保健師の宮本です。
3月も半ばを迎え、ようやく陽が暖かくなってきました。(相変わらず風は冷たいですが・・・)
4月からは新年度が始まりますね。私もあっという間に社会人3年目です。
さて、今日の話題は上記にまったく関係ないのですが(笑)
ここ最近、デング熱やジカウイルスなど聞き慣れない感染症のニュースが増えてきたような気がします。
私自身テレビだとつい聞き流してしまう傾向にありますので、「ジカウイルス感染症」について一緒に勉強しましょう~!
Q.ジカウイルス感染症ってなに?
ジカウイルス感染症は、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症をいいます。
ジカウイルス病は、後天的にジカウイルスが感染することにより起こる感染症で、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
ジカウイルスは母体から胎児への垂直感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、小頭症などの先天性障害を起こす可能性があるとされています。
Q.どのようにして感染するの?
ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します(蚊媒介性)。
基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありませんが、稀なケースとして、輸血や性行為による感染が指摘されています。また、感染して全員が発症するわけではなく、症状がないか、症状が軽いため気付かないこともあります。
妊娠中の女性が感染すると胎児に感染する可能性が指摘されていますが、その感染機序や感染時期はわかっていません。
Q.世界のどの地域が流行地?
アフリカ、中南米、アジア太平洋地域で発生があります。
特に、近年は中南米及びその周辺地域で流行しています。
Q.日本国内での発生は?
日本国内で感染した症例はありません。
海外の流行地で感染し、発症した症例が、 2013 年以降、3例国内で見つかっています。
Q.感染を媒介する蚊は日本にもいる?
ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカが、ウイルスを媒介することが確認されています。
ネッタイシマカは、日本には常在していませんが、ヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられます。
Q.治療薬はあるの?
ジカウイルスに対する特有の薬は見つかっておりません。対症療法となります。
Q.かかると重症化する?
ジカウイルス病は、感染しても症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともあります。
症状は軽く、2~7日続いた後に治り、予後は比較的良好な感染症です。
Q.妊婦や胎児にジカウイルス感染症はどのように影響する?
ブラジル保健省は、妊娠中のジカウイルス感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしており、 2016 年1月 15 日には、米国 CDC が、妊娠中のジカウイルス感染と小頭症との関連についてより詳細な調査結果が得られるまでは、流行国地域(問 3 参照)への妊婦の方の渡航を控えるよう警告し、 妊娠予定の女性に対しても主治医と相談の上で、厳密な防蚊対策を推奨しました。
1 月21日には、 ECDC (欧州疾病対策センター)は、流行地域への妊婦及び妊娠予定の方の渡航を控えることを推奨しました。
世界保健機関(WHO)は、 2 月 1 日に、緊急委員会を開催し、小頭症及びその他の神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態( PHEIC )」を宣言しました。
また、3月8日に、第2回目の緊急委員会を開催し、渡航に関して以下の勧告等を発表しました。
○ジカウイルスの感染が確認されている地域等への(からの)渡航や貿易についての一般的な制限は行うべきでないこと。
○妊婦は流行地域への渡航をすべきでないこと。流行地域に住んでいる又は渡航するパートナーのいる妊婦は、妊娠期間中は、安全な性行動をとるか性行為を控えること。
なお、現在、小頭症や神経障害とジカウイルスとの関連についての更なる調査が行われています。
次回は海外渡航における注意点についてのQ&Aをご紹介します。
お楽しみに!
【参考・引用】
厚生労働省ホームページ:ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて
http://www.mhlw.go.jp/