薬湯のすすめ
- 2016年02月10日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
2月も2週目となり、少し暖かさが垣間見えるようになってきたでしょうか。
寒さは肩こりやむくみを引き起こすだけでなく、血圧を上げる要因にもなります。
健康のためにも体温を一定に保つことが大切です。
そこで今回は、効果的な入浴方法についての記事を取り上げます。
■身近な植物を使った伝統的な入浴剤
現在では各メーカーがさまざまな入浴剤を販売していますが、日本では季節ごとの身近な植物を用いた薬湯が伝統的に伝わっていました。
よく知られているものとして、端午の節句(5月5日)の菖蒲湯(しょうぶゆ)、冬至(12月22日)の柚子湯(ゆずゆ)が挙げられるでしょう。
その季節にふさわしい果物や植物、花などを湯に入れて楽しむというものです。
■寒いこの時期にお勧めの薬湯とは?
こうした薬湯の中でも、寒いこの時期には柚子湯が最もおすすめです。
5、6個の柚子をそのまま、あるいは半分に切って湯に入れます。
皮に含まれている精油成分には、血行を促進してからだを温めてくれるαピネンやリモネンが含まれており、精油自体も、風呂上りの皮膚からの水分蒸発を防いで、体が冷えるのを抑えます。
また、柑橘系の香りがなんとも良い気持ちにさせ、リラックスすることができます。
以前から柚子湯の保温効果は報告されていましたが、あるテレビ番組で簡単な実験がありました。
柚子湯・しょうが湯・日本酒湯・ネギ湯で温まりを比較するというものです。
この4つを同じ温度の湯に入れて、同じ時間入浴し、サーモグラフィーで体温を測定し、保温効果を比較しました。
その結果は、期待以上のものでした。
柚子湯では60分以上皮膚が温まった状態が持続し、他の薬湯と比べて、ダントツで保温効果があったのです。
以前に他の研究者が行った調査報告は読んでいましたが、実際に自分の目ではっきり画像を確かめると、納得感が違います。改めて昔の人の知恵はすごいと実感しました。
■柚子湯の注意点は?
保温効果や血流促進効果が期待できる柚子湯ですが、やり方に注意点があります。
それは、欲張って柚子を絞り過ぎないこと。
たくさん柚子の精油や果汁をお風呂に入れすぎると、刺激が強くなり、肌を傷めることになります。
また湯の温度は40℃までとし、入浴時間も10~15分程度としておくと良いでしょう。
湯から出ても、浴室内には揮発した成分が拡がっていますので、洗い場で体を洗いながらも香りを楽しむことが可能です。
■柚子が入手できないときは「ミカン湯」でもOK!
冬至にはスーパーなどでも柚子を入手できますが、時期が過ぎると難しいこともあります。
そんな時は「ミカン湯」をお勧めします。
ミカンも柚子と同様にかんきつ類です。
特にミカンの外皮は「陳皮(チンピ)」と言われる漢方薬として使われています。
リモネンやテルピネン、ポリフェノールの一種であるヘスペリジン、ビタミンCなどを含み、食欲増進、かぜによるのどの痛みや咳などに用いられています。
また血管を広げて血流を促進して体を温める作用があります。
特にリモネンやテルピネンはミカンの皮を干すとその効果が高まります。
自宅でも、食べ終わったミカンの皮を刻んでザルなどにのせ、陰干ししてカラカラになるまで乾燥させることで作ることができます。
約20個分の皮を古くなったストッキングや水切りネットなどの袋に入れて、お風呂に浮かべましょう。
ミカンの皮を干すのが面倒なら、ミカン数個分のむいた外皮を生のまま水洗いしたのち、同じように袋に入れてお風呂に入れます。
先人の知恵、お手軽薬湯で冷えた体をじっくり温めましょう!
MNSヘルス http://www.msn.com/ja-jp/health?ocid=iehp