服部産業医事務所の活動

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【51】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年7月26日付
【51】 新型コロナウイルスワクチン接種後の発熱・かぜ症状

経営者・総務人事担当者のみなさま、職域接種が開始され、自治体の集団接種でも65歳未満の労働世代への新型コロナウイルスワクチン接種が開始されました。ワクチン接種後に発熱・かぜ症状が出た方への対応方針は定めているでしょうか?

1.課題の背景:
第49回では、のどの痛み、せき、息切れ、発熱、寒気、筋肉痛・関節痛、嘔吐・下痢、味覚や嗅覚の消失の1つでも症状が出たら、出勤・外出や人に会うことを避け、医療機関の受診を検討するように提言しました。これらの症状は新型コロナワクチン接種後の副反応でも生じることがありますが、ワクチン接種後だから副反応とは言い切れず、新型コロナウイルス感染も念頭に対応する必要があります。

2.企業でできる対策:
〇 ワクチン接種後であっても、発熱・かぜ症状の出た場合は出勤を見合わせる
〇 ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を再整理する

1) ワクチン接種後であっても、発熱・かぜ症状が出た場合は出勤を見合わせる
ワクチンによる発熱やかぜ症状は通常(接種日を含めて)3 日以内に発生し、その多くは 1~2 日以内に消失します。これらの症状はワクチンの副反応によるものなのか、それとも新型コロナウイルス感染症によるものかを区別するのは困難です。
□ ワクチン接種後であっても、発熱・かぜ症状が出た場合は出勤を見合わせる。

2)ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を再整理する。
 第3回では発熱者の職場復帰時期の目安を「発症後8日経過かつ、すべての症状がなくなってから72時間経過後」と提言しましたが、2回目の接種後には40%程度の方に発熱の副反応が生じる可能性があり、この条件をそのまま適用すると、多くの方が長期間出勤できなくなってしまいます。
 日本渡航医学会と日本産業衛生学会が合同で公開している新型コロナウイルス感染症対策ガイドで示された、ワクチン接種後の副反応にも対応した、職場復帰の条件を紹介します。

①発熱に加えて、咳、息切れ、鼻水、のどの痛みや味覚・嗅覚の異常を伴う場合
 咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚嗅覚の異常はワクチン接種後の副反応では生じないため、新型コロナウイルス感染の可能性を念頭に置き対応します。(詳細は第3回参照)
□ 「かかりつけ医・最寄りの医療機関」もしくは「自治体が設置する新型コロナウイルス受診相談窓口等」に相談し、受診および新型コロナウイルスの検査を受けるよう勧める。その結果に基づき、職場復帰へのアドバイスを受けること。
□ 新型コロナウイルス感染症と診断されなかった場合でも、症状消失後72時間経過後に職場復帰が望ましい。(偽陰性の可能性があるため)
□ 受診しなかった場合、発症後8日経過かつ、解熱後72時間経過後に職場復帰を目安とする。

②発熱のみ、および発熱にだるさ、頭痛、悪寒、筋肉痛(1以外の症状)を伴う場合
これらの症状はワクチン接種後の副反応でも生じうる症状であり、2日以内に消失すれば副反応である可能性が高いため、以下の条件をいずれも満たす状態で職場復帰させる。
□ 業務ができる体調まで回復している。
□ 解熱剤を8時間以内に服用していない状態で解熱している。
□ 咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常がない。
□ 2日以内に回復している。
※3日以上症状が継続する、咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常が出現した場合には、①の対応を行う
③発熱はないが、咳、息切れ、鼻水、のどの痛み、味覚・嗅覚異常がある場合
□ ①の対応を行う。

④発熱はないが、だるさ、頭痛、悪寒や筋肉痛など(3以外の症状)がある場合
□ 14日以内に新型コロナウイルス感染者と濃厚接触がなければ出勤可能。

3.関連情報リンク:
(1) 職域のためのCOVID19対策ガイド(補遺版)(2021.6.21掲載)
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide-add210621koukai.pdf
(2) 職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(2021.5.28更新)
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide210512koukai0528revised.pdf.
(3) 新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)(第10版 2021/7/7現在)
https://www.juntendo.ac.jp/jcrtc/albums/abm.php?f=abm00036266.pdf&n=%E9%A0%86%E5%A4%A9%E5%A0%82HP%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%94%A80707_FIX%E7%89%88.pdf
(4) 企業向け新型コロナウイルス対策情報  第49回 1つでも症状が出た場合に取るべき行動
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/049.pdf
(5) 企業向け新型コロナウイルス対策情報  第3回 発熱者の職場復帰時期の目安(改訂版)
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/003.pdf

文責:守田 祐作(産業医科大学 健康開発科学)

動画を下記で配信しております。
〇第49回動画「1つでも症状が出た場合に取るべき行動」
https://youtu.be/5RYwzaOloZM

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【50】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年7月12日付
【50】社員の同居者が濃厚接触した場合の対応

経営者・総務人事担当者のみなさま、社員の同居者が濃厚接触者となった場合に、社員が出社できる目安は作成していますでしょうか?

