服部産業医事務所の活動

健診結果、見てますか?「尿糖」

 お久しぶりです。保健師の宮本です。

今月は何かとバタバタでブログから遠ざかっていました。

まだまだ検査項目は山ほどありますので、1つ1つ潰していきたいと思います!

今日は尿潜血・尿蛋白に引き続き尿検査の1つ、「尿糖」です。

 この項目は、おしっこの中に糖(ブドウ糖)が存在するかどうかを調べる検査です。

 

Q.1どうしておしっこに糖(ブドウ糖)が混じるの?

 「尿」とは腎臓でろ過された血液の中から老廃物を取り出したものです。

タンパク質(健診結果、見てますか?「尿たんぱく」参照)と同様、糖は体に必要な物質ですので老廃物(=要らないもの)として扱われないどころか、濾過や再吸収などあの手この手で糖を「体から出さない・尿に入れない」努力をします。

それでも微量の糖は尿の中に排泄されますが、検査では陰性となるくらいの量です。(40~80mg/日)

 

 しかし糖尿病のように血液内の糖量が異常に多くなると、「体から出さない・尿に入れない」努力のキャパシティを超えてしまいます。

このキャパシティ、多少の個人差はありますが血糖値が160~180mg/dl を超えると尿糖が陽性(+)になるようです。

 

Q2.「尿糖」陽性=糖尿病なの?

 尿糖検査が陽性(+)を示す原因は、主に下記のようなものがあります。

1)糖尿病

 
2)腎性糖尿

  血糖値が正常であるにもかかわらず、糖を吸収する能力(閾値)が低下しているがためにおしっこに糖が含まれます。

腎性糖尿はほとんどの場合治療の必要のない「体質」と診断されています。

 

3)食餌性糖尿

 大量の糖分を摂取し一時的に「体から出さない・尿に入れない」キャパシティを超えてしまったときに起きるもので、主に胃がん等で胃を切除した方に多くみられます。

  普通食べものに含まれる糖は胃~小腸ルートでじわじわ吸収されるのですが、胃を切除するとそのルートが急激に短くなります。そのため小腸から糖分(炭水化物など)が一気に吸収されてしまい、高血糖状態となることで起こります。

 

4)その他

 甲状腺機能亢進症や腎障害など病気の症状・合併症として高血糖・尿糖が現れたり、ストレスや精神緊張の際にも一時的に尿糖が陽性(+)になることがあります。

 

Q3.毎年「尿糖」で引っかかるけどどこも悪くないから放っておいて良い?

 上記の腎性糖尿・食餌性糖尿は治療の必要がない場合がほとんどとされていますが、検査をせずに「問題ない」と決めつけてしまうのは危険です。

Q2の4)のように病気の症状である可能性もありますので、「もしも」に備えて1~2年に一度検査して「異常なし」を確認することが理想です。

 

Q4.尿糖検査で注意することは?

 血糖値は飲食物によって大きく左右されますので、食後(~2時間程度)の尿からは糖が出やすいです。

健診機関からの「注意事項」をよく読んで、検査に臨んでください。

ついいつもの癖で缶コーヒーを飲んだり、ガムを食べることで再検査対象に入るのは勿体ないです! 

 

 また、尿糖の検査は一般的に試験紙で行われます。

この検査方法の場合、大量のビタミンC(アスコルビン酸)が尿中に存在すると偽陰性(実際は陽性でも陰性になってしまう)になることがあります。

そのため、前日から清涼飲料水やジュースなどビタミンCを多く含む飲料や食物は摂取しない方が良さそうです。

 

 次回はそろそろ血液検査の項目に入っていこうと思います。

せっかくの健康診断、受けっぱなしにせずに結果を有効に使いましょう!

