服部産業医事務所の活動

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信【70】

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2022年8月1日
【70】まん延期において職場で取り組みたいこと

経営者・総務人事担当者のみなさま、第7波と呼ばれる感染の急拡大が起きており、これまで以上の感染者が出ている一方で、政府からは行動制限が出されておりません。このような中、企業としても従業員に対して、どのようなメッセージを出してよいかお困りではないでしょうか。

1. 課題の背景:
感染力が強いオミクロン株亜系統であるBA.5により感染が急拡大しています。これまでと異なり、まん延期においても政府からは行動制限が発出されず、感染防止対策については企業の裁量がこれまでになく大きくなっております。とはいうものの、感染者・濃厚接触者には一定期間の自宅待機が求められ、その数が急増すると企業においては事業継続にも大きな影響が及びかねません。このような状況下で、企業として取り組みたい感染対策ついて解説します。

2.企業でできる対策
○ 基本的な感染対策を継続する
○ 企業としての濃厚接触者の待機期間を見直し、周知する

(1) 基本的な感染対策を継続する
政府が行動制限を出さないことや、社会・経済を回すという表現をしていることから、対策はしなくてもよい、という考えに陥っている方もいるかもしれません。しかし、これは大きな誤りです。現在も引き続き、基本的な対策を講じるとともに、企業ごとにできることを着実に実施していく必要があります。改めて、基本的な対策を講じましょう。

<基本的な対策の例>
□ 会食の自粛を従業員に求める。
□ 屋内でのマスク着用を徹底する。
□ 症状があったら出社させない。
□ 換気を徹底する
□ 対面のミーティングをなるべく控える。
□ 状況に応じて在宅勤務の実施を検討する
□ 3回目のワクチン接種を推奨する。

感染が拡大している時期は、感染リスクが高い行動を行うかどうかの検討が必要になります。今一度、社員同士の会食や会合など感染リスクの高い行事を延期できないかを改めてご検討ください。
また、暑い環境のためにオフィス内でマスクを外している方や、冷房を効かせるためにドアや窓を閉めることで換気が不十分になりがちです。一時期の緩和モードで気持ちが緩んでしまっている方も多いかと思いますが、改めて、気を引き締めて屋内でのマスク着用や換気を徹底することがとても重要になります。
行動制限が発出されていなくても、人との接点は少なくするに越したことはありません。新型コロナウイルス感染症対策本部の文書においても、状況に応じては『緊急事態宣言の発出を待つことなく、業務継続の観点からも、在宅勤務(テレワーク)の活用等による出勤者数の削減目標を前倒しで設定する』という内容が記載されております(2022年7月15日、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針)。対面のミーティング機会を減らすことや、在宅勤務が可能な職場においては、社内の感染状況などに応じて在宅勤務を導入することなども検討しましょう。

(2) 企業としての濃厚接触者の待機期間を見直し、周知する
オミクロン株は感染が広がりやすいものの、接触してから発症までの期間(潜伏期間)が概ね3日間程度と短いことから、濃厚接触者の待機期間が7日から5日に短縮となりました(2022年7月22日事務連絡・資料1)。以下の考え方に沿って、濃厚接触者の待機期間の見直しを行い、従業員に周知しましょう。抗原定性検査キットを準備することも検討してください。

○濃厚接触者の待機期間の考え方
感染者との最終接触日を0日目として、5日間(6日目解除)とすることが現在の待機期間の考え方です。2日目と3日目に抗原定性検査キットで陰性が確認できた場合には3日目からの待機期間の解除も可能です。
ただし、全体の17%ほどがばく露から6日目以降に発症しており、待機期間が解除されたとしても、感染リスクが残ることに注意が必要です。このため、最終接触日から7日間は健康観察を続ける、感染リスクの高い行動(例:会食、カラオケ、高齢者施設の訪問)は控えることが重要です。
家庭内で感染者が出た場合には、家庭内で対策を講じて感染者と接触しなくなった日を起算日(0日目)とします。また、家庭内でさらに別の方が発症した場合には、その方との最終接触日を起算日(0日目)としてカウントしなおします。

○事業所内で感染者が出た場合
従業員本人が感染した場合には、従来通り10日間の隔離が必要になります。事業所内で感染者が出た場合の感染拡大防止策については、本情報配信の第65回「まん延期における企業内濃厚接触者調査の留意点 その3」をご参照ください。(資料2)

○抗原定性検査キットの準備
また、抗原検査キットで陰性を確認することで「待機期間」を短縮することができます。企業として、業務継続の必要性が高く、在宅勤務ができない場合は、抗原検査キットの運用体制を整備することも検討されます。現在は、無料配布事業が一部の地域で開始されていますが、企業としても準備しておくことも検討されるでしょう。

2.関連情報リンク・参考情報:
1) B.1.1.529系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について(令和4年7月22日一部改正)
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/053.pdf
2) 産業医有志グループ第55回配信 まん延期における企業内濃厚接触者調査の留意点 その3
www.oh-supports.com/img/corona/pdf/065.pdf
3) 産業医有志グループ第66回配信 年度の変わり目の感染拡大防止~リバウンドを防ぐために~
http://www.oh-supports.com/img/corona/pdf/066.pdf
4) 医療機関や高齢者施設でも濃厚接触者の待機期間を短縮しても安全なのか?(忽那賢志) – 個人. Yahoo!ニュース.
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220724-00307068

文責:五十嵐 侑(産業医科大学 災害産業保健センター)

動画を下記で配信しております。
〇第69回動画「職場における風疹対策」
https://www.youtube.com/watch?v=9oyqPKEm6ck

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