保健師の宮本です。
寒い日が続いていますが、風邪などひいていませんか?
うがい手洗いはもちろん、「しっかり食べてしっかり寝る」ことも風邪やインフルエンザにかかりにくい身体づくりに大切なことです。
うっかり食べ過ぎたり、コタツでうとうと・・・だけは気を付けて下さいね。
さて
先々週からお送りしている耳の話ですが、今日は一旦お休みさせて頂きます。
というのも、先日保健指導(面談)中に「数か月前から爪に黒い線が入っているけど、何かの病気?」という質問がありました。
今日はそのお答えを兼ねたお話です。
爪には体の健康状態を表すバロメーターの役割があると言われています。
そのため、爪に黒い線や黒い点などの症状が出ている場合には、何らかの危険信号を爪が発している可能性があります。
爪の黒線・点はどうやってできる?
爪は爪甲(そうこう)と爪をつくる爪母(そうぼ)、爪甲を下で支える爪床(そうしょう)から成り立っています。
この爪母に何らかの病変があると爪の根元から縦に褐色または黒い線状のものが表面に現れ、これを「爪甲色素線状」と呼びます。
爪甲色素線条の正体
- 爪母にメラニンという黒い色素が異常に増加してできたほくろ
- 爪母にできた母斑細胞性母斑(あざ)
- 初期の悪性黒色腫(がん)
- 真菌(カビ)による病変
- 皮膚の良性腫瘍
- その他の皮膚疾患
10代後半頃までに爪の黒い線がハッキリと一本見えている場合は、ホクロの一種によるものだと判断されるケースが多いようです。
爪の黒線・点は病気?
上記のように「ホクロの一種」として片づけられることもありますが、中には病気の症状として現れることも。
自己判断は危険です。
代表的なものを2つご紹介します。
(悪性)黒色腫
メラノーマ、正式には悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)と呼ばれます。
悪性黒色腫とは、皮膚・粘膜・眼球脈絡膜などの色素細胞やホクロが何らかの原因によってがん化したものです(皮膚がんの一種)。
爪に黒(茶色)線ができた後、症状が悪化すると徐々に爪全体が真っ黒になり、発見が遅くなればなるほど生存率は低くなります。
特に爪の根元部分に現れていた黒い線の形や大きさが変わっている場合には、悪性の可能性があります。
また、黒くなっている部分の境界線を良く見てください。
もしも境界線がぼやけていたり、黒い色素が染み出しているように見えたら悪性黒色腫の可能性がありますので早急に病院を受診する必要があります。
アジソン病
爪に黒い線が出来る病気に、ホルモンの異常から起きるアジソン病という病があります。
アジソン病とは先天的または後天的な副腎皮質機能不全で起こる病気で、低血圧・全身倦怠感・胃腸症状・色素沈着など様々な症状が現われます。
その他にも全身の皮膚の色が黒くなるという特徴があり、上記の症状が徐々に顕著になっていきます。
この場合、黒い線は手の爪だけでなく足の爪にも現れ、1枚の爪に何本もできてきます。
メラニン等が原因でホクロや黒い線が出来る場合は、原因のある爪だけに黒い線が発生し、やがて消えていきますので、アジソン病との区別はしやすいです。
と、ここまで非常に恐ろしい事を述べてきましたが、普通のホクロが悪性黒色腫に変わる事は、それほど多いケースではありません。
最もやってはいけない行為は、この黒い部分が気になるからといってナイフなどで削り取ろうとする事です。
爪の根元に傷が付いたり、過度な刺激を与えると症状の悪化やボコボコの爪が生えるなどトラブルの原因ともなります。
気になる場合はまずは早めに病院へ行きましょう。
おまけ
縦線がデコボコしているのは乾燥や老化が原因です。
老化が原因であれば、白い縦線、黒い縦線両方の可能性があります。これは40代前半からすべての人に見られる傾向なので、病気の心配などはいりません。
気になる人は、クリームやオイルで保湿をして手や爪のケアをしっかりと行ないましょう。
【参考】
爪が教える病気のサイン 色・形・症状で分かる健康チェック http://makitume.biz/
一般財団法人 兵庫県医師会 http://www.hyogo.med.or.jp/