1. 課題の背景:
これまでよりも感染性の高いデルタ株への置き換わりが進み、いつ、誰が感染してもおかしくない状況です。その中で、「社員の同居者が濃厚接触になった場合に社員を出勤させてよいのか?」といった声が現場からよく出ます。リスクを過大に評価することで、感染者や濃厚接触者となった従業員に必要以上に大きな負担を強いることもあります。そこで、48回目の情報配信「濃厚接触者・感染者が安心して職場に戻るために」に加えて、社員の同居者が濃厚接触者になった場合の対応についても目安を作成しましょう。

2.企業でできる対策
〇 社員の家族に濃厚接触者が出た場合の家庭内の感染予防について社内に向けてアナウンスする
〇 社員の同居者に濃厚接触者が出た出社の目安を準備する
〇 自宅待機期間の勤務の取り扱いについて社内ルールを決める

1)社員の家族に感染者・濃厚接触者が出た場合の家族内の感染予防について
社内に向けてアナウンスする
厚生労働省からは「濃厚接触者の濃厚接触者」は「外出制限、出勤制限は不要である」との見解が出されています。しかし、家庭内における感染の確率が高いため、同居者が感染していると従業員が感染する可能性が高くなります(参考資料1)。家庭内の感染予防について、厚生労働省から注意事項が出されていますので、社内でアナウンスしましょう(参考資料2)。
なお、同居者が完全に感染している可能性がなくなるのは、濃厚接触日(感染者との最終接触日)から14日後です。そのため、同居している社員についてもその14日間は感染する可能性があります。

□濃厚接触者である同居人の濃厚接触日(感染者との最終接触日)から
14日間は、部屋を分けるなど家庭内でも接触を最小限とする
□濃厚接触者である同居人の世話をする人は、できるだけ限られた方
(一人が望ましい)にする
□できるだけ全員がマスクを使用し、小まめに手洗いをする
□日中はできるだけ換気をする。
□取っ手、ノブなどの共用する部分を消毒する
□汚れたリネン、衣服を洗濯する

2)社員の家族に濃厚接触者が出た出社の目安を準備する
濃厚接触者となった社員の同居者は保健所によるPCR検査(行政検査)を受けることになります。検査結果が陽性であれば社員本人が同居者の濃厚接触者になりますので、同居者との最終接触日から14日間の自宅待機が求められます。
同居者のPCR検査が陰性または不明の場合につき、①社員が無症状の場合②社員に症状がある場合の2つのパターンに分けて対応・復帰時期の目安を示します。

① 社員が無症状の場合
a) 同居者が無症状の場合
家庭内での感染予防対策を徹底して出社することは可能でしょう。

b)同居者に症状がある場合
同居者が感染している可能性がありますので、保健所によるPCR検査結果あるいは医療機関の診断が判明するまでは社員は自宅待機とし、新型コロナウイルス感染症に否定的な結果が判明したら、感染対策を徹底した上で出社を可能とすることが望まれます。

② 社員に症状がある場合
同居者の状況にかかわらず、まずは出社を控え、速やかに医療機関を受診することを勧めましょう。
a)新型コロナウイルス感染症が医師の判断で否定された場合には、発熱や風邪症状の消失から少なくとも72時間が経過している状態を確認して復帰させることは可能でしょう。

b)医療機関において新型コロナウイルスに感染していることが否定できないと判断された場合には、以下の基準に基づいた職場復帰とすることが望まれます。

<職場復帰の目安> 
・症状が出現してから少なくとも8日が経過している。
・解熱後に少なくとも72時間が経過しており、発熱以外の症状が改善傾向である。

3)自宅待機期間の勤務の取り扱いについて社内ルールを決める
同居者が濃厚接触者になった場合に、社員が自宅待機する期間はときに長期になることもありますし、出社する際の目安が複雑になることもあります。従業員が安心して休めるように、あらかじめ自宅待機期間の勤務の取り扱いルールを定めましょう。休業期間中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合い、従業員が安心して休むことができる仕組みを整えていただくことをご検討ください。詳しくは、厚生労働省の「労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)」をご参照ください(参考資料4)

3.関連情報リンク・参考情報:
1) SARS-CoV-2の家庭内2次感染リスクの推定(日経ビジネス)https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202101/568530.html

2) 新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html

3) 職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル(日本産業衛生学会)

https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=444
建設業における新型コロナウイルス感染予防・対策マニュアル
https://www.sanei.or.jp/images/contents/444/COVID19MANUAL3-CONSTR.PDF

4) 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

文責:五十嵐 侑(五十嵐労働衛生コンサルティング合同会社)

動画を下記で配信しております。
〇第49回動画「1つでも症状が出た場合に取るべき行動」
https://youtu.be/5RYwzaOloZM

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【49】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年6月21日付
【49】1つでも症状が出た場合に取るべき行動

経営者・総務人事担当者のみなさま、職場の感染対策は万全でしょうか?今回は「新型コロナウイルス感染症の症状が1つでも出た場合に取るべき行動」について述べたいと思います。

1. 課題の背景:
「具合が悪い時は出勤を見合わせる」といったことは職場の感染防止策の基本的かつ重要な取り組みの一つですが、必ずしも守られていないことを第29回配信「職場内外で避けたい感染リスクの高い行動」で書かせて頂きました。中には「下痢が続いているが、熱はないから出勤して大丈夫だろう」と考える方もいるかもしれません。が、それが新型コロナ感染症による症状である場合もあります。職場の集団感染リスクの低減を図るためにも、新型コロナウイルス感染症の症状と、一つでも症状があった場合に取るべき行動につき、今一度、従業員に周知徹底を図りましょう。

2. 事業所でできる対策:
○ 新型コロナウイルス感染症の症状につき理解する
○ 症状が1つでも出た場合に取るべき行動を従業員の一人一人に周知徹底する

1)新型コロナウイルス感染症の症状につき理解する
「具合が悪いのに無理をして出勤してしまう」行動は、コロナ禍においては職場の集団感染につながりかねず、職場としては従業員に避けてもらいたいことの一つかと思います。しかしながら、自分の具合が悪い状況が新型コロナウイルス感染症による症状かもしれないと結び付けて考えることができず、具合が悪いのに出勤してしまう従業員もいるかもしれません。新型コロナウイルス感染症の症状を正しく理解することは極めて重要と言えます。
新型コロナの潜伏期間(感染する機会から何らかの症状を発症するまでの期間)には1〜14日と幅がありますが、多くの人がおよそ4〜5日で発症します。新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ており、以下に示すような症状が見られることが多いです。「息切れ」「嗅覚障害・味覚障害」の症状は、風邪やインフルエンザでは稀ですが、それ以外の症状は区別が難しそうなことが分かります。

