「多血症」知っていますか?②
- 2016年11月29日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
先週に引き続き、「多血症」についてお話します。
今日は前回のお知らせ通り、多血症の3分類「真性多血症(骨髄増殖性疾患) 」「二次性多血症」「相対的多血症(ストレス性多血症)」についてです。
多血症の基礎知識については前回の記事(2016/11/24)をご覧ください!
真性多血症(骨髄増殖性疾患)
骨髄の働きが病的に強くなり、赤血球・白血球・血小板が増加することがあります。
一般的には慢性の経過をとるものを慢性骨髄増殖性疾患(腫瘍)と呼んでいます。
慢性骨髄増殖性疾患(腫瘍)は、以下の5つに分類されます。
*真性多血症(特徴:赤血球の増加が著しい)
*慢性骨髄性白血病
*本態性血小板血症(特徴:血小板の増加が著しい)
*特発性骨髄線維症
(特徴:骨髄が線維化→正常な造血機能が失われる→脾臓など髄外造血が起こる→脾臓が腫れる)
*慢性骨髄増殖性腫瘍
二次性多血症
何らかのきっかけで造血因子(エリスロポエチン)の量が増え、結果として赤血球量が増えてしまった状態です。
具体的には、以下の2つが挙げられます。
*酸素欠乏性多血症
1.酸素欠乏状態に陥る
原因例:高地生活、呼吸器疾患、心臓・血管異常による血流不足、肥満、睡眠時無呼吸症候群、常習的な大量喫煙など
2.赤血球(身体に酸素を送り込む役割)のニーズが上がる
3.腎臓や肝臓での造血因子(エリスロポエチン)産出量が増加する
4.赤血球量増加
*非酸素欠乏性の多血症
1.腎がん、肝がんなど、造血因子(エリスロポエチン)産出細胞あるいは腎組織に異常が生じる
2.造血因子産出細胞が病的に増加する
3.赤血球増加
子宮筋腫でも多血症が見られることがありますが、子宮の腫瘍化した平滑筋組織が造血因子もしくはそれに類似した物質を産出している可能性が指摘されています。
相対的多血症
原因
*脱水(水分の不摂取、嘔吐、下痢、大量発汗、利尿剤の使用や尿崩症・糖尿病などによる多尿)などで体の水分を喪失し、血漿の絶対量が減少する
*各種疾患が原因で、血漿と体細胞・組織の間の水分の移動がうまく行かなくなる
*喫煙など、循環血漿量の減少をもたらす行動
*ストレス
多血症は神経質・高ストレス状態・喫煙者・生活習慣病などであることが多く、赤ら顔や肥満は良くみられます。
高血圧や高脂血症・高尿酸血症など生活習慣病等慢性疾患では代謝の異常が起こりますので、機序は明らかではありませんが循環血漿量が減少するといわれています。
治療
脱水や下痢などが原因の場合は、その原因を解消し水分を補給すれば基本的に多血状態を改善することができます。
それ以外の、疾患や生活習慣などが原因の場合は、基礎疾患の治療を行います。
多血症の治療期間と予後
多血症は1つの疾患でなく、様々な疾患、原因によって起きる状態です。
そのため、一様な概要を述べることはできませんが、治療方法はその原因によって大別されます。
真性多血症=瀉血(血液を治療の目的で除去する処置)+化学療法
真性多血症以外=赤血球増加の原因を探り、その原因を解消する
(原因の解消が困難であったり合併症が見込まれるとき or Htが極端に高いときは、瀉血などの治療を適宜行います。)
次回は冬にちなんだテーマを考え中です。
お楽しみに~!
【参考・引用】
職と健康の総合サイト e8400.net http://e840.ne