保健師の宮本です。
今週からしばらくの間、自分自身の知識確認も兼ねて健康診断の項目の説明をしていきたいと思います!
(そろそろネタ切れということもありますが・・・><)
今日は「尿潜血」についてです。
簡単に言うと、尿潜血項目が(+)=血尿=おしっこに血が混じっていることを指します。
血尿の程度は目で見てすぐに「赤い!」と気が付くものから、尿の中の細胞を顕微鏡で見て初めて分かるものまでと幅広いので、「尿潜血」が(+)以上であっても「自分では血尿だなんて感じないけどなあ」という方も少なくありません。
Q1.どうしておしっこに血が混じるの?
尿(血液中から老廃物を濾した液体)はまず腎臓で造られ、尿管という管を通って膀胱に流れてきます。
尿を貯めておくところが膀胱で、膀胱から体の外に出すための通り道が尿道です。
ですから、この腎臓・尿管・膀胱・尿道という尿ルートのどこかが出血していればそこでおしっこに血が混じることになります。
男性では前立腺というものが膀胱出口の尿道周囲にあるので、前立腺からの出血も血尿の原因になることもあります。
Q2.血尿は病気なの?
血尿には病気のサインである場合と、そうでない場合があります。
東京都予防医学協会の検診者の資料によると尿潜血反応のある人が
男性では4.93% 女性では13.88% となっています。
このようにかなりの数の人が尿潜血項目に引っかかっていることから、特に女性では病気のない血尿である可能性が高いと考えられています。
ですが、血尿の中には尿路の腫瘍・結石・炎症・血管の病変・嚢胞・形態異常・外傷などの泌尿器科的疾患が原因で、手術が必要な場合があります。
これらの血尿は尿路粘膜が結石で傷ついたり、腫瘍が破れるために生じます。
痛みや発熱などの症状のある場合に短時間で診断がつきますが、無症状の場合には検査が必要です。
(通常は一側の腎臓に起こりますので腎機能が障害されることはありません。)
Q3.初めて血尿と言われたけど、どうしたら良いの?
血尿の程度に関わらず腎臓・膀胱・尿道(男性では前立腺)の診察と検査が必要です。
蛋白尿もある場合は腎機能や血液検査もした方が安心ですね。
Q4.何年も前から指摘されているのに体調は変わらない・・放っておいて良い?
ごくごく少量の出血であったり、一時的なもの・体質による血尿であれば治療を必要としない場合もあります。
再検査・精密検査で「今は問題ないけど、悪化する可能性がある」と言われた方は、定期的な検査を受けるのが望ましいです。
(検尿3か月~6か月毎、精密検査1年~2年毎など)
Q5.検査を受けたけど異常がないと言われました。それならどうして血尿が出たの?
考えられる原因としては
・良性反復性家族性血尿(腎臓の糸球体の基底膜が生まれつき薄い)
・遊走腎(胃下垂と同じように腎臓が下がりやすく、静脈が圧迫される)
・運動による腎臓、膀胱粘膜の損傷など(マラソンや、水泳フットボールなど)
があります。
原理がややこしいので説明は省きますが、運動すると腎臓にある細い血管が傷ついて蛋白や血尿が出ることもあります。
このような血尿の場合には寝起きの検尿や、家族(遺伝者)の検尿が参考になります。
他にも、炎症や腫瘍が小さくて検査で分からない場合や、腎臓の組織検査をしないと分からない軽度の糸球体腎炎が隠れている場合があります。
この場合には、Q4のように定期的な検査で病気があるかどうかを見ることが大切です。
せっかくの健康診断、受けっぱなしにせずに結果を有効に使いましょう!