<新型コロナウイルス感染症の症状>
□咽頭痛
□咳
□息切れ・息苦しさ
□熱・寒気
□筋肉痛・関節痛
□嘔吐・下痢
□味覚や嗅覚の消失

新型コロナウイルス感染症に特徴的なのは、その経過です。特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かっています。流行早期の中国での4万人の感染者のデータによると、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約8割の方はそのまま治癒しますが、約2割弱と考えられる重症化する人は発症7日目前後から徐々に肺炎の症状が悪化して入院に至ります。

以下、重症化のサインとなる症状を示します。
<新型コロナウイルス感染症・重症化のサイン>
□呼吸困難
□持続する胸痛や胸の圧迫感
□錯乱
□意識消失
□顔や爪が蒼白や紫色になる

2)症状が1つでも出た場合に取るべき行動を従業員の一人一人に周知徹底する
 新型コロナウイルス感染症の症状や重症化のサインがみられた場合、どのような行動をとるべきなのでしょうか。
 まず前述の症状が1つでも出たら、出勤・外出や人と会うことを避け、医療機関の受診を検討しましょう。なお、受診の際は事前に電話連絡をすることが必要です。また、重症化のサインにあげた症状があったらすぐに医療機関に相談しましょう。
従業員の一人一人がこれらの行動について共通の認識を持つことも、職場の集団感染リスクを低減していくのに非常に大事な要素となります。今一度、従業員への周知徹底を行いましょう。
米国疾病対策センター(CDC)の「Symptoms of Coronavirus(COVID-19)」ポスターを参考に、厚生労働科学研究費補助金「新型コロナウイルス感染症に対する疫学分析を踏まえたクラスター対策等の感染拡大防止策に関する統括研究」(分担研究者:和田耕治)の助成で「新型コロナウイルス感染症の症状」がポスターにまとめられました。資料はOHサポート株式会社・企業向け新型コロナ対策情報(参考資料3)にも掲載しております。ぜひこのポスターも活用しながら、従業員の一人一人に対して1つでも症状が出た場合に取るべき行動つき周知徹底していきましょう。

3.関連情報リンク:
1)企業向け新型コロナ対策情報【29】職場内外で避けたい感染リスクの高い行動
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/029.pdf
2)忽那賢志. 症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは?現時点で分かっていること(2021年5月)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210530-00240373/
3)企業向け新型コロナ対策情報(OHサポート株式会社)
http://www.oh-supports.com/corona.html

文責:今井 鉄平(OHサポート株式会社 代表・産業医)

動画を下記で配信しております。
〇第47回動画「海外駐在者の新型コロナワクチン接種」
https://www.youtube.com/watch?v=iHF7qIuM8oM

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【48】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年6月7日付
【48】濃厚接触者・感染者が安心して職場に戻るために

経営者・総務人事担当者のみなさま、新型コロナウイルス感染が治まらない中、感染者や濃厚接触者が安心して職場復帰できるように準備はできているでしょうか?

1. 課題の背景:
緊急事態宣言などの制限によって一時的に感染拡大が抑えられても、その後に感染が拡大することが繰り返されています。いつ、誰が感染してもおかしくない状況の中、感染者や濃厚接触者が職場復帰する際に、周囲の従業員から復帰に反対するような声が出ることがあります。感染や濃厚接触となった従業員が安心して、気持ちよく職場復帰できるようにしましょう。

2.企業でできる対策
〇 濃厚接触者や感染者が職場に復帰する基準を日頃から周知する
〇 濃厚接触者や感染者に対する差別や中傷をしないよう教育する
〇 感染のハイリスク者など、不安を強く感じる社員に配慮する

1) 濃厚接触者や感染者が職場に復帰する基準を日頃から周知する
濃厚接触者や感染者が職場に復帰するのは、他の人に感染させる可能性がないからであることをあらかじめ周知することで、実際に復帰する場面で混乱が起きないようにします。
<濃厚接触者>
□最後に濃厚接触(マスクなしで1m以内、15分以上の会話など)をした日から14日間の健康観察期間経過中、発熱などの症状が出なかった場合
<感染者>
□発症後(ないし診断確定後)に少なくとも10日以上経過している
□解熱後に少なくとも72時間経過しており、発熱以外の症状が軽快傾向である
の両方を満たしている場合
を目安としつつ、保健所の指示に従います(参考資料1)。
これらの目安は、ウイルスが他の人に感染しないよう、安全域を見込んだものです。必要以上の休業を求めることで従業員の働く権利をいたずらに阻害することのないように気を付けましょう。
なお、感染拡大地域においては、保健所の積極的疫学調査は
①重症化リスクのあるものが多数いる場所・集団との関連
②地域の疫学情報等を踏まえ感染が生じやすいと考えられる(三密や大声を出す環境その他濃厚接触が生じやすい等)状況
を優先して行うこととなっています(参考資料2)。したがって、職場の濃厚接触者への調査が遅れる可能性があり、職場において積極的に濃厚接触者の把握と外出制限、健康観察を行うことが望まれます。その際は保健所の指示が充分に得られない可能性がありますから、上記の基準を参考に健康観察期間を設定します。

