服部産業医事務所の活動

健診結果、見てますか?「γ-GTP」

     保健師の宮本です。

今週から「γ-GTP」「AST(GOT)」「ALT(GPT)」の3回に分けて、肝機能における血液検査値についてお話します。
今日は、その中でもお酒好きの方には耳の痛い「γ-GTP」を取り上げます。

【γ-GTPの基準値(成人)】
基準値(男性) 12~65 (IU/L)
基準値(女性) 9~27 (IU/L)
※女性の場合女性ホルモンの影響により男性より数値が低くなります。

Q.1 γ-GTPって何?
  γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝臓の解毒作用に関係している酵素です。
肝臓や胆管*の細胞が壊れると、本来肝臓内にあるはずのγ-GTPが血液の中に流れ出てくることから、「逸脱酵素」とも呼ばれます。
γ-GTPが血液中に多くなっても、それ自体が何か悪い影響を及ぼすことはありません。
「本来ほとんど存在しない場所(血液中)に存在する」量によって、肝臓の弱り具合の指標としています。

*肝臓で作られた胆汁が十二指腸に至るまでの通り道。
胆汁は、肝細胞で作られる消化液で、脂肪の消化吸収を助ける役割を持ちます。

Q.2 γ-GTP値異常は病気なの?
 γ-GTPが高くなる原因には、

① 肝臓の細胞が破壊される「肝炎」
② 肝臓に脂肪が蓄積して、その働きを妨げる「脂肪肝」
③ 胆石や胆道がんなどで胆道がつまった場合

の3パターンが考えられますが、健康診断のとき最も重要なのは、②の脂肪肝です。
特にアルコールを飲む中年男性の場合、飲みすぎによるアルコール性脂肪肝が問題になります。
また、200や300を超えるような場合はアルコールによる肝臓障害だけでなく、胆石などにより胆道が詰まっている可能性があります。
この場合は、できるだけ早急に医師の診断を受けるようにしてください。
アルコールが原因で500以上になる場合はよほどの大量の飲酒、あるいは急性アルコール中毒といったきわめて危険な状態にあります。
有無を言わさず「受診」です!

Q3. お酒はほとんど(全く)飲まないのに毎年異常値が出ます。何故?
 中には「普段お酒は飲まないのに何故?」という方もいらっしゃいます。
お酒をまったく飲まない人でも、γ-GTPの値が高くなることがあります。
それは、肝臓病、胆石や胆道系のがん、原発性胆汁性肝硬変とよばれる胆道系の病気のほか、抗てんかん薬・抗けいれん薬・向精神薬・ステロイドなどの服用など、肝臓の「解毒作用」を日常的に酷使する必要のあるお薬を服用している方に多く見られます。

Q4. γ-GTPの値が高くなると、自覚症状がでますか?
 γ-GTPを含め肝機能は、自覚症状が出るまでに大きなタイムラグがあります。
値が500以上になり肝臓に障害が出てくると「だるい」「疲れやすい」「少量のアルコールで酔う」など自覚するようになります。
それはかなり進行した後のことで、健康診断で問題となる段階では自覚症状はありません。
肝硬変や肝がんなど、自覚症状が出る頃には「手遅れ」となっているケースも少なくありません。

Q5. γ-GTPを正常値に戻すにはどうしたら良い?
 γ-GTPは比較的アルコールに短期的に反応するので、飲酒を1週間もやめれば下がりだします。
1週間も待ちきれないよ!という方は、定期的な「休肝日」か「節酒」をオススメします。
休肝日の場合1週間に2日間(連続)、節酒の場合は下記を参考に「ほどほどに」を心がけましょう。

ビール 中ビン1本
日本酒 1合
焼酎 100㎖
ワイン グラス2杯(200㎖)
ウイスキー ダブル1杯(60㎖)

 

先日服部よりお知らせ致しましたように、弊社スタッフは明日から5/6までお休みを頂きます。

 

それではまた来週!

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