服部産業医事務所の活動

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【69】

企業向け新型コロナウイルス対策情報の
69回目の配信が届きましたので、共有いたします。
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企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2022年7月15日
【69】職場における風疹対策

企業の経営者・担当者のみなさま、
新型コロナウイルス感染症の陰に隠れていますが、
風疹は未だに国内で流行を起こす可能性の高い感染症です。
ぜひ職場における風疹対策に取り組みましょう。

1.課題の背景:
風疹は飛沫感染が主で、感染力はインフルエンザの5倍とされています。
発熱・発疹・リンパ節腫脹が主な症状で、発疹が出る前・後の1週間は感染力があります。
成人になって感染すると比較的症状も重く、感染可能期間も考慮すると、
少なくとも1週間以上は仕事を休むことになると思われます。
風疹の流行については、感染した本人の問題だけでなく、
①職場の集団感染
②妊婦の感染による先天性風疹症候群の増加 など、
周囲へも大きな影響を及ぼすことになってしまいます。

一点目の職場の集団感染について、
風疹は2回のワクチン接種でほぼ防ぐことができますが、
昭和37 ~54 年度までの間に生まれた男性は、
風疹に対する予防接種をうける機会がなかった世代です。
過去の風疹の流行においても、
これらの世代を中心に職場の集団感染を起こした例が少なくありませんでした。
二点目の先天性風疹症候群について、
風疹は症状がでる前から感染力があるため、気づかずに妊婦にうつすことがあります。
妊娠に気づきにくい初期に風疹にかかると、
おなかの赤ちゃんが亡くなったり、
生まれた子に重篤な障がい(聴こえない・見えづらい・心臓病など)が
残ることがあります(先天性風疹症候群)。
妊娠3ヶ月までの感染では、80% の確率でこうしたことが起こります。

このように就労世代の男性が風疹流行の鍵を握っており、
職場における風疹対策は極めて重要なものと言えます。

2.企業でできる対策:
次の「2つの行動」で職場の集団感染を防ぐ
 〇風疹かもと思ったら「絶対に職場に行かない、来させない」
 〇従業員のワクチン接種率を高く維持する

2-1. 風疹かもと思ったら「絶対に職場に行かない、来させない」
発熱・発疹・リンパ節の腫れは、風疹を疑う症状です。
風疹の流行期にこのような症状があれば、
事前に電話連絡の上で速やかに医療機関を受診、
主治医意見に従い、発疹が消えるまで出勤を控えてもらうことが重要です。

2-2. 従業員のワクチン接種率を高く維持する
風疹のワクチン接種の機会がなかった
昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性は、
公費で風疹の抗体検査やワクチン接種を受けることができます。
同制度は2019年より3年間の予定で始まっておりますが、
利用率の少なさもあり2024年度まで延長されることとなりました。
対象年齢の男性には、市区町村からクーポン券が配布されます。
まずは抗体検査(血液検査)を受け、
十分な抗体がなければ予防接種を無料で受けることができます。
抗体検査は近隣の医療機関だけでなく、
職場での健診の機会に受けることも可能となっております。
健診の機会を活用することで、
抗体検査のために追加で血液検査を受けることもなく、
医療機関受診のために時間を費やす必要もなくなります。
職場の健診担当者は、会社の健康診断を行っている医療機関等に、
予約方法をまず問い合わせてみましょう。
そして、対象となる従業員に対して、
健診時に抗体検査を受けることの推奨や予約方法のアナウンスを行いましょう。
ぜひこの3年間で、定期健診の機会を利用して、
一人でも多くの対象従業員が抗体検査を受け、
それにより従業員のワクチン接種率を高く維持できることを目指しましょう。

3. 関連情報リンク:
1) 厚生労働省. 風疹の追加的対策について

2) 堀愛. 職域の対策で日本から風疹をなくそうキャンペーン

3) 堀愛. 職場を風疹の温床にしないあなたにできる2つの行動

文責:今井 鉄平(OHサポート株式会社)
監修:堀 愛(筑波大学)

バックナンバーはこちらのリンクをご参照ください。

動画配信もございます。
第67回動画 ウィズコロナ時代の海外渡航 2022年5月版

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