2) 濃厚接触者や感染者に対する差別や中傷をしないように教育する
感染者等についての情報はプライバシーに配慮しながらの発信となるため、情報の内容や伝達する範囲を限定することになります。そのことによって、事実とは異なる噂話として広がる可能性があります。日頃から従業員がお互いを尊重しあえるように働きかけます。
□社内での感染防止ルールを徹底し、感染が拡がらないようにする
□プライバシーに配慮するため、開示される情報は内容・範囲とも限定的になることを事前に周知しておく
□事実と異なる噂話や感染者等への直接の差別や嫌がらせは職場のハラスメントとして厳正に対処することを周知する

3) 感染のハイリスク者など、強く不安を感じる従業員に配慮する
持病を持っているなど、感染に対して強く不安を感じている従業員もいます。そのこと自体を批判するのではなく、丁寧に対応しましょう。
□産業医や保健師に相談できるようにするなど、不安を感じる従業員のための相談窓口を作る
□不安を感じていることを受け止めつつ、そのために社内で感染防止対策を講じていること、感染者等は他の人に感染させる危険性がなくなってから出勤していることを説明する

3.関連情報リンク・参考情報:
1) 職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第5版
https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=416f
2) 積極的疫学調査における優先度について 令和2年11月20日 事務連絡(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)
https://www.mhlw.go.jp/content/000697364.pdf
3) 職場でコロハラを起こさないために(日本産業カウンセラー協会)
https://www.counselor.or.jp/covid19/covid19column10/tabid/516/Default.aspx

文責:櫻木 園子(一般財団法人京都工場保健会)

動画を下記で配信しております。〇第46回動画「新型コロナワクチン情報2」
https://www.youtube.com/watch?v=b0LqZDhpi9U

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【47】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年5月24日付
【47】 海外駐在者の新型コロナワクチン接種

企業の経営者・担当者のみなさま、海外駐在者の新型コロナワクチン接種について、できるところから準備を進めましょう。

1. 課題の背景:
国内在住者の新型コロナワクチンの接種は、原則として居住する市町村ごとに管理され、接種券が送付されます。一方、海外在住の方については、そのままでは国内の接種券が送付されないほか、国・地域によって事情が異なります。現地で受けるか、日本に一時帰国するかなど悩むことが想定され、まだ不確定な事項も多いのですが、今回は2021年5月22日時点で入手可能な情報に基づき紹介します。

2. 企業でできる対策:
○ 滞在地での新型コロナワクチン接種を検討する。
○ 医療事情を含む生活環境が厳しい場合、日本への一時帰国を検討する。
○ 予防接種を受けたらそのつど記録し、いつでも参照できるようにしておく。

2-1. 滞在地での新型コロナワクチン接種の検討
□ 滞在地で外国人住民を対象とする新型コロナワクチン接種を検討する。
□ ワクチンの種類を選べる場合は、日本でも承認されているワクチンを優先的に選ぶ。
日本貿易振興機構 (JETRO) ビジネス短信の添付資料によると、多くの国・地域で在留外国人を含む住民を対象に、無料または安価の新型コロナワクチン接種機会が準備されています。日本でも各市町村は在留外国人を含む住民全員に接種券を送付し、希望者は無料で接種を受けることが可能です。
一方、日本国籍を持っている人で、海外転出届を提出して日本国内に住民登録されていない場合、今のところ国内の接種券は自動的に送られてきません。日本に一時帰国しての予防接種を希望する場合、実家などのある市町村で対応できるか個別に相談する必要があります。
現在滞在している国・地域で日常生活に大きな支障がなく、新型コロナワクチン接種の機会が得られる見込みが立つのであれば、現地での接種が第一選択となるでしょう。国・地域によって事情は様々ですが、もしワクチンの種類が選べるなら、(1)日本でも承認されているワクチン、(2)日本では承認されていないが世界保健機関 (World Health Organization: WHO) の緊急使用リスト(Emergency Use Listing: EUL)には載っているワクチンの順番が無難と考えられます。現在EULには日本で承認された3種類を含む7種類のワクチンが載っています。そのうち2021年2月15日発効の2種類は日本でも承認されたアストラゼネカ製ワクチンと同じもので、製造拠点が異なります。

表 WHOの緊急使用リスト(EUL)に載っている新型コロナワクチン

2-2. 日本への一時帰国の検討
医療事情を含む生活環境に大きな影響がある場合は日本への一時帰国を検討する必要が生じます。最近では5月2日に外務省がインドの在留邦人へ一時帰国の検討を呼びかけるスポット情報を出しました。新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に伴い医療提供体制が逼迫し、他の病気やけがを含む通常の医療が受けられない可能性が高まっていることが理由です。また、医療提供体制の逼迫は一時帰国希望者の搭乗前PCR検査にも影響を及ぼすおそれがあることから、在インド日本国大使館では、日本への航空便の情報と併せて搭乗前PCR検査の会場や申込方法についても案内しています。

2-3. 予防接種の記録
□ ワクチンの種類、接種部位、メーカー、ロット番号、接種年月日、接種した医療機関等を一覧できる形で記録する。
□ 日本国内で接種したときもできるだけ英語で記載する。
新型コロナワクチンを含む各種の予防接種を受けたら、そのつど記録してもらうようにしましょう。小児期までの予防接種は母子手帳に記録欄があります。成人向けには国立感染症研究所が「成人用予防接種記録手帳」のPDFファイルを配布しており、新型コロナワクチンと従来使われているワクチンの種類、接種部位、メーカー、ロット番号、接種年月日、接種した医療機関等を記録できます。これらの情報は、国・地域によって、入出国の手続きや学校の入学手続きなどの場面で提示を求められることがあります。日本国内で接種したときも、できるだけ英語で記載してもらうようにしましょう。