気を利かせて余分に行った作業での災害

最近ですが、気を利かせて余分に作業を行ったばかりにケガをしてしまうという災害が立て続けに発生しました。すなわち本来はやらなくてよい、あるいは指示されていない作業を気をきかせて余分に行い被災したというものです。良かれと思ってやった事があだになるどころか、ケガまでしてしまうという大変お気の毒な話なのですが、元々予定外の作業でしたので、事前に作業の段取りや安全確認、危険予知を行わずに作業を行ってしまったことが災害発生の根底にあるようです。ケガの程度も決して軽くはなく、看過できない災害でした。

お薬以外で花粉症対策

こんにちは、保健師の山本です。
早くスギ花粉シーズンが終わらないかと、外出のたびに憂鬱なこの季節です。
花粉症持ちの皆様、もうしばらくがんばりましょう。

さて、花粉症シリーズも最終回となりました。
今回はすでに実践済みの方もいらっしゃるかもしれませんが、お薬以外にできる花粉症対策についてお話ししたいと思います。

①症状予防はまず日常生活から~基本編~
治療薬が進化しているといっても、花粉症の症状を抑えるための重要ポイントはまず「花粉を近づけない」ことです。

グッズでは、横からの花粉の侵入を防いでくれるゴーグルタイプのメガネや立体マスクは威力を発揮します。
このほか、花粉飛散中は窓を開けっ放しにしない、布団や洗濯物は室内干しにする、外から帰宅した時は家に入る前に全身についた花粉を払い落とし、すぐにシャワーを浴びて花粉を洗い落とすことが大切です。
どうしても外に布団を干したいときは、取り込む際にカバーを外して掃除機をかけるようにしましょう。

空気清浄機も効果的ですが、室内に花粉を持ち込んでいたのでは効果も半減してしまいます。
花粉を持ち込まない工夫を徹底することがまず先決です。

⓶こんな工夫もあります~ちょっとした工夫編~
①でお話したマスク・眼鏡の着用や空気清浄機の使用は、花粉症対策としてもはや常識。
実践している方も大勢いらっしゃると思います。
そんなおなじみの方法や日常生活において、少し手を加えるだけで効果が期待できる工夫をここではご紹介します。

・綿やポリエステルなどの服を着る
洋服は、生地の種類によって花粉の付きやすさが異なることはご存知ですか。
綿やナイロンなどは表面が滑りやすく、花粉が比較的付きにくいと考えられていますし、反対に、ウールは花粉が付きやすい素材です。
ウールの洋服を着る際は、アウターとして上に綿のコートやナイロン生地のもの(キルティングコート、ダウンジャケットなど)を着るようにしましょう。
①でお話した、家の中に入る前に洋服に付いた花粉を払うとより効果的です。

・長い髪はまとめ、帽子をかぶる
髪の長い人は、ゴムなどでコンパクトにまとめると、髪の毛に花粉が付くリスクを下げられます。
また、髪の長さに関わらず、帽子をかぶることで髪の毛への付着を防げます。
その際、帽子はなるべくつばが広いものを選ぶと良いでしょう。
コーディネートのポイントにもなり一石二鳥です。
なお洋服と同様、帽子や髪の毛も家に入る前に花粉を払い落としましょう。

・魚を食べる時は青魚を選ぶ
アジ、イワシ、サバ、サンマなどの青魚に多く含まれるDHAは、免疫力を高めてくれると言われています。
煮ても焼いても刺身でも、食べ方はお好みですが、DHAは加熱調理すると脂肪とともにDHAが逃げてしまうため、生で食べられる刺身やホイル焼きにするなど、脂をなるべく逃さないメニューがおすすめです。

ネックウオーマー

まだまだ寒い日が続きますが、現場での防寒対策としてネックウオーマーは試してみる価値がありそうです。ちなみにある会社で試験的に導入したところ、現場の作業者には結構好評だったようで、防寒着を重ね着するより良いという声が出たそうです。熱中症の応急処置として頸動脈を冷やすという方法がありますが、防寒はその逆で頸動脈を温めるということになりますね。

インフルエンザのピークは過ぎたようです

わが地元北九州の医療機関からあがるインフルエンザ患者数の定点測定の数値ですが、1月19日の週に68.29まで上昇した後は下降に転じ、最新の2月9日の週には26.57まで下がりましたので、どうやら今シーズンのインフルエンザのピークは過ぎたと考えられます。それでも数値的には警報レベルを少し下回ったくらいですので、まだ油断は禁物ですが、まずは一安心です。

花粉症の新しい治療法

おはようございます、保健師の山本です。
前回から花粉症の免疫療法についてご紹介していますが、私は飲み薬派です。
某アイドルが宇宙人?に扮してCMしている薬を、病院で処方していただいています。
理由については伏せさせていただきますが、花粉症もいつかは完治する病になるといいですね。
今回は花粉症の新しい治療法、舌下免疫療法についてです。

