服部産業医事務所の活動

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 【29】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2020年8月31日付
【29】職場内外で避けたい感染リスクの高い行動

経営者・総務人事担当者のみなさま、職場の感染対策は万全でしょうか?今回は職場内外で避けた方がよい「感染リスクが高い行動」について述べたいと思います。

1. 課題の背景:
「具合が悪い時は出勤を見合わせる」、「大人数での会食は控える」といったことは、職場の感染防止策の基本的かつ重要な取り組みの一つです。何を今さらと思われるかもしれませんが、各都道府県が発表している感染者の行動記録などを見ると、これらが必ずしも守られていない状況が散見されます。新型コロナウイルス感染拡大が続く中、職場の集団感染リスクの低減を図るためにも、今一度、経営者自身も含め、職場内外の感染リスクの高い行動に留意しましょう。

2. 事業所でできる対策:
○ 感染リスクの高い行動について経営者自身が理解する
○ 感染リスクの高い行動を慎むよう従業員の一人一人に周知徹底する

1)感染リスクの高い行動について経営者自身が理解する
「具合が悪いのに無理をして出勤してしまう」行動は、コロナ禍においては職場の集団感染につながりかねず、職場としては従業員に避けてもらいたいことの一つかと思います。しかしながら、都道府県が公表する感染者情報(参考資料1)の中でも、症状が出現した後に職場への出勤を続けていたケースが散見されており、なかなかすべての従業員に行動変容を求めるのは難しい部分があるのも事実です。発症の2日前から人に感染させる可能性があり、発症後に出勤を続けていた期間が長くなるほど、他の従業員や顧客などより多くの人が濃厚接触者となってしまう可能性があり、事業継続にも深刻な影響を及ぼす懸念があります。
また、5月下旬に緊急事態宣言が全面解除されてから、「対面で会議を行う」機会が増えている職場も多いことかと思います。やむを得ず対面で会議等を行う場合も、対人距離や参加人数など、3密を避けるための配慮がされていないと、集団感染のリスクを高めてしまいかねません。
職場外における従業員の行動にも注意が必要です。特に、「不特定多数が集まる立食パーティー」、「接待を伴う飲食店に行く」、「カラオケに行く」など、過去に集団感染の発生例がある場所に行くことについては、当面慎むことが重要です。このような場で従業員が感染し、無症状のまま職場にウイルスを持ち込んでしまい、集団感染につながってしまうということも考えられます。
経営者自身も感染リスクの高い行動に留意する必要があります。特に企業規模が小さいほど経営者の役割が大きく、経営者の代替機能を考えることが難しいと思われます。経営者同士の会食の機会など、この状況下で実施する必要性なども十分に検討し、どうしても必要な会食に参加する際も、対人距離の確保など十分に配慮された環境下で行うことが重要です。
産業医有志グループでは、過去に集団感染の発生例がある場所や「オフィスにおける新型コロナウイルス対策ガイドライン(参考資料2)」などを参考に、職場内外で感染リスクの高い行動を30ほど抽出し、その中から特にリスクが高いと考えられる8つの行動を抜き出しました。前述の行動もこの中に含まれております。経営者の皆さま自身も含め、職場で極力これらの行動を避けるようご留意ください。
<職場で避けたい8つのリスク行動>
□具合が悪いのに出勤する
□大人数で対面の会議を行う
□不特定多数が集まる立食パーティーを企画する
□接待を伴う飲食店にいく
□カラオケに行く
□口が触れるものの共用(電話・無線など)
□換気が悪く距離のとれない場での会食
□宿泊を伴う社員旅行を行う

2)感染リスクの高い行動を慎むよう従業員の一人一人に周知徹底する
 いくら経営者や人事総務担当者が感染リスクの高い行動のことを理解していても、肝心の従業員がそのことを認識してしないと、望ましくない行動を社内外でとってしまうかもしれません。従業員の一人一人が共通の認識を持つことも、職場の集団感染リスクを低減していくのに非常に大事な要素となります。
前述の8つのリスク行動がベースとなり、厚生労働科学研究費補助金「新型コロナウイルス感染症に対する疫学分析を踏まえたクラスター対策等の感染拡大防止策に関する統括研究」(分担研究者:和田耕治)の助成で、感染リスクの高い7つの場面としてポスターにまとめられました。資料はOHサポート株式会社・企業向け新型コロナ対策情報(参考資料3)にも掲載しております。ぜひこのポスターも活用しながら、従業員の一人一人に対して感染リスクが高い行動を慎むことにつき周知徹底していきましょう。
もちろん、従業員の認識の問題だけではない部分もあるのかもしれません。「具合が悪いのに出勤する」という行動を例にあげると、「自分が穴をあけると他に迷惑をかけてしまう」、「有給休暇が残り少ない」など、従業員にも様々な事情があって、具合が悪くても無理をして出勤してしまうという行動につながっている可能性も否めません。コロナ禍においては特に、具合が悪い時には、会社に病気欠勤を申し出やすい雰囲気・制度を整備しておくことも重要でしょう。

3.関連情報リンク:
1)新型コロナウイルス感染症患者の本県の発生状況について(栃木県)
http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/welfare/hoken-eisei/kansen/hp/documents/235reime.pdf

2)オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(日本経済団体連合会)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/040_guideline1.html
3)企業向け新型コロナ対策情報(OHサポート株式会社)
http://www.oh-supports.com/corona.html

文責:今井 鉄平(OHサポート株式会社 代表・産業医)
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

動画を下記で配信しております。
〇第27回動画「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の活用」
https://youtu.be/M1y2p-VrMLg

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