3. 関連情報リンク:
1) 海外主要国・地域の新型コロナワクチン接種状況、在留邦人も段階的な接種進む
日本貿易振興機構 (JETRO) ビジネス短信 (2021年5月7日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/bd518d30d5a9fe83.html
2) 日本への帰国・再入国のためのPCR検査及び日本への臨時便の運航について
(在インド日本国大使館 領事メール 2021年5月8日)
https://www.in.emb-japan.go.jp/files/100186980.pdf
3) WHO緊急使用リスト (2021年5月7日、英語)
https://extranet.who.int/pqweb/vaccines/covid-19-vaccines
4) 国立感染症研究所 成人用予防接種記録手帳
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/record-nb/Adult_vaccination_record_notebook.pdf

文責:田原 裕之(産業医科大学 産業精神保健学)

動画を下記で配信しております。
〇第45回動画「全国から人が集まるイベントの感染対策」
https://www.youtube.com/watch?v=A4kasorN-0w

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【46】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年5月10日付
【46】 新型コロナウイルスワクチン情報2 

経営者・総務人事担当者のみなさま、65歳以上(昭和32年4月1日以前に生まれた方)への新型コロナウイルスワクチン接種が開始されました。従業員のワクチン接種に向けた準備は進んでいるでしょうか?

1.課題の背景:
新型コロナウイルスのワクチンが国内承認され、医療従事者から接種が開始され、接種回数は国内で350万回を超えました。65歳以上の方にも4月12日以降ワクチン接種が開始されています。第41回では新型コロナワクチンの一般的な情報を紹介しましたが、従業員が実際にワクチン接種を受けるにあたり、具体的な対応の準備が必要です。

2.企業でできる対策:
〇 ワクチン休暇制度導入などワクチン接種しやすくなる工夫を検討する。
〇 具体的なワクチン接種の手順や注意点について情報提供する。
〇  ワクチンの副反応が出た場合の対応方法を検討する。

1) ワクチン休暇制度導入などワクチン接種しやすくなる工夫を検討する。
従業員が新型コロナワクチンを接種することで、発症予防効果が期待されます。しかし、休日は接種の予約が難しく、接種の先送りをしてしまう等が懸念されます。従業員の接種率を高めるため、以下の取り組み事例を参考に検討しましょう。
□ ワクチン接種を労働時間内に受けることを認める。
□ ワクチン接種をする従業員のために特別有給休暇を新設する。
□ ワクチン接種会場までの交通費を支給する。

2)具体的なワクチン接種の手順や注意点について情報提供する。
 <接種前>
 □ ワクチンの効果、副反応については、第41回の情報:関連情報(2)を活用し周知する。
 □ ワクチン接種の申し込み手順を周知する(関連情報(3,4))。
 □ 持病のある人は主治医とワクチン接種について事前相談するよう周知する。
(関連情報(5,6)も参照)

<接種当日>
 □ 接種券、本人確認書類(マイナンバーカード、免許書、保険証等)を持参する。
 □ 密を避けるため予約した時間に接種会場へ行く(早めに行くなどしない)。
 □ 肩の筋肉に接種するため、肩を出しやすい服装で接種会場へ行くよう周知する。
<接種後>
□ アナフィラキシーは接種後30分以内の発症が多く、接種後は接種会場で15-30分待機し、発症すれば医療従事者が必要な対応を行う。
□ 接種部位の痛み、発熱、だるさは多くの場合、接種して3日以内に症状が出て、1-2日以内に治まる。辛いときは市販等の解熱剤/痛み止めを使用してよい。
□ 予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、予防接種法に基づく医療費・障害年金等の給付が受けられる。

3)ワクチンの副反応が出た場合への備えを検討する。
新型コロナワクチン接種後(特に2回目)には接種部位の痛みが90%以上で認められており、現場作業者は業務に支障が出る懸念があります。また、発熱やだるさの副反応は半数近く発生し、6.6%程度が仕事を休んだと報告されています。同じ職場の従業員が同日に接種すると、副反応で同時に休む(または作業ができない)ことも考えられます。以下のような対応を検討し備えましょう。
□ 可能な範囲で予防接種の予約日が同職場内で重ならないよう調整する。
□ 接種翌日に休暇が取りやすいよう事前に業務調整しておく。
  (シフト勤務者の場合、体調不良に備えて代替要員を決めておく)
□ 副反応による特別有給休暇を半日~1日取得できる制度を設け、休みやすくする。

3.関連情報リンク:
(1) CDC(米国疾病対策予防センター)  雇用主向けに新型コロナウイルスのワクチン接種に関するガイドラインWorkplace Vaccination Program
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/essentialworker/workplace-vaccination-program.html#anchor_1615584361592
(2) 企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【41】 新型コロナウイルスワクチン情報 http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/041.pdf
(3)65歳以上の方向け「新型コロナワクチン接種のお知らせ」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000766194.pdf
(4)厚生労働省 コロナワクチンナビ
https://v-sys.mhlw.go.jp/
(5)「ワクチンに便乗した詐欺に注意」(政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg22436.html
(6)血をサラサラにする薬を飲まれている方へ
https://www.mhlw.go.jp/content/000738777.pdf
(7)こびナビ ワクチンQ&A:みなさんへ(アレルギーや基礎疾患のある方、妊娠中・授乳中・妊娠を考えている方、お子さまに対するワクチン接種)
https://covnavi.jp/category/faq_public/
(8)新型コロナワクチンを受けた後の注意点
https://www.mhlw.go.jp/content/000770985.pdf
(9)厚生労働省 ご存じですか?予防接種後健康被害救済制度
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/dl/leaflet_h241119.pdf
(10)新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)について(中間報告第6版 2021/4/30)
https://www.juntendo.ac.jp/jcrtc/albums/abm.php?f=abm00035457.pdf&n=%E9%A0%86%E5%A4%A9%E5%A0%82HP%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%94%A80430_FIX%E7%89%88.pdf

