ピロリ菌飼っていませんか?
- 2016年08月30日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
数日前から風が強く、一気に気温が下がりましたね。
また暑さが戻るという話ですが、うっかり気を抜いたら風邪を引いてしまいような気温変化ですので皆さんお気を付けください。
さて今週は、胃の中に潜む「ピロリ菌」についてお話します。
これまでピロリ菌の除菌治療の保険適用は胃潰瘍などの重い病気の場合のみでしたが、平成25年2月からは慢性胃炎においても保険の適用が認められるようになりました。
敷居がぐっと低くなりましたので、このブログを参考にご自身の健康状態について思い返してみて下さい。
1.ピロリ菌ってなに?
正式名:ヘリコバクターピロリ
人の胃の中に住み着く細菌で、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がん発生の原因になるといわれています。
放置期間が長いと感染範囲が「胃の出口」の方から「胃の入口」の方に広がり、慢性胃炎(ヘリコバクターピロリ感染胃炎)が進んでいきます。
この慢性胃炎が、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がん、更には全身的な病気などを引き起こす恐れがあることが明らかになりました。
感染は幼少期で、一度感染すると多くの場合胃の中に住み続けます。
2.ピロリ菌はどのように感染する?
明確な感染経路は分かっていませんが、大部分は「飲み水や食べ物を通じて」人の口から体内に入ると考えられています。
【感染ルート】
口~口:歯垢や唾液からピロリ菌検出
糞~口:糞便からピロリ菌検出
飲料水:上下水道が完備されていない海外で検出
上下水道の完備などで生活環境が整備された今の日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することは考えにくいです。
また、キスやコップの回し飲みなどの日常生活ではピロリ菌は感染しないようです。
3.どうして幼い子どもだけが感染するの?
ピロリ菌の感染は、そのほとんどが5歳以下の幼児期であると言われています。
なぜなら幼児期の胃の中は酸性が強く、ピロリ菌が生き延びやすいためです。
そのため最近では、母から子へなどの家庭内感染が疑われ始めました。
ピロリ菌に感染している大人から小さい子供への食べ物の口移し、噛み砕いたものを食べさせるといった行為などには注意が必要です。
4.こんな症状にご注意
下記のような症状を「食べ過ぎかな」「歳とったな」と軽く考えていると、知らず知らずのうちに胃がんが進行・・・なんてことも有り得ます。
まずこれらの症状が続く場合、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸を患っている可能性が高いです。
そして慢性胃炎の発症の原因や潰瘍の再発に、ピロリ菌が関係していることが分かっています。
何度治療しても繰り返す胃炎や胃・十二指腸潰瘍は、実はピロリ菌のせいかもしれません。
思い当たる節のある方は、一度病院で相談してみることをお勧めします。
5.ピロリ菌の検査と治療方法は?
- 検査
まずはピロリ菌に感染しているかどうかを確かめる必要があります。
検査検査方法には、
- 当該組織(内視鏡を使って採取)
- 血液
- 便・尿
- 呼気
以上4点を採取してピロリ菌の存在を調べる方法があります。
病院によって採用している方法が異なることもあるようですので、「これだけは絶対に嫌!」な方法がある方は受診前に確認しておくと良いでしょう。
- 治療
ピロリ菌に対し、薬を用いて退治することを「除菌」といいます。
この除菌療法ですが、正しくお薬を服用すればその成功率は約80%といわれています。
ピロリ菌の除菌療法は、2種類の「抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」の合計3剤を服用します(1日2回、7日間服用)。
全ての治療終了後4週間以上経過してからピロリ菌を除菌できたかどうかの検査を行いますが、これでピロリ菌が検出されなければ除菌成功です。
6.除菌治療中に注意すること
- 除菌治療の間に気になる症状(例:軟便・下痢・味覚異常)を感じた場合は、主治医に相談して下さい。
(副作用が起こる場合があります)
- 指示された薬は、必ずスケジュールに沿って服用して下さい。
途中で飲むのを中止したり飲み忘れたりすると、治療が上手く行かないばかりか治療薬に耐性を持ったピロリ菌が現れることがあります。
7.最後に
ピロリ菌の除菌療法は、胃・十二指腸疾患の予防に繋がります。
健康診断で指摘された方はもちろん、「おかしいな」「もしかして」と感じた方は是非1度病院へ足を運んでみて下さい。
【参考・引用】
竹田薬品工業株式会社 ピロリ菌のお話.jp http://www.pylori-story.jp/
医療法人社団 如水会 今村病院 http://www.josuikai.or.jp/index.html