保健師の宮本です。
倉保健師も書いていましたが、8~9月は休みが多く嬉しい期間ですね。
一方稼働日数が少なかったり、休み明けでペースが掴めなかったりと、あとになって辛い思いをするのもこの時期。
もう少しゆとりのある生活や考え方ができるようになりたいですね。
さて、本日は「WPW症候群」についてのお話です。
ご覧の皆さんにはあまり馴染みのない言葉だと思いますが、今週拝見した健康診断結果のうち、このWPW症候群を指摘されている方がお2人もいらっしゃいました。
血圧や血液検査項目と違い、心電図や胸部X線はさら~っと流してしまっている方も少なくないのでは?
よくよく見返せば、あなたの健診結果にも書いてあるかもしれません。
WPW症候群ってなに?
正常の心臓では、興奮(電気刺激)は刺激伝導系と呼ばれる1本の電線を通って心房から心室へと伝わって行きます。
通常心房と心室はこの刺激伝導系以外の部分では絶縁された状態になっていますが、WPW症候群は違います。
WPW症候群の方は、先天的に「心房と心室の間に刺激伝導系のほかに興奮が通る通路(副伝導路)」、道路に例えればバイパスのような組織があります。
心電図上は特徴的な所見がありますが、普段はまったく無症状です。
しかし、この副伝導路を通って興奮が高速で勝手に心室に伝わってしまい、極端な頻脈性不整脈を起こすことがあります。
発作が頻繁に起こる場合には、末梢の血管から細いカテーテルを心臓内に挿入し、副伝導路部分に高周波電流を通電して焼き切る治療(アブレーション)が行われます。
WPWってどういう意味?
WPWは、3人の研究者(ウルフ・パーキンソン・ホワイト)の名前の頭文字から取っています。
この名称に特に意味はありません(笑)
自覚症状のないWPW症候群は手術すべき?
WPW症候群は、はじめにお伝えした通り「心房と心室との間に正常な伝導路とは別に副伝導路という小さな伝導路がある状態」です。
言ってしまえばただそれだけのことなので、日常的には何ら不自由はなく、生涯、問題になることはないのが普通です。
しかし、中には頻脈発作を生じる場合があります。
第一には、正常伝導路と副伝導路との間で興奮旋回を生じて、このために頻拍発作を起す場合があります。
女性の場合には、これが出産時の障害になることがあるのです。
第二には、高齢となって、心房細動という不整脈が起るようになってくると、心房興奮が副伝導路を下降するために、著しい頻脈を生じ、心不全状態となる場合があります。
ごくまれには危険な状態になることもないではありません。
手術というのはカテーテル電極を用いて、この副伝導路を焼き切るという治療をすることです。
この治療は成功率が高いので、万が一の安心のために勧められますが、合併症が絶対にない訳ではありません。
また、治療は頻脈発作を起こすようになってからで十分に間に合うようです。
病状や自覚症状、生活環境、仕事内容などが治療の必要性に影響を及ぼします。
これまで自覚症状がなく、健康診断で指摘されてビックリ!な方も「とりあえず1度」循環器内科を受診することをお勧めします。
何事も素人判断は危険です。
病院で「放置しても問題ない状態なのか」を調べてみて下さいね!
それではまた来週~!
【参考・引用】
公益財団法人 日本心臓財団 http://www.jhf.or.jp/