健診結果、見てますか?「中性脂肪」
- 2015年04月14日
- 健康管理(宮本)
保健師の宮本です。
長く続いた雨風で、あっという間に桜の時期も終わってしまいました。
こうしている間に気づいたら夏・冬、そして春になっているんだろうな・・・と思うと少し寂しい気もします。
さて、今週は健診項目の話題から「中性脂肪」についてお話します。
日本人の脂質エネルギー比率(摂取エネルギーに占める脂肪の割合)は戦後急激に上昇し、これに伴って肥満も増加してきました。
「メタボ」という言葉が世の中に浸透してしばらく経ちますが、ご覧の皆さんは大丈夫でしょうか?
【中性脂肪(トリグリセリド:T.G)の基準値(成人)】
基準値(男性): 29~188 (mg/dL )
基準値(女性): 29~188 (mg/dL )
Q.1 中性脂肪(トリグリセリド:T.G)って何?
中性脂肪(トリグリセリド)は筋肉や心臓のエネルギー源として必要不可欠な「脂質」という栄養素の1つです。
食品中の脂質を摂取する事で脂溶性ビタミンや必須アミノ酸なども同時に補え、また、揚げ物のサクサク感や滑らかさを与え食べ物においしさを与えてくれます。
そして、私たちの体の中にある脂肪も中性脂肪(TG)が大部分を占めています。
Q.2 中性脂肪(TG)値異常は病気なの?
中性脂肪(TG)は脂質を含む食品(肉や魚、食用油等)を食べることによって取り入れられますが、肝臓でも日々合成されています。
長年精進料理しか食べないような生活をしていても、数値が0にならないのはこのためです。
放っておいても体が勝手に作り出すエネルギーですので、中性脂肪(TG)自体が悪いということはありません。
とても分かりやすい例がありますので、ご紹介します。
人間を車に例えるなら、脂肪(脂質)はガソリンです。
走る予定もないのにガソリンだけ供給しつづければ、溢れ出たガソリンのせいで車体がサビついたりベタついたり良いことはありません。(下手すれば廃車?!)
これと同じように、日々の活動で使いきれなかったエネルギー源・中性脂肪(TG)は皮下脂肪・ぜい肉として蓄積してしまいます。
また、血中脂質(中性脂肪等)が高いと動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの俗に生活習慣病の疾患リスクが跳ね上がるという研究結果がいくつも発表されていることにも注目です!
●基準より多い場合(高トリセライド血症)●
血液中の中性脂肪(TG)の値が150mg/dl以上になると「高トリグリセライド血症」とされ、メタボリックシンドロームの診断基準に該当します。
高トリグリセライド血症の方はそうでない方と比べて動脈硬化や心臓病や脳卒中などの生活習慣病リスクが高まります。
数値が高い原因としては暴飲暴食、運動不足などの生活習慣が原因となるケースが多いです。
Q3. 高トリセライド血症って男性の病気ですよね?
保健指導で多くの方にお会いしていると、上記のようなイメージをお持ちの方が結構いらっしゃいます。
中には「私は女なのに血がドロドロです、と書かれていて恥ずかしい><」と仰る方も。
ですが、高トリセライド血症は何も男性に限った話ではありません。
【男性】
男女関係なく30代辺りから筋肉量の減少によって代謝(エネルギー消費)が悪くなりますが、男性は女性に比べて筋肉量がガクッと下がります。
そのため代謝量の減り方も大きいのですが、自覚症状がないので食生活は若い頃のまま・・という方が危ないです。
【女性】
女性ホルモンの影響で中性脂肪など血中脂質の上昇が抑えられています。
そのため、閉経後の50代辺りから急激に数値が上がり「太りやすくなった」「健診で血がドロドロと言われた」に繋がります。
Q4. 中性脂肪(TG)値を下げるためには何をすれば良いの?
Q2でお話したように、中性脂肪(TG)は肥満や食べすぎ、運動不足、過度の飲酒などが原因で値が高くなる血液検査の検査項目の1つです。
車とガソリンの例のように、「食べたいなら動く」「動かないならほどほどに」を心がけるだけで違います。
運動や食生活、節酒などの生活習慣を変える努力をする事で改善できる場合が多いですので、ご家庭での自己管理を徹底するようにしましょう。
・日常的に飲酒している方は禁酒、もしくはお酒の量を減らす
・肥満や運動不足の人は、運動する習慣をつける(ウォーキングやジョギング等有酸素運動がお勧め)
・炭水化物や脂肪の多い食事を控える(夕食では炭水化物を食べない等)
※ダイエット方法については山本保健師が詳しく説明していますので、そちらも参考になります!
最後になりますが、どうやら中性脂肪(TG)は献血では教えてもらえないようです。
毎年赤文字で注意書きされている、保健師や看護師に受診を勧められた、という方は確認のために再検査をお勧めします!
それではまた来週!