そろそろ話題のPM2.5②
- 2016年02月23日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
もう2月も終盤、そろそろお花見の話も出てくる頃ですね。
この季節になると気になるのが花粉症、そして先週からお送りしているPM2.5ではないでしょうか。
今回は前回の復習をしながら、PM2.5対策についてお話します。
~おさらい~
PM2.5(微小粒子状物質)は呼吸器や循環器への悪影響が確認されていることから、1 日平均値70μg/m3 に対応する1 時間値85μg/m3(5~7時の1 時間値の平均値)、1 時間値80μg/m3(5~12 時の1 時間値の平均値)を超えた場合は、都道府県等が注意喚起を行うことを推奨しています。
(※ただし、この値は光化学オキシダントの場合のような法令に基づく措置ではないので、注意報や警報は発令されません。)
そしてPM2.5 濃度がこの値を超えた場合には、その吸入を減らすため、屋外での長時間の激しい運動(マラソン大会のように呼吸器系への過度の負担が長時間続くような運動)や外出をできるだけ減らすことが必要です。
特に呼吸器系や循環器系の疾患を有する者、小児、高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があります。
普段から健康管理を心がけるとともに、体調の変化に注意することが大切です。
Q. PM2.5が多い日(「暫定的な指針となる値」を超えた場合)は、運動会等の屋外での行事は中止する必要がある?
A. PM2.5 濃度が注意喚起のための暫定的な指針となる値を大きく超えない限り、運動会等の屋外での行事は中止する必要はないと考えられます。
これは、「長時間の激しい運動でない限り換気量は大きく増加せず健康影響の可能性も高くないこと、及び当該行事を中止することによる社会的影響が大きい」ことを考慮したものです。
但し、呼吸器系・循環器系疾患を有する者、小児などは、健康な成人に比べ影響を受けやすく個人差も大きいと考えられるため、普段から健康管理に努めるとともに、PM2.5 濃度が高い場合には、個人の体調に応じてより慎重に行動することが望まれます。
また、運動会等の主催者は参加者に事故等が起こった場合に備えて、養護教諭等の配置や緊急に受診できる医療機関を確保するなどの配慮が必要と考えます。
こうした配慮は特別なものではなく、PM2.5 濃度の高低に関わらず、このような行事を開催する場合、主催者が通常取るべき措置と考えます。
なお、「大きく超える場合」の具体的な値については、専門家会合においても「現段階では高濃度域での健康影響に関する十分な科学的知見がないため、具体的な値を示すことは困難」という結論でしたが、米国の空気質指数(AQI)を参考にすると、日平均値が140~150μg/m3 を超える場合、すべての人は長時間の激しい運動や屋外活動を中止すべきとのアドバイスがなされています。
Q. 窓の開閉でPM2.5 の影響はどれほど違う?
A. 窓の開閉による屋内濃度への影響を定量的に示した資料はありませんが、窓を開けておくと屋内のPM2.5 濃度は屋外のPM2.5 濃度と同等の値になると推測されることから、窓の開閉や換気は必要最小限にすることにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入量を減らすことは有効な対策と考えています。
※注意※
煙草の煙からもPM2.5が発生します!閉め切った室内で煙草を吸っていてはPM2.5対策にはなりません!
(全席喫煙の飲食店や喫煙室内のPM2.5 濃度は数百μg/m3 に及ぶことも・・・)
Q. マスクの着用は有効?
A. 一般用マスク(不織布マスク等)の着用により、ある程度の効果は期待できますが、PM2.5 の吸入防止効果はその性能によって異なると考えられます。
また、医療用や産業用の高性能な防じんマスク(N95※1 やDS1※2 以上の規格のもの)は、微粒子の捕集効率の高いフィルターを使っており、PM2.5 の吸入を減らす効果があります。
但し、マスクを着用する場合には顔の大きさに合ったものを空気が漏れないように着用しなければ、十分な効果が期待できません。
一方、着用すると少し息苦しい感じがあるので、長時間の使用には向いていません。
※1 米国の規格に基づきNIOSH(米国労働安全衛生研究所)が認定したマスク。
※2 労働安全衛生法に基づく国家検定に合格したマスク。DS1 やDS2 などの種類がある。
Q. 空気清浄機はPM2.5 の除去に有効?
A. PM2.5 に対する空気清浄機の除去効果については、フィルターの有無や性能など機種によって異なると考えられます。
一部製品については、各メーカーにおいて性能試験により一定の有効性が確認されているとのことですが、個別の製品の効果に関する詳細については、製品表示や販売店・メーカーに確認する必要があります。
Q. 農産物への影響は?
A. PM2.5 が農産物に付着することは想定されますが、懸念されているPM2.5 の影響は主に呼吸器系へのものであり、摂食による健康影響はこれまで報告されていません。
Q. PM2.5 と花粉の関係は?
A. 花粉の大きさは30μm 程度とPM2.5 よりもかなり大きく、アレルギー疾患の一つである花粉症の原因となることが知られています。
花粉とPM2.5 の複合影響については現時点で明確な知見は得られていませんが、過去の動物実験ではPM2.5 の一部であるディーゼル排気粒子が鼻アレルギー及びアレルギー性結膜炎様病態を悪化させるとの報告もあります。
PM2.5 濃度が高いときには注意して下さい。
花粉と比べてすぐには影響を感じ辛く、ついつい無関心になりがちなPM2.5。
あとで後悔しないよう、今のうちの対策が必要かもしれません。
それではまた来週!