文責:守田 祐作(産業医科大学 健康開発科学)

動画を下記で配信しております。
〇第44回動画「新型コロナウイルス後遺症について」
https://www.youtube.com/watch?v=ait5nFGa83U

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【45】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年4月19日付
【45】 全国から人が集まるイベントの感染対策

経営者・総務人事担当者のみなさま、全国から人を集めるイベント等を行う際、感染対策は十分検討されているでしょうか?

1.課題の背景:
新型コロナウイルスの局地的な感染拡大に伴い、各地域でまん延防止等重点措置等が発令されています。このような中でも、全社会議や経営会議、集合研修といった全国から人を集めるイベントの開催方法について検討している企業は少なくないものと思われます。社内イベントに伴い、感染拡大地域と非・感染拡大地域間で人が移動することで、職場内クラスター発生のリスクが高まる懸念もあり、慎重な判断が各企業に求められます。そこで今回は「【36】 社内研修、採用イベント時の感染対策」(2020 年 12月 14 日)に続き、地域の流行状況を考慮した、社内イベント開催の判断の目安や感染防止対策について考えていきます。

*まん延防止等重点措置とは、感染状況が深刻な地域ごとに発令されるもので、緊急事態宣言は都道府県単位で設定されるのに対し、重点措置は市区町村などに限定して発令され、飲食店の時短営業や、不要不急の外出・移動の自粛などが要請されます。

2.企業でできる対策:
〇 イベントを開催する意義について再検討し、開催方式を決定する
〇 地域の感染流行状況によって開催方式を変更することを事前に案内する
〇 感染拡大地域からの参加は極力制限する
〇 体調不良の場合の現地参加を控えるよう周知する

1)イベントを開催する意義について再検討し、開催方式を決定する
イベントを開催するにあたって、その開催意義を考えることは非常に重要です。例えば、活発な議論や円滑な交流が主な意義となるイベントは対面で行い、情報共有や教育・啓蒙が主な意義となるイベントは遠隔で行います。局地的な感染拡大が起きている現状においては、遠隔(オンライン)で代替可能であれば、オンライン方式の開催が望ましいでしょう。また、現地参加とオンラインによる遠隔参加を組み合わせたハイブリッドによる開催方式についても検討の余地があるのかもしれません。

2)地域の感染流行状況によって開催方式を変更することを事前に案内する
各地域の感染流行状況は刻々と変化していく可能性があります。特に、開催予定場所が感染拡大地域(※)に該当する場合は、現地開催は見合わせるべきでしょう。そこで、イベントの開催を案内する際に、感染流行状況によって開催方式がオンライン等に変更する場合があることを伝えておきましょう。開催方式を最終確定する日にちなども予め決めておくとよいでしょう。
※緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令された地域を感染拡大地域とすると判断しやすいでしょう。

3)感染拡大地域からの参加は極力制限する
開催予定地が感染拡大地域となっていなくても、感染拡大地域から従業員が社内イベントに参加するために県境をまたいで移動してくることは避けたいところです。このため、感染拡大地域に居住・勤務する従業員については、オンライン参加に変更するよう求めることが重要です。

4)体調不良の場合は現地参加を控えるよう周知する
  体調不良がある場合や、濃厚接触者として外出自粛要請を受けている場合には、現地参加を見合わせることの徹底が必要です。そのためにも、オンライン参加に変更することができる開催方式が望ましいでしょう。

以上、2)~4)の視点を盛り込んだフローチャートを以下に示します。
※図は割愛。OHサポート株式会社のサイトに掲載しております。

5)開催中の感染対策の留意事項
対面でのイベントを開催する場合には、「イベント等における感染拡大防止ガイドライン(関連情報1)」や「新型コロナウイルス感染症禍における MICE 開催のためのガイドライン(関連情報2)」に従って感染対策を徹底しましょう。特に、以下の事項に留意してください。
  □ 現地に集合する人数を最小限に厳選する
□ 大声での歓声、声援等を行わない
□ 原則としてマスクを常時着用とする(口元を見せる必要がある場合は広めにフィジカルディスタンスを確保する、パーティションを設置する)
□ イベント中やイベント後の会食は禁止とする

3.関連情報リンク:
(1)来年2月末までの催物の開催制限、イベント等における感染拡大防止ガイドライン遵守徹底に向けた取組強化等について(内閣官房) https://corona.go.jp/news/pdf/jimurenraku_20201112.pdf
(2)新型コロナウイルス感染症禍における MICE 開催のためのガイドライン
第4版 2021年1月18日 一般社団法人日本コンベンション協会
https://jp-cma.org/manager/wp-content/uploads/2021/01/88ed6757d6bede8601990d4ed86bda4b.pdf?fbclid=IwAR3MBqRIbwyf_Uk-0JSagFls8P20D_D_5quMPUEjLsFu6ny2l74xFbOHDJY
(3)感染リスクが高まる「5つの場面」年末年始特設サイト(内閣官房)
https://corona.go.jp/proposal/
(4)企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2020 年 12 月 14 日
【36】 社内研修、採用イベント時の感染対策
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/036.pdf
(5)第94回日本産業衛生学会
感染症対策 感染拡大地域等からの参加方法について
https://convention.jtbcom.co.jp/sanei94/control/index.html

