保健師の宮本です。
気がつけば8月も終わりに近づき、朝夕は少し肌寒いくらいになりましたね。
先週ちょっとした休職気分を味わえるくらいの大きな夏期休暇を頂き、例の如く実家でゆっくりしてきました。
はりきった両親が「あれ食え」「これ食え」と何かと食べ物を差し出してくるので、少し丸くなったような気がします。
早くジムに行かなければ・・・
さて、先週に引き続きピロリ菌の話題です。
宣言通り今週はピロリ菌の「検査」について。
ピロリ菌の検査は今現在の胃の状態を見るだけでなく、今後の病気を予測する上でも重要です。
人間ドックや健康診断の項目に組み込まれていることもあるので、ご覧の皆さんは既にご経験済かもしれませんね。
ピロリ菌を見つける検査は大きく分けて2つあります。
1つは内視鏡(胃カメラ)を使った検査、もう1つは内視鏡を使わない検査です。
ただし、いずれの場合も消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)と診断された人のみ保険適用となります。
内視鏡を使う検査
内視鏡を使って胃の組織を一部採取し、菌を培養したり、染色したりしてピロリ菌の有無を調べます。
ただし、胃内の1ヶ所だけを調べて全体を代表することは難しく、2ヶ所以上から調べないと正確さが劣る・・・という問題点も。
①培養法
胃の組織を採って、ピロリ菌の発育しやすい環境下で5~7日間培養して判定します。
発育した菌を使って薬が効くかどうかなども試験できますが、判定に時間がかかるのが難点です。
②迅速ウレアーゼ法
ピロリ菌が持っている酵素「ウレアーゼ」の働きを利用した検査です。
採取した粘膜を特殊な反応液(pH指示薬)に添加し、その色の変化でピロリ菌の有無を判定します。判定時間は短いのですが、除菌直後は偽陰性(本当は陽性であるにも関わらず、陰性反応が出ること)になることも。
③組織鏡検法
胃の組織を染色して標本化し、顕微鏡でピロリ菌を探します。
1週間ほどかかり、採取する場所によってはピロリ菌が見つからないことも。
内視鏡を使わない検査
内視鏡を使わない検査では、何よりも胃カメラを飲まずに済む・・・という大きなメリットがあります。
①尿素呼気試験法
最も一般的、かつ精度の高い検査です。
検査薬を服用して15~20分後の呼気を採取し、ピロリ菌が分泌する酵素「ウレアーゼ」の働きによって作られる二酸化炭素の量を調べます。
とても簡便な検査なので、今後広く使われるようになるでしょう。
②抗体法
血液や尿、唾液などを採ってピロリ菌に感染したときにできる抗体の有無を調べます。
ただし、除菌治療を行ったすぐあとは抗体がしばらく残っているため、判定は困難です。
③抗原法
いわゆる「検便」によって検体を採取し、検査する方法です。
費用はやや高いのですが鋭敏な方法であり、精度も高いとされています。
特に、乳幼児などではむしろ便のほうが採取しやすいというメリットも。
健康保険は使えるの?
消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)があれば、健康保険を使ってピロリ菌の検査および治療ができます。
これは潰瘍の患者さんでピロリ菌感染がある場合には、積極的に除菌治療が推奨されているからです。
潰瘍がなくとも、何らかの理由(両親が胃がんだった、慢性胃炎を患っているなど)で検査を希望する人もいるでしょう。
しかし、そのような場合は原則的に自費扱いとなるので注意してください。
また、ピロリ菌の検査方法はさまざまで、医療機関ごとにその方法や費用は異なります。
事前に相談し、検査方法や費用を確認しておくといいですよ!
こんな人は要注意!
・胃炎や胃・十二指腸潰瘍を起こしやすい
・胃の不快感が長期間(半年以上)続いている
・薬を飲んでも一時的にしか回復しない
・1970年以前に生まれている(または年齢が40歳前後である)
・衛生環境の悪いところに住んでいたことがある
・家族にピロリ菌の感染者がいる
上記の項目に1つでも当てはまる人は、ピロリ菌に感染している可能性があります。
中でも、最初の「胃炎や胃・十二指腸潰瘍を起こしやすい」に当てはまる人はピロリ菌に感染していることが多いようです。
ご自身の健康のためにも、ぜひ一度ピロリ菌の検査を受けてみてください。
次回はいよいよピロリ菌の「除去」に焦点を当てます。お楽しみに!
参考
ピロリ菌にご用心! http://www.pyloricaution.com/