服部産業医事務所の活動

今更ながらに健康診断について語る⑤

こんにちは、保健師の山本です。
「健康診断」シリーズも5回目ですが、今回からは健康診断に関するちょっとした小ネタ、いわゆる健康診断あるあるについてお話ししたいと思います。
※何回になるかは不明です(笑)
健康診断あるある第1段は、「採血の時気分が悪くなるのはなぜ?」です。
実は私が某病院の外来で働いていた時に、採血した方が倒れたことがあります。
採血真っ最中に後ろ向きに倒れられたので、それはもう後が色々大変でした。
では、どうしてなのか見ていきましょう。

1.健診の採血で「貧血」?
針を刺し、痛みを伴うことから苦手とする方が多い「採血」。
この採血中に、自分の血が抜かれていく様子を見て、倒れてしまう人がいます。
そんな時よく「貧血を起こして倒れた」と言いますが、しかし本当に、血液検査の採血程度で貧血を起こすようなことはあり得るのでしょうか。

実は血液検査で採取する血液の量はわずか2~3mlです。ティースプーンで2~3杯の量ですので、この程度で貧血が起きるようなことはありません。
ですから、この倒れてしまう症状は、貧血症状ではなく別のことが原因と考えられます。

2.採血後のふらふらの原因は
血液を採取するにはほんの数秒しかかかりませんが、注射が怖い人や、血を見るのが苦手な人にとっては、とても長い時間に感じられるのではないでしょうか。
では、なぜ採血時にこのようなトラブルが起こるのでしょう。

針が皮膚に刺さることでの痛み・恐怖等のストレスから、迷走神経(心拍を遅くし、血管の緊張を緩める神経)が緊張状態になることから引き起こされる、「血管迷走神経反射(VVR)」がその原因です。
これはいわゆる失神のこと。
この反射により血管が拡張し、一時的に循環血液量が低下するため、手足や脳へ十分な血液が送られなくなり、その結果、立ちくらみ・めまい・冷や汗・手足の痺れ・顔面蒼白・悪心・嘔吐といった症状が起こるのです。
ほとんどの場合は数分で意識を取り戻しますので、後遺症が残るようなことはありません。

血管迷走神経反射は、長時間立つ・座るなどしたときに表れやすいという特徴があり、ビックリした時や、排便、お酒、ストレスが引き金になる場合も多いです。
例えば、お酒を飲んだ後にトイレで用を足し、そのまま気絶してしまうというのも血管迷走神経反射です。

3.採血の前にして欲しいこと
血管迷走神経反射そのものは危険な病気ではありません。
しかし意識を失って倒れると、頭を打つなどケガをする恐れがあるので注意が必要です。
採血で倒れた経験のある人は、事前に医師や看護師にその旨を伝えておきましょう。 通常は座って行いますが、このような人は診察台の上に寝かせて採血してくれます。

また、血管迷走神経反射は一生治らないわけではなく、年をとると自然に改善されることが多いので、あまり深刻に考えないようにしましょう。

苦手な方にとっては、本当に嫌な検査だという採血。
しかし、血液からしか分からない身体の情報もあり、この結果によって、初めて病気が見つかることもあります。
毎年の健康診断が憂鬱だという方も、最低年に1回は、きちんと採血を受けましょう。

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