保健師の宮本です。
10月も中旬を過ぎ、今年は特にあっという間だったように思います。
そうこうしている内に、東京オリンピックがやって来ているのかもしれませんね・・・
先週に引き続き、「めまい」のお話です。
今週は「耳」を起因としためまいを発する病気をご紹介します。
1.メニエール病
・・・回転性のめまいと耳鳴り、難聴の3つの症状が同時に出現
前庭に異常が起こってめまいがする病気のうち代表的なものがメニエール病です。
メニエール病の原因は、前庭の中の内耳(ないじ)という部分にリンパ液が溜まり過ぎることで起こります。
そしてメニエール病では「回転性のめまい」と「耳鳴り」(めまい発作中のみ)が起こります。
そして「難聴」(発作の間、耳が聞こえにくくなる)3つの症状の発作が起こり、これが何時間か続きます。
前庭の病気なので吐き気、嘔吐もしばしば起こってきます。
このように「回転性めまい」「耳鳴り」「難聴」の3つの症状がきちっとそろって出現し、このような発作を繰り返して起こす方のみ、はじめて「メニエール病」の診断がつくのです。
かなり有名な病気となってしまったせいで、家庭用医学書には「めまい=メニエール病」のような表記が見受けられます。
しかし、実際にはそれほど多い病気ではありません。
このメニエール病は命にかかわる病気ではありませんが、発作が何回も起こるのにつれて、徐々に耳が聞こえなくなってくるのが問題です。
2.良性発作性頭位変換性めまい
・・・頭を動かしたとき、短時間の回転性めまいが起こる
メニエール病より多い病気に「良性発作性頭位変換性めまい」と言う病気があります。
これは寝返りをうった時など、頭の位置を変えた時に限って、数秒から数十秒の回転性めまいが起こると言うものです。
メニエール病との違いは、難聴も耳鳴りも吐き気も伴わない部分にあります。
回転性めまいですので、発作中にはやはり目が回っています。
良性発作性頭位変換性めまいの「めまい」の特徴は、「30秒以内に治ること」「頭を動かさなければ決してめまいは起こらないこと」。
このめまいは非常に多い病気で、耳の奥にある耳石器(じせきき)と言う部分あたりの異常によって起こります。
このタイプのめまいは、めまいの起こる体位を繰り返している内徐々に軽減し、ついには起こらなくなってしまいます。
そこで、これを治療に応用し、運動を繰り返してめまいを起こらなくする運動療法(めまい体操)が実際に行なわれたりします。
いずれにしてもこの病気は予後良好で、通常約2~3週間で治ることがほとんどです。
3.前庭神経炎
・・・風邪の後、しばらくしてめまいが起こった場合は前庭神経炎が疑わしい
その他、前庭に異常が起こって起こるめまいには「前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)」があります。
この病気は「風邪などのウイルスが前庭に入って炎症を起こすこと」によって起こると言われ、ウイルス感染から1~2週間後、急に激しい回転性めまいと吐き気、嘔吐が起こり、何日も続きます。
この前庭神経炎では難聴や耳鳴りを伴いません。
そして、めまいは次第に良くはなって行くのですが、軽い/重いは別として、めまいは何か月か続く方が多いようです。
また、めまいが軽くなるに従って、体を動かした時あるいは体位変換の際にめまいが起こる良性発作性頭位変換性めまいに変って行く方もあります。
なお、この前提神経炎の原因はいまだはっきりとしないところがあります。
耳への血管がつまって起こる、脳幹部というところの小さな脳梗塞によって起こると考えている専門家もいます。
4.外リンパ漏
・・・重い物を持ったり、鼻をかんだ時にめまいが起こったら疑わしい
内耳の中には外リンパ液と内リンパ液と言う液が入っています。
この外リンパ液が外の中耳腔側に漏れ出してくることを「外リンパ漏」と呼びます。
これもめまいが起こる病気で、重い物を持ったりする力仕事、咳やくしゃみ、強く鼻をかむことによって発作が起こるという特徴があります。
また潜水や飛行機の離着陸など気圧の変化によって、めまいが起こることもあります。
次回は「脳」を原因としためまい症状を発する病気をご紹介します。
お楽しみに!
【参考・引用・画像】
脳神経外科 山本クリニック http://www.yamamotoclinic.jp/
名古屋逓信病院 http://www.hospital.japanpost.jp/nagoya/index.html ほか