文責:五十嵐 侑(五十嵐労働衛生コンサルティング合同会社)

動画を下記で配信しております。
〇第43回動画「リバウンドを防ぐために」
https://www.youtube.com/watch?v=CegH1hC_lVE

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【44】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年4月5日付
【44】 新型コロナウイルス後遺症について

企業の経営者・担当者のみなさま、新型コロナウイルスに感染した後に、患者によっては急性期の症状が遷延する(いわゆる後遺症が残る)ことが分かってきております。今後、後遺症に悩む従業員が職場で発生する可能性もありますので、まずは現時点で分かっていることを整理しておきましょう。

1. 課題の背景:
新型コロナウイルスに感染した後、ほとんどの人は通常の健康状態に戻る一方で、回復した後も数週〜数ヶ月間様々な症状が続く人がいます。症状の程度にも個人差があり、中には従前通りの業務に就くことが困難なケースもあるかもしれません。また、どこに相談したらよいか分からず、問題を独りで抱え込んでしまっていることもあるかもしれません。
残念ながら、現時点では後遺症の原因は明確に分かっておらず、確立された治療法もないのが現状です。それ故に、職場での理解や支援が後遺症に悩む従業員にとって大きな助けになることもあります。今回は、後遺症について現時点で分かっていること、職場で実施可能と思われる支援につき説明します。

2. 企業でできる対策:
〇 後遺症について理解する
○ 後遺症の相談窓口を把握しておく
○ 後遺症に悩む従業員への配慮を検討する

2-1. 後遺症について理解する
□ 感染者の3人に1人に何らかの症状が後遺症としてみられる可能性がある
□ 症状によっては数カ月も遷延することがある
□ 軽症者、若年層においても後遺症が問題となる場合がある
□ できるだけ感染しないことが最大の後遺症予防策となる
後遺症として頻度が高い症状には、倦怠感、息苦しさ、胸の痛みや違和感、咳などがあげられます。それぞれの頻度や持続期間は資料1をご参照ください。症状によって持続期間にばらつきがありますが、倦怠感など6カ月も遷延する場合も実際にあるようです。また、新型コロナに感染した人の3人に1人が、少なくとも1つ以上の症状を後遺症として経験していることが国内外の報告で分かっており、後遺症も決して稀なことではないようです。
入院を要する重症の新型コロナ患者で後遺症がみられやすい傾向にありますが、入院していない軽症の人でも症状が続いたり、後になって症状が出てきたりすることがあります。また、20~30代の若い層も後遺症を有する割合は決して低くないことが国立国際医療研究センターの調査からも分かっており、若いから感染しても大丈夫とは言えなさそうです。現時点では、できるだけ感染しないように基本の感染予防策を続けていくことが最大の後遺症予防策となります。

2-2. 後遺症の相談窓口を把握しておく
□ 地域の後遺症専門外来、行政の相談窓口等の情報を把握しておく
前述のように、現時点では後遺症の原因は明確に分かっておらず、それぞれの症状に応じた対症療法が中心となります。医療機関で後遺症専門外来を設置しているところも増えてきました。また東京都では都立病院の患者支援センターに「コロナ後遺症相談窓口」を設置し、新型コロナウイルス感染症の治療や療養終了後も、呼吸の苦しさや味覚・嗅覚の異常などの症状がある方からの受診や医療に関する相談への対応を開始しているようです(資料3)。このような地域の相談窓口や専門医療機関の情報を職場で把握しておくことで、後遺症に悩む従業員が出た場合に専門医療機関につなげられる可能性が出てきます。

2-3. 後遺症に悩む従業員への配慮を検討する
□ 従業員本人の意向を踏まえながら、復職時期や復職時の就労条件を個別に調整する
□ 後遺症が長期間にわたり遷延する際の労務管理上の取り扱いをよく検討しておく
感染した従業員は、通常ですと「発症日から 10 日間を経過し、かつ症状軽快後 72 時間経過した場合」に職場復帰が可能となります。これは他の人への感染拡大防止の観点からの目安となりますが、10日間を過ぎても症状が残る場合に復職をさせてよいのか、職場でも悩ましいところかと思います。このような場合、保健所や(産業医契約のある事業場では)産業医等に相談することも一つの方法です。
また、感染した従業員本人が復職への不安を感じている場合などは、本人の意向を踏まえながら、職場復帰の時期や職場復帰時の就労条件などを個別に調整していくことも重要となります。例えば、倦怠感が著しい場合など、時短勤務や在宅勤務を一定期間行った上で、徐々に通常勤務に戻していくなどの対応が考えられます。
ただし、症状によっては数カ月に渡って遷延する可能性があります。この間、漫然と配慮が長期化する状況も好ましくなく、後遺症が長期化する際の労務管理上の取り扱いについてもよく検討しておく必要があります。例えば、配慮継続の必要性につき、定期的に主治医や産業医等の意見を聴くことなどがあげられます。また、メンタルヘルス不調やがんなど、すっきりと治らない病気の職場復帰支援の仕組みなども参考にできるかと思います(資料4、5)。これらの仕組みがない職場では、これを機に疾病からの職場復帰支援の仕組みを整備することをお勧めします。

3.. 関連情報リンク:
1) 忽那賢志. 新型コロナの後遺症Q&A どんな症状がどれくらい続くのか(2021年1月)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210131-00220218/
2) iCDC(東京都公式). 後遺症の恐怖―コロナのその後について、大曲先生にお聞きしました。
https://note.com/tokyo_icdc/n/n18515b0f8541
3) 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部. 都立病院患者支援センターへの「コロナ後遺症相談窓口」の設置についてhttps://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/29/43.html
4) 厚生労働省. 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf
5) 厚生労働省. 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000760961.pdf

