服部産業医事務所の活動

今更ながらに健康診断について語る④

おはようございます、保健師の山本です。
「健康診断」シリーズも4回目になり、一般的なことはこれまでにに書いたのでちょっと趣向を変えて、今回はお送りしたいと思います。

1.健康診断を受けたがらない社員
このブログをご覧いただいているほとんどの方は、健康管理について興味を持っており、 健康診断の重要性についても十分ご存知だと思います。

「健康」に関するTV番組も増え、健康診断の重要性も言われていますが、まだまだ健康診断を受けたがらない社員の方はいるそうです。
 加えて、受診した従業員の中にも個人情報保護をもちだして、健康診断の結果の提出を拒む人が居るとか居ないとか。

労働安全衛生法によると、事業者は、一般健康診断を1年に1回(深夜労働その他労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務に従事する者は6か月ごとに1回)定期的に実施しなければいけないことになっています。。
同法は罰則がある法で、前述の決まりに違反した場合には50万円以下の罰金に処すると同法に定めがあります。

また労働安全衛生法には、労働者に対しても「事業者が行なう健康診断を受けなければならない」と規定しています。
つまり、健康管理は労働者の義務でもあるのですが、労働者の健康診断受診義務に対しては罰則は規定されていません。

2.受けたがらない社員に対する対処
ではいったい、このような社員の方へはどのように対応したらいいのでしょうか。
労働安全衛生法に定められた健康診断については、事業者に実施の義務があるだけでなく、従業員には受診の義務が定められています。

裁判例によると、同法に定められている健康診断の受診については職務上の命令として命じることができ、拒んだことを理由に懲戒処分をもって対処することも可能です。
また、従業員が健康診断結果の提出を拒む場合は、【健康管理上の個人情報の取扱い】が明確でないことも想定されます。

そこで、労働基準法に定めるところの「就業規則」に、『健康診断』、『健康管理上の個人情報の取扱い』の記載をしてはいかがでしょうか。
個人情報の保護に関する法律には、「個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し、又は公表しなければならない」とありますから、この記載は大切です。
また、取扱いに関しては、衛生推進者、衛生管理者、産業医、保健師等の特定の者のみが取り扱うようにし、提出された情報によって従業員が不利に扱われる事態は、事業者としては、絶対に避けなければいけません。

3.受けたがらない社員に対する対処の実例
実はこの問題に対して、大手コンビニチェーンの〇ーソンでは2013年から新たな制度を導入しているとのこと。
その制度の内容とは

『定期健康診断を受診しなかった従業員の賞与について、15%減額する。直属の上司の賞与も10%減額する。』

というもの。
多忙を理由に健診を受けず、健康を害して仕事を続けられなくなるケースを減らし、社員の健康維持・管理を進めるとともに、企業の医療費負担の軽減にもつなげたい考えです。
同社では、社員が自身の健康管理をおろそかにしないための方法を模索。
その結果、賞与のカットという劇的な方法の導入に至ったそうです。

ちなみに、同社では2011年度の健診受診者が約83%にとどまったそうです。
受診しなかった理由は、「業務が多忙だったため」が多かったとのこと。
その結果、病気の発見が遅れた社員もいるとか…。
担当者は「社員の健康管理のため社としてすぐ行動すべき」と話しています。

健康診断義務があるにも関わらず健康診断を受けない社員が、何か重大な病気を発症してしまった際、間違いなく賠償請求を問われるのは事業者(雇用主)になってしまいます。
このような事業者のリスク回避するためにも、今回のこの某コンビニチェーン店のように、健康診断受診の義務や具体的な対処制度を必ず就業規則に記すということも受診しない人を減らす1つの方策ではないでしょうか。

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