1.注射に代わる新しい免疫療法
注射による方法では、注射による痛みがあることと通院が大変なことが問題でした。
そこで、同じ事を注射以外でできないか?と考えられ、鼻に投与する方法や飲む方法などが海外で検討されてきました。多くの研究の結果として、舌下法が最も簡易にかつ安全に行える方法という結果に至りました。
スギ花粉症にも舌下免疫療法が行なえないかと考えられました。スギ花粉症は海外に無い日本に特有の病気ですので、海外での結果は参考にできません。
そこで、ごく限られた施設が自主的に臨床研究をはじめました。何年もかけて研究成果が出てきたことにより、スギ花粉症の舌下免疫療法を行なえそうだとわかりましたので、注射による免疫療法を行なっている会社が臨床試験を行ない、2014年に保険適応になりました。

2.舌下免疫療法の方法は?いつからはじめるの?
スギ花粉を含むエキスが発売されており、舌の下にこの液を滴下します。舌の下に保持したまま2分間そっとしておき、その後に飲み込みます。
これを最初の2週間で量を増やしていき、3週目からは同じ量の薬を毎日舌下投与します。1回目の舌下投与は医療機関で行ないますが、以降は毎日自宅で行ないます。

開始時期ですが、スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前から治療を開始すると効果的です。安全に行なうためにスギ花粉の飛散する時期には開始できません。

3.これまでの飲み薬とどこが違うの?
この治療の大きな特徴は、花粉飛散による症状を押さえるものではなく、花粉飛散による症状を予防するものです。
既存の飲み薬は、スギ花粉で引き起こされる、くしゃみ・鼻水・鼻つまりの症状を改善させるものです。スギ花粉の飛散する時期に使う薬でした。
一方で舌下免疫療法は、事前に治療を開始してスギ花粉症の症状が出ないように予防するものです。ですから、治療の開始は花粉の季節時に症状が出てから行なうのではなく。それよりも数ヶ月以上前から行なわなければなりません。治療薬というより予防薬という方がわかりやすいかもしれません。

4.舌下免疫療法のこれまでの治療効果は?
国内で行なわれたスギ花粉症での臨床試験では、プラセボ(薬の成分のはいっていない偽薬)より有意に効果的でした。
スギ花粉以外の花粉での結果ですが、海外でもプラセボより効果的であった報告が多数あります。
これらの結果から、舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎に効く治療と考えられます。
また、舌下免疫療法を行うと併用する花粉症の薬の量が少なくなります。
なおこれらの効果は、その年のスギ花粉の飛散量に大きく影響されます。
大量飛散年にはやや効果が落ちますし、逆に少量飛散年には効果が高まります。

5.舌下免疫療法ををすれば花粉症は治るの?
舌下法で根治する例は10~20%程度と考えられています。
舌下法で少しの症状があったがとても良かったという人が20~30%、効いたと思うという人が20~30%で、全体の70~80%の人に有効でした。
誤解のない様にしていただきたいことですが、舌下法で誰でも根治する訳ではありません。
この方法で、より症状が良くなることを願っており、花粉の多く飛散する時には病院も飲み薬などの併用ことも勧められます。
少ない併用薬で症状を減らす治療と理解してください。

6.どのような人に舌下免疫療法はおすすめ?
スギ花粉症でお悩みのかたには、皆さんにお勧めですが、特に下記のようなかたにお勧めしています。
◦数年以内に妊娠の希望や予定はないが、将来に妊娠した際に薬が使えない のが不安。
◦大学などの受験期がスギ花粉症と重なるので、少しでもよくしておきた  い。
◦花粉症の薬がたくさんいるので、少しでも症状をよくするか、薬を減らし たい。
◦まだ若いので、これからずっと毎年花粉症に悩むのか考えると心配。

もし興味を持たれた方は、今年はもう無理ですが、来年以降の治療として主治医とご相談ください。

26年度後期労働衛生管理研修会のお知らせ

福岡産業保健総合支援センター主催の労働衛生管理研修会で講師を務めますので、そのお知らせです。来る3月10日(火)15時半から17時の時間帯ですが、北九州小倉のKMMビル会議室にて「労災事故につながりやすい疾病とその管理について」というテーマでお話をさせていただく予定です。てんかん等、労災事故につながりやすい疾病をリスク別に挙げたうえで、企業としてどう管理していくべきか、さらに対応困難なケースについて解説するとともに事業者の安全配慮義務にも言及いたします。今回は一定の病気等に係る運転者対策として、免許の取得や更新時に病状を虚偽申告した場合の罰則を新設することなどを盛り込んだ改正道路交通法にも言及します。もちろん参加費は無料ですので、奮って参加ください。お申し込みは福岡産業保健総合支援センターまでお願いします。ちなみに来期は別のテーマを設定する予定にしています。