文責:今井 鉄平(OHサポート株式会社)

動画を下記で配信しております。
〇第42回動画「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の活用 (その2)」
https://www.youtube.com/watch?v=wb_6EbY0IPA

中小企業のための新型コロナウイルス対策ガイド

産業医の有志の先生方の配信する
企業向けの新型コロナ対策情報を共有させて頂いておりますが
これまでの記事の抜粋版が
中小企業のための新型コロナウイルス対策ガイドとして
配信されております。
社内でぜひご活用ください。

緊急事態宣言解除などによる再流行の波や
変異株の感染者増による入院ベッドの不足が
予想されております。
ワクチン接種の順番が来るまでは
まだまだ時間がかかりそうなので
決められたルールを淡々と守って過ごしましょう。

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【43】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2021年3月22日付
【43】リバウンドを防ぐために

経営者・総務人事担当者のみなさま、一部地域に発出されていた緊急事態宣言が解除されました。今後も感染者が再び増加して三度の緊急事態宣言とならないよう、対策が必要です。

1. 課題の背景:
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除されると、緊張感が緩み、感染防止策が疎かになってしまう可能性があります。緊急事態宣言が解除される前でも、新規感染者数の減少スピードが鈍化するなど下げ止まりやリバウンドの懸念があります(資料2)。ずっと緊張して、抑制して生活を続けることは困難ですから、感染を広げないように工夫をして気持ちを緩め、リラックスすることが必要です。

2.企業でできる対策
○ 外出はすいた時間・場所を選び、混雑した場所での食事を控える
〇 歓送迎会は控え、花見は宴会なしにする
〇 組織のトップが方針を示し、リモートワークをする

1) 外出はすいた時間・場所を選び、混雑した場所での食事を控える
密な場所では感染リスクが高まることを再確認し、混雑した場所を避けること、特に食事を控えるように社員に呼び掛けましょう。
どうしても会食をする場合は、以下のことを守るよう従業員に促しましょう(資料3)。
□普段から一緒に過ごす人と少人数、短時間にする
□会話の際はマスクを着用し、大声での会話を避ける
□家族や同居人以外と会食する場合は4人までとし、様々な人と、頻繁に会食することは避ける
□「飲食業に求められる対策(※)」を行っている店舗を選ぶ
□のどが痛い、咳が出るというような体調不良が少しでもある場合は会食への出席を取りやめる

2) 歓送迎会は控え、花見は宴会なしにする
緊急事態宣言が解除されても、新型コロナウイルス感染症がなくなったわけではありません。特に人が大勢集まる場では、声が大きくなったり、会場内で動き回ったり、マスクの着用が疎かになるなどリスクが高まります。
□宴会以外の歓迎や送別の気持ちを表す場や機会を設けるよう工夫する
□花見はレジャーシートを広げて集まるのではなく、ゆっくりと歩きながら楽しむ

3) 組織のトップが方針を示し、リモートワークをする
緊急事態宣言後もできるだけリモートワークを継続しましょう。リモートワークでもコミュニケーション不足を補えるよう、定期的にミーティングを行うなどの工夫をしましょう。
□在宅勤務やローテーションで出勤するなど、「出勤者の7割削減」を目指すことも含め、接触機会の低減を図る
□職場に出勤する場合でも時差出勤や自転車通勤等人との接触を低減する
□職場での感染防止対策(手指消毒、マスクの着用、適切に換気を行い密を避けるなど)を徹底し、特に「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室等)で感染対策が疎かにならないよう注意する

※【飲食業に求められる対策】
Ⅰ.店内の二酸化炭素濃度を測定し、一定水準(目安1,000ppm)を超えないように換気や収容人数を調整する、
Ⅱ.1グループは同居家族以外ではいつも近くにいる4人までにする、
Ⅲ.①同一グループ内の人と人との間隔及び、②他のグループのテーブル間の距離を一定以上(目安1~2m)に確保する。なお、距離の確保が困難な場合には、飛沫の飛散防止に有効な遮蔽版(アクリル板等)等を設置するなど工夫する。
Ⅳ.店内で会話の声が大きくならないようBGMの音量を最小限にするなど工夫する
Ⅴ.①席の近くに消毒液を設置。②店舗入口等の掲示にて食事中以外のマスク着用及び体調不良者の入店お断りをお願い。③体調の悪い人、感染や濃厚接触の可能性のある人がキャンセルできるような方針を業界団体で検討。

3.関連情報リンク・参考情報:
1) 緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言(新型コロナウイルス感染症対策分科会)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/ribaundoboushisaku_teigen.pdf

2) 直近の感染状況の評価等(第26回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料1)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748315.pdf

3) 新型コロナウイルスへの感染リスクの考え方(高山義浩)
https://news.yahoo.co.jp/byline/takayamayoshihiro/20201220-00213483/?fbclid=IwAR14RA0rwfGnpkOx-tGuopldAoPNznqfWBJwWF5tVo_d44coVKAqa8vyW74
4) 【識者の眼】新型コロナ、緊急事態宣言の解除が見える中で検討すべき課題(和田耕治)
https://medical-saponet.mynavi.jp/news/data/detail_2511/

5) 【識者の眼】飲食の場面におけるコロナの感染症対策(和田耕治)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=16662

文責:櫻木 園子(一般財団法人京都工場保健会)

動画を下記で配信しております。〇第41回動画「新型コロナウイルスワクチン情報」
https://youtu.be/G-agwuJfESk

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