服部産業医事務所の活動

高速道路でのバスの事故

昨日高速道路でバスが事故を起こし、7人の方が亡くなられました。最近悲惨な交通事故が度重なって発生しており、胸が痛む思いです。報道によりますと、今回の事故はバスの運転手の居眠りが原因のようです。高速バスの運賃があまりにも安く設定されているがゆえに、最終的に1人の運転手に負担がかかってしまうという構造的な問題もあるようです。産業医としては、運転手は睡眠時無呼吸症候群でなかったのか、健康診断結果はどうだったのか、長時間運転による過労状態ではなかったのかなど、健康管理上、労務管理上の問題も気になります。いずれにせよ効率性や利益を追及し過ぎるあまり、安全上の問題がおろそかになるようなことは決してあってはならないと思いますし、そうした場合に経営者に待ったをかけることも産業医の務めと考えます。

安全衛生委員会のメンバー

労働安全衛生法にて安全衛生委員会は会社側と労働者側の委員が一堂に会し安全衛生について審議する場とされており、それぞれの委員の数を半々とすべきことも定められています。最近は少なくなりましたが、委員がすべて管理職(会社側)で、議事も安全衛生に関する報告に終始し、「安全衛生連絡会」となっている事業所もありました。安全衛生委員会に関しては労基署の安全衛生管理体制に関する重点指導事項の1つになっているようであり、最近は労使の委員をきっちり半数ずつにして運用しているところが多くなりました。ちなみに議長はその事業所の長がなっているところがほとんどですが、安全管理者、衛生管理者、産業医は会社側委員としてカウントする必要があります。いろいろな事業所の安全衛生委員会に出席していますが、その内容や詳細については事業所によりかなり異なっているのが現状です。事業所における安全衛生に関する取り組み状況はもとより、安全衛生に対する会社としての考え方も出席することにより把握できますので、産業医としてもいろいろな意味で安全衛生委員会は参考になります。

 

ゴールデンウィーク前の静けさ

ゴールデンウィークをひかえている関係でしょうか、今週はいつもに比べ契約先から入るメールの数が少なかったように思います。今年のゴールデンウィークは曜日の配列が良く、連続休暇を取る企業も多いようです。ちなみに自動車製造関係は毎年この時期、曜日と関係なく連続休暇となりますが、現場は今年十連休になるとのことです。その他5月1日や2日はなるべく年休を取るよう社員に呼びかけている企業もあります。ちなみに弊社は暦どおりに仕事の予定です。

2か月連続の過重労働面談

昨月過重労働面談をした方が今月も面談の対象にあがりましたので、2か月連続で面談を行いました。客先からの仕事の要求に応えるために長時間残業をせざるを得なかったようです。面談の結果、特に問題はないようでしたので、今月も引き続き就業制限をかけずに様子を見ることにしました。今の状況が当分続くそうですので、場合によっては来月も面談の対象にあがるかもしれません。過重労働面談が長時間労働を減らす方向に作用すればよいのですが、面談の結果産業医が問題ないと判定することにより、長時間労働を行うことに対して産業医がお墨付きを与えることになっていないか心配しています。決してそうであってはいけないのですが。

新車の解体と梱包

今日の午後は新車の解体と梱包作業の職場巡視を行いました。いったん新車を解体し梱包したうえで外国に送り、現地で再度組み立てるそうです。せっかく組み立てた新車をまたなぜ解体しなければならないのか不思議でなりませんでしたが、関税の関係でわざわざそういうことを行っているそうです。車体を全くばらばらに解体するのではなく、ボデイー、フレーム、エンジン、タイヤなどある決められた単位にまで解体し、それぞれの単位はパッケージされた後、船積みされ輸出されます。ボデイーなどはフォークリフトで梱包場まで運搬された後、箱詰めされており、まるでおもちゃのミニカーを箱に詰めているかのようでした。ボデイーに傷がついたら大変ですので、パッケージは非常に気を使う作業になりそうですが、これこそ究極のパッケージといえるかもしれません。