冬場の職場巡視に重宝するもの

この時期の職場巡視は気温が低いのでとても寒い思いをしなければならないことも多く、作業服の下になるべく多く着こんで仕事に出るようにしていますが、そのなかでもユニクロが販売している極暖仕様の下着はとても重宝します。なるほど上下着ていますと、従来のヒートテックの下着以上に保温効果があり、屋外の現場の職場巡視でも今までのようには寒さを感じません。ユニクロの宣伝をするわけではありませんが、これはお勧めです。今日もこれを着て仕事に出かけます。

花粉症の治療法

こんにちは、保健師の山本です。
 私の花粉症対策の長年のパートナー、ア〇グラをついに先週より服用し始めました。
 少し前から、瞼が腫れぼったく開きが自分的にいまいちでしたが飲み始めてからは調子も良くなりました。
 やはり量は少ないかもしれませんが、私の天敵はすでに空気中に漂っているようです。

花粉症第2回目ですが、「舌の下にスギ花粉の液を滴下してスギ花粉症を治す」という治療法を新聞やテレビでみたことはありませんか?
これが舌下免疫療法で、平成26年10月にスギ花粉症の舌下免疫療法治療薬が発売されました。
ちなみに、舌下でない皮下注射による免疫療法は保険適応のある治療として数多く行われています。
舌下免疫療法と皮下注射免疫療法はともにスギ花粉症に有効な治療です。
しかし、舌下免疫療法は次世代の新治療としての期待が高いため、多くの報道がされていますが、その結果として、少々の誤解も出てきています。
舌下免疫療法と皮下注射免疫療法について、2回に分けてご紹介していきたいと思います。まずは皮下注射免疫療法から。

1.アレルギー性鼻炎・スギ花粉症の免疫療法とは?
免疫療法とは、病気の原因となる物質を少ない量から徐々に増やして体内にいれて治そうとする方法です。
例えば、スギ花粉症の場合には、体に安全な低濃度のスギ花粉を含んだ医療用の注射液を最初に注射し、安全性と反応を見ながら徐々に量を増やして注射し、体質を徐々に変えていく治療です。
アレルギー性鼻炎では免疫療法という名前よりも「減感作療法」とか「脱感作療法」として知れ渡っているかもしれません。

2.皮下注射免疫療法はどのように行うの?
スギ花粉を含んだ注射液を低い濃度から徐々に濃度をあげながら注射します。急に濃度をあげると危ないからです。
毎週1回の注射を4~6ヶ月程度続けると最大の濃度となります。最大濃度に達したら、次に注射の間隔をあけていき、1ヶ月に1回の注射になります。1ヶ月に1回の注射を3年以上継続していきます。
このように計画的に行わないと効果も少なく、安全でありません。根気よく通っていただく必要があります。また、特殊な治療法ですので、行える施設も限られており、どの地域でも行えるものではありません。

3.皮下注射免疫療法はどのくらい治療期間が必要?
長期間の治療が必要です。注射法では最初は週1回の注射を行います。安全に行うためです。
始まりの濃度により異なりますが、通常4~6ヶ月程度の週1回通院が必要です。その後1ヶ月に1回の通院になります。
月1回になってからでも3~5年間の注射の継続を勧められるようです。

4.皮下注射免疫療法をすれば花粉症は治るの?
免疫療法は現状では唯一の花粉症を治し得る治療法とされています。しかし、全員には効きません。
おおよそですが、治療を行った方の20〜30%で花粉症が治癒し、30%以上でかなり楽になり花粉症薬の薬が激減した、20〜30%で症状はあるが以前より楽との調査結果が。残念ながら10〜20%では治療効果がありません。
全体をみますと80%以上の方に効果があります。

次回は舌下免疫療法についてご紹介したいと思います。

産業医契約のお見積りを承ります

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