらは子どもの頃に多くみられるため、アレルギーは子どもの病気という印象をお持ちの方も少なくありません。
アレルギー症状には、皮膚のかゆみ、目や鼻などの粘膜の炎症、咳、嘔吐、下痢、頭痛などがあります。
これらの症状が、成長とともに治まったり、軽くなったりすることが多いのも、子どもの病気という印象を強くさせている要因といえるのですが…。
しかし、成長して大人になってからも、アレルギー症状が続くことはあります。
実はぜんそくは、子どもの頃は小児ぜんそく、大人になると成人ぜんそくというように、移行に伴い病名で区別される場合もあります。
また、子どもの頃はアレルギー症状がなかったにもかかわらず、大人になってから突然現れるケースもあります。
※ちなみに、私が花粉症になったのは大学生の頃です
突然発症することで知られる花粉症が、「季節性アレルギー性鼻炎」という別名をもつアレルギー性の病気であることを考えれば、大人も無関係ではないことがわかっていただけるかと思います。

2.気になる時はアレルギー検査を
アレルギー症状を引き起こしている原因をアレルゲンと呼びます。
何がアレルゲンなのかを調べるアレルギー検査は、医療機関で採血をするだけと実は簡単なもの。
ただしアレルギー検査の難点は、アレルゲンには実にさまざまなものがあるということです。
何がアレルゲンになっているのかは、それぞれの項目ごとでしか確認ができません。
例えば花粉症の場合、スギのアレルギー検査を行うことで、スギ花粉が自分にとってアレルゲンなのかどうかはわかります。
しかし、ヒノキやブタクサなど、ほかの花粉がどうなのかは、ヒノキ花粉の検査と、ブタクサ花粉の検査をそれぞれ行わない限り、知ることができません。
複数の項目を知りたい場合は、個別にそれぞれの項目の検査を行うのではなく、複数の項目を確認できるアレルギー検査を受けることをおすすめします。
検査によっては、多岐にわたる30項目以上の項目を、一度の採血で確認できる検査もあります。
主な項目として、以下のものがあります。
【食物アレルゲン】 農産物(キウイ・バナナ・ソバ・小麦・大豆・米・ゴマ・ピーナッツ) 魚介類(マグロ・サケ・エビ・カニ) 牛乳・卵・肉(豚・牛・鶏)
【花粉アレルゲン】 スギ・ヒノキ・ブタクサ・シラカバ・ヨモギ・ハンノキ・ハルガヤ・カモガヤ・オオアワガエリ
【環境アレルゲン】 ダニ・ハウスダスト・犬や猫のフケ・真菌類(アスペルギルス・アルテルナリア・カンジダ)・ラテックス 等
複数のアレルゲンを確認できるアレルギー検査を希望する場合は、まずは実施しているかどうかを医療機関に確認しましょう。
その際、希望する項目を漏れなく確認するために、確認可能なアレルゲンを教えてもらうと無駄がありません。
なお、金属アレルギーの検査は採血ではなく、パッチテストによって行われます。
金属アレルギー検査を希望する場合もやはり、医療機関に実施しているかどうかと、確認できる項目(金属の種類)をあわせて問い合わせましょう。

実は身近な病気のアレルギー。
気になる症状がある時は近くのクリニック等で検査をしてみませんか?

実は怖い病気?「緑内障」

保健師の宮本です。

昨日は寒かったですね。まさか2月の最終日に雪が降るとは思いもしませんでした。

コート類のクリーニングは、もう少し様子見が必要ですね><

 

さて、今週は久しぶりに「実は怖い病気」シリーズから「緑内障」を取り上げてみます。

 

緑内障とは

緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する「視神経」という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。

緑内障の恐ろしさは、進行がゆっくりである分軽く考えがち、治療が遅れると失明に至ことにあります。

しかも両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。

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緑内障の種類と原因

緑内障による視神経の障害は、目の硬さである「眼圧」が上昇することによって起こります。

緑内障は眼圧が上昇する原因によって分類され、その眼圧は眼の中の水(房水)の量によって決まります。

ちなみに房水は「隅角」という部分から、フィルターにあたる「線維柱帯」、出口となるシュレム管を通って眼の外に出ていきます。

 

原発開放隅角緑内障

房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。

ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。

 

正常眼圧緑内障

眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。

これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。

近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いことがわかりました。

 

原発閉塞隅角緑内障

隅角が狭くなることで房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります

 

発達緑内障

生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。

 

続発緑内障

外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇やステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

 

緑内障の検査

緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。

定期検診などでいずれかの検査に異常があった場合、必ずもう一度眼科医の診察を受けるようにしましょう

 

眼圧検査

直接目の表面に測定器具をあてて測定する方法と、目の表面に空気をあてて測定する方法があります。

緑内障治療経過を確認するための重要な検査です。

 

眼底検査

視神経の状態をみるために、視神経乳頭部を観察します。

視神経が障害されている場合、陥凹(へこみ)の形が正常に比べて変形し、大きくなります。

緑内障発見のための必須の検査です。

 

視野検査

視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから緑内障の進行の具合を判定します。

 

緑内障の治療方法

一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。

したがって、緑内障の治療は、これ以上視野が狭くならないよう眼圧を下げることが基本となります。

 

点眼薬による治療

眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。

具体的には房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。

もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって病気の進行を抑えることができます。

 

外科的療法による治療

点眼薬を使っても視野の欠損が進行する場合には、外科的治療を行います。

レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」などがあります。

緑内障とは、一度発症したら一生付き合っていかなくてはならない病気です。

信頼できるお医者さんにかかり、根気よく治療を続けていくことが大切です。

 

次回は「白内障」についてお伝えします。お楽しみに!

 

【参考・引用】

参天製薬ホームページ http://www.santen.co.jp/ja/

日本眼科学会 http://www.nichigan.or.jp/index.jsp

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