温泉旅館の改装

先日は脇田温泉にあるホテル楠水閣に伺いました。今回はJRとバスを乗り継ぎ、チェックアウトが終わり少し落ち着く時間帯である11時に訪問しました。楠水閣は脇田温泉の旅館のなかでも最も規模が大きく、産業医をお引き受けして久しいですが、温泉好きの私は今までにプライベートでも何回か利用したことがあります。先日もいつものように若女将さんに対応いただきました。同旅館は少しでも多くのお客様に来ていただけるよう、接客、社員の教育、設備などいろいろな面において取り組まれていますが、今年は大がかりな改装を行うようです。フロントや客室の改装、バリアフリー化、エレベーターの設置等の工事がこれから夏にかけて予定されており、6月は1か月間フルに休館されるそうです。その間ゆっくり旅行にでも行かれるのかと思いましたが、とんでもない休館の間しかできない仕事がたくさんあるとのことでした。また改装が終わったらゆっくり温泉に浸かりに行きたいと思います。

社宅跡地工事現場の職場巡視

今日の午後は社宅跡地の工事現場の職場巡視を行いました。詳しくいうと企業が社宅跡地を売り出すために行っている工事で、今日は外周道路の基盤整備として上水管や雨水管の布設工事が行われていました。工事が行われている区画はすでに社宅が壊され更地になっていましたが、まだ回りには社宅が残っていました。都心部から比較的近いうえに環境も良く、買い物も便利ですので、住むにはとても良い地域ですが、社宅はかなり空き家になっていました。私も昔は会社の寮や社宅に住んでいたことを思い出しましたが、今は昔に比べ社宅は人気がないようです。これからさらに企業は福利厚生費を抑制するために社宅を壊し、跡地を売却する方向に向かっていくようです。これも時代の移り変わりといえるかもしれません。今日はまだ4月の下旬で気候もよく快適でしたので、このようなことを考える余裕がありましたが、真夏に行っていれば汗だらだらで考える余裕などなかったかもしれません。工事現場の巡視はこれからの季節が大変です。

重症糖尿病の復職対応

所属している会社も年齢も異なりますが、2件相次いで重症糖尿病の方の復職対応を要請されています。この2件は病態がよく似ており、どちらも合併症として腎症(ネフローゼ型)、網膜症のほかに胸水、心不全も伴っていまして、就業上の判断もかなり難しいものがあります。1人の方は現時点で復職も危うい状況ですし、もう1人の方は現場の交替作業に戻られるかどうか危うい状況です。近い将来腎臓透析が必要になる見込みですので、それを踏まえたうえでの判断になりそうです。私としてもどうにか復職していただきたいとは思いますが、一方でここに至るまでにどうにかならなかったものかという思いもあります。やはり予防は重要ですね。

小売業における節電

昨年の震災以降、電力事情が逼迫していることもあり、企業において節電はこれまでになく取り組まれていますが、特に小売業はかなり徹底して節電に取り組んでいるという印象があります。お客様がいる売り場さえも天井を見上げますと蛍光灯が間引きされていたりするくらいですから、バックヤードになるともっと徹底されています。今日伺った店舗のバックヤードではかなりの割合の照明が消されており、とても暗い状況でした。ある小売企業では全社をあげて節電に取り組んだ結果、経費削減により営業利益が上がったそうですが、店舗の現場を歩いてみますとそれが実感できます。節電は今の電力事情から考えるとしっかり取り組まなければならないとは思いますが、一方で行き過ぎた節電は安全上危険をまねく可能性もありますので、そのあたりは産業医としてもバランス感覚を持って指導していかなければならないと思いました。それにしても今日は暗かったです。

多重請負の危うさ

ピラミッド型の産業構造のなかで多重請負はよくあることですが、製造業や建設業等の業種では多重請負構造が災害リスクを高めることにつながりかねません。一般には低次請負になるほど安全衛生管理が低調になる傾向が見られます。繁忙時のみ現場に入るスポット業者といわれる低次請負業者については、特に配慮が必要になります。低次請負になるほど上からの安全衛生に関する指示が行き渡りにくくなること、時々しか現場に入らないため作業に慣れていないこと、零細企業が多く安全衛生に関する予算やスタッフが不足していること、作業者に対する安全衛生教育が行き届いていないことなどがその理由と思われます。企業にとっても請負業者に対してまで行き届いた安全衛生管理や教育を行うことはなかなか厳しいものがあります。そうしたなかで最近安全衛生教育を二次請負にまで対象を広げて行っていくという方針を打ち出した企業があり、注目しています。

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