服部産業医事務所の活動

最近話題のアレ その③

ブログ用(コガタアカイエカ)

皆さんこんにちは、保健師の山本です。

秋分の日も終わりましたね。
ちなみに国民の祝日である「秋分の日」ですが、何を目的とした祝日かご存知ですか?
実は秋分の日は、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨とした休日です。
秋分(春分)の3日前の日を「彼岸の入り」といい、3日後を「彼岸の明け」と言い、その7日間を彼岸と言います。
各ご家庭でも家族そろってお墓参りに行ったり、祖先を供養する「法会〔ほうえ〕」を行ったりされたのではないでしょうか。
あ、甘党の私も大好きな(笑)お彼岸のお供え物の代名詞ですが、春のお彼岸の「ぼたもち」と秋のお彼岸の「おはぎ」の違いはご存知ですか?
ほとんど同じ食べ物ですが、実はあんこに違いがあります。
小豆の収穫時期は9~11月のため、秋のお彼岸は収穫したての小豆が食べられます。
ピチピチ新鮮な小豆で作りますので皮もやわらかいため、「粒あん」でおはぎは作られます。
収穫後3月の春のお彼岸まで保存していた小豆は皮もかたくなるため、「こしあん」でぼたもちが作られました。
そうそう、おはぎやぼたもちはお彼岸の中日に食べる物だそうで、春分・秋分の日の食べ物だそうですよ。

さて、前置きが長くなりましたが、「蚊」が媒介する感染症を紹介するのも今回が最終回となります。
他地域では他にも病気はありますが、今回は日本で罹る恐れのある病気のみとしています。
最終回は予防接種でもおなじみの「日本脳炎」です。

①日本脳炎とは
主にコガタアカイエカによって媒介され、日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症であり、ヒトに重篤な急性脳炎をおこします。
ヒトからヒトへの感染はなく、増幅動物(ブタ)の体内でいったん増えて血液中に出てきたウイルスを、蚊が吸血し、その上でヒトを刺した時に感染します。
一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が亡くなってしまうといわれています。
また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。
ただ大多数は無症状に終わると言われています。

②日本脳炎の症状
症状が現れずに経過する(不顕性感染)場合がほとんどですが、症状が出る場合には、6~16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害(意識がなくなること)、けいれん等の中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。
死亡率は先に述べたとおり20〜40%で、幼少児や老人では死亡の危険性は大きいです。
また精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、小児では特に重度の障害を残すことが多く、パーキンソン病様症状や痙攣、麻痺、精神発達遅滞、精神障害などがあります。

③日本脳炎の治療と予防
特異的な治療法はなく、対症療法が中心となり。高熱と痙攣の管理が重要です。
脳浮腫は重要な因子であるが、大量ステロイド療法は一時的に症状を改善することはあっても、予後、死亡率、後遺症などを改善することはないと言われています。
日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し、脳細胞を破壊しているため、将来ウイルスに効果的な薬剤が開発されたとしても、一度破壊された脳細胞の修復は困難です。
日本脳炎の予後を30 年前と比較しても、死亡例は減少したが全治例は約3分の1とほとんど変化していないことから、治療の難しさが明らかです。
したがって、日本脳炎は予防が 最も大切な疾患です。

予防の中心は蚊の対策と予防接種であり、日本脳炎の不活化ワクチンが予防に有効なことはすでに証明されています。
実際、近年の日本脳炎確定患者の解析より、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったことが判明しています。
ワクチンは第I 期として初年度に1〜2週間間隔で2回、さらに1年後に1回の計3回、各0.5mlの皮下注射を行うことによって基礎免疫が終了します(3歳未満は 0.25ml)。
第I 期は通常3歳で行われるが、その後第II 期として9〜12歳に、第III 期として14〜15歳にそれぞれ1回追加接種を受けることとされています。
日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは日没後に活動が活発になるとされていますので、このような時間帯に戸外へ出かける必要があるときには、念のためできる限り長袖、長ズボンを身につける、露出している皮膚への蚊除け剤を使用するなど、ウイルスを持った蚊に刺されないよう十分に注意することをお勧めします。
一般に日本脳炎の感染リスクは農村部で高く都市部で低いと考えられます。
しかしながら、コガタアカイエカは活動範囲が広いため、都市部であっても日本脳炎に感染するリスクはゼロではないとご理解ください。
夏季の夜間の外出を控える、蚊が屋内に侵入しないように網戸を使用する、夜間の窓や戸の開閉を少なくする、蚊帳を利用するなどの注